巨人主力は、2003年野球W杯にNO!
現役大リーガーを含む各国プロ選手が参加し、国別で世界一を争おうという野球ワールドカップ(W杯)構想。ここにきて米大リーグが2003年3月開催を提案し、日本にも参加要請したことで、にわかに現実味を帯びてきた。宮崎秋季キャンプを視察中の長嶋監督は「そりゃいい。野球界にとって大変意義がある」と大喜び。ところが、12日まで日米野球に参加していた巨人の主力選手は、拒否反応を示した。
まずは、シーズンの疲れが出たのか、今回の日米野球で通算13打数2安打(打率・154)1打点に終わった高橋由伸。だから、というわけでもないだろうが、W杯参加には否定的。
「難しいと思いますよ。そんなに試合数を増やしたら、日本の選手は、それに耐えられるほどタフじゃないですから」
現在の構想では、W杯開催は公式戦開幕直前の3月。これなら公式戦を中断する必要がなく、さらに、公式戦が終わったあとの秋より真剣味が増すと考えられるからだ。
しかし、出場選手にとっては、W杯の激戦をくぐりぬけた後、休む暇もなく140試合(来年から)の公式戦に突入することになる。身体能力に勝る米国や中南米の選手ならいざしらず、日本人には負担が重過ぎる、というわけ。
日米野球で36打数16安打(・444)と大活躍の仁志も、思いは高橋由と同じだ。
「W杯? やるんなら、秋にしてほしいよね。シーズン前っていうのはちょっと…。あくまで、本番はシーズンだから。今回の日米野球で活躍できたのも、短期戦だからこそ。全力でやっても、ほら、息切れしないでしょ。この勢いで140試合やれといわれたら、絶対無理」と体力的な不安を口にした。
ゴジラ松井だけは「そういう流れになるのは良いこと」と優等生発言。それでも大歓迎、といった雰囲気ではない。
その上で「W杯となったら、ドミニカ、プエルトリコなんかは強い。勝つのは難しいよ」と分析した。出身国別の対抗戦となれば、米国のほか、大リーガーを多数輩出しているカナダ、ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラ、メキシコなどがメダル候補に浮上。このほか五輪で無敵のキューバ、アジアの強国・韓国などの存在も。日本は、選手に無理を強いて出場した揚げ句、惨敗の赤っ恥という可能性も十分ある。
W杯開催は、確かにファンにとっても夢だが、実現までには解決すべき問題がまだまだある。
[夕刊フジ2000年11月13日]