ダイエー大健闘、西武は迷走…



 逆指名制度により有力選手の大半がセ・リーグに流れる中、パ・リーグではダイエーが大健闘した。アマNo.1投手の座を争ってきた、九州共立大・山村路直と立命大・山田秋親の2人を一度に獲得する。

 王監督も「今年は10勝投手が1人もいなかったのに、来年はもう2人も確保しちゃったよ」と笑いが止まらない。

 地元の山村に1位を用意したため2位に回ったが、153キロ右腕の山田は今ドラフト最大の目玉だ。両親が「親会社の経営危機が不安」とダイエー逆指名に反対。中日の星野監督からは直接「野球をやるならセ・リーグだ」とまで言われたが、「シドニー五輪で松中さんから『優勝はいいぞ』といわれて、ますますその中で戦いたくなった」と、初志を貫徹した。

 立命大の三浦トレーナーは、野茂が在籍した近鉄黄金時代のトレーナー。「最近では珍しい骨太の体で、筋力も素晴らしい。山田のケアをするたびに、野茂の体格がだぶってくる」と、山田のプロでの活躍を楽しみにしている。

 打倒ダイエーの1番手となる西武は、対照的に最後まで上位指名選手が決まらなかった。巨人を逆指名した中大・阿部捕手の争奪戦に敗れ、「1位は会議前日まで決まらないかもしれない」(小野球団代表)と迷走した。

 結局、1位は西武系列で廃部したプリンスホテルから、大沼幸二投手を獲得。2位には3位候補だった新日鉄広畑・三井浩二投手を繰り上げた。三井は阪神が強行指名に動いたため、逆指名枠に入れたものだ。阿部の代わりは鳥羽・近沢昌志捕手ら高校生捕手を3位以下で指名する予定。

 オリックスは、敦賀気比の左腕・内海哲也投手(18)を強行指名する。内海は祖父・五十雄さんが元巨人の選手だったため、「小さいころからの夢」と巨人以外を拒否。同じく1位指名を考えていた広島はこれを受けて撤退した。

 だが、オリックスは「巨人は4位以下での指名。ウチは1位の評価だ」と方針に変更はない。また下位指名で、テスト生や無名選手を契約金なしで4、5人指名するという計画を持っている。

 日本ハム、ロッテ、近鉄は早めに動いて大学、社会人選手から逆指名を取り付けた。近鉄1位の慶大・山本省吾投手(22)のように、プロ志望ながら他球団から声がかからない選手を、一本釣りしたケースがほとんど。人気選手をセ・リーグの球団と競合しても、逆指名を得られないパ・リーグならではのやりくりが定着してきた。

[夕刊フジ2000年11月16日]