ON初トレード実現!吉永巨人へ



 王ダイエーと長嶋巨人の間で初のトレードが実現する。ダイエーからは吉永幸一郎内野手(31)、巨人からは大野倫外野手(27)プラス金銭(推定1億円)。16日にも両球団から発表される。両球団間のトレードはONが監督に就任して以来初めて。

 両球団間の思惑が合致したトレードだ。ダイエーは吉永からの「放出志願」を受け、移籍先を探していた。しかし、阪神から自由契約での譲渡が申し入れられたくらいで、交換要員を立てての商談はなかった。

 巨人は過剰戦力を誇る野手陣にあって唯一の泣きどころであった“左の代打”を、吉永で補強できた。吉永はプロ11年で150本塁打を記録した長打力を持ち、長嶋監督は昨年も獲得に動いていた。

 また、捕手として2度もベストナインに選出されている。ドラフトでアマナンバーワン捕手の阿部(中央大)を獲得したとはいえ、正捕手問題の解決には至ってない。阿部がレギュラーになったとしても、吉永が阪神で活躍されるよりはベンチに置いておいた方がいい、という判断も働いた。

 交換要員の大野は、ダイエーに柴原ら数多くの選手を送り出している地元の九州共立大を卒業。第2の故郷での開花が期待されるものの、プロ5年間で一軍実績は皆無に等しく、本来なら吉永とはまったく均衡が取れない。それでもダイエーが動いたのは、巨人からの移籍金提示。1億円以上とされるトレードマネーに、親会社の経営危機で資金不足のダイエーが飛びついた。

[夕刊フジ2000年11月16日]