FA撤退の巨人、次のスターは?



 巨人・渡辺恒雄オーナーが15日、今オフはFA補強しないことを改めて強調した。何でもほしがる巨人の撤退宣言のウラには、「生え抜きのスターを作れ」という巨人軍最高経営会議の“大号令”があった。

 実は渡辺オーナーにとっても、FAから撤退せざるを得ない事情があった。巨人軍最高経営会議のメンバー、日本テレビ氏家社長は、こう言って新たなスターの誕生を待ち望んだ。

 「FAで力のある選手を取ってくるのもいいが、もっと自分で育てなければダメだ」

 今の巨人には経営者を安心させるスター選手に事欠いている。しかも、スターは“生え抜き”でなくてはならない。となると、松井以外にスターは見当たらない。

 長嶋巨人と王ダイエーの激突という20世紀最後を飾るビッグイベントとなった日本シリーズON決戦。「視聴率40%は固い」(氏家社長)と踏んでいたのが、現実は36%が最高。ペナントレース中には10%台に低迷することもあった。長嶋人気と松井人気だけでは、バン回できないところまで事態は進行しているのだ。

 「スター選手と言ったって、すぐにできるものではない」と氏家社長は指摘する。松井がFA権を持つのが2002年オフ。その年はサッカーのW杯が日本で開催され、野球人気に大ブレーキがかかるのは確実。巨人といえども、ポスト松井を本気で考えなければならない時期に来ている。

 17日のドラフトで巨人は1位に阿部捕手(中大)、2位に上野投手(立大)を指名するが、今のところ2人ともスター性には乏しい。将来性ある“隠し玉”の高校生を発掘するのが手っ取り早いのだが…。

[夕刊フジ2000年11月16日]