王監督激怒!コミッショナーを痛烈批判



 全日本・王監督(ダイエー)が、川島コミッショナーに対して強い要望を出した。「オフの試合でも、もっときっちりしなければダメだ。今のままでは日米決戦など永久に実現できない」と、現状を厳しく批判。コミッショナーの権限で改善することを求めたのだ。

 第3戦(東京ドーム)でメジャー選抜に大勝した王監督。地元・福岡の第4戦でも指揮を執ったが、さらに第5戦の大阪ドーム、最終戦の第8戦(東京ドーム)と、あと2試合サイ配をふるう。

 「日本シリーズに出たチーム以外の選手は試合から遠ざかっていたから、ようやく慣れてきたね」と言いながらも、実は、全日本チームの在り方に強い不満を覚えている。

 「向こうが来日する前に、ロスに集結して練習。第1戦の前日の東京ドームでの練習でも、チームプレーの練習までして、やるからには勝つという意欲を見せているのに、こっちにそういう気がないのは失礼だ。向こうの方がギャラが高いとか、そんな次元の問題ではない」

 そんな現状にメスを入れ、元凶にまで言及する。

 「われわれの時代からの悪しき考え方でもあるんだが、オフの試合になると『どうでもいいや』というようなムードになってしまう。これを直さないといけない」と、自己批判を含めて、コミッショナーに改革の必要性を訴える。

 「日本のそういう悪しき風習の根底には、コミッショナーの姿勢がある。ペナントレース、日本シリーズまでは力を入れるが、オフの試合になると、そうでなくなる。もっとコミッショナーが公式戦以外の試合にも全力で取り組むような体制を作らないといけない」

 王監督がこう声高に叫ぶのは、日米野球直前に行われた『プロ野球出身地別東西対抗』での不満がある。

 ONシリーズ以来の顔合わせになり、話題になるはずの巨人・長嶋監督が欠席、原ヘッドコーチが代理出席したことだ。

 しかも、のっぴきならぬ事情ならともかく、報知新聞社制定の、プロ野球人の社会貢献活動を表彰する『ゴールデン・スピリット賞』の選考委員会に出席しているのだ。

 「一新聞社の仕事と、コミッショナー主催の野球界全体のイベントとどちらが大事なのか。だれにでもわかるはずだ。それなのに、コミッショナーが欠席を認めてしまうこと自体がおかしいんだ。それをまた『おかしい』と書かないマスコミもおかしいよ。こういうことがあると、選手たちも右へ習えしてしまう」

 東西対抗の長嶋監督の欠席で、オフの球界全体のイベントに取り組む姿勢を正さないといけないという思いを強くしたばかりなのだ。

 日米野球に関してはとくに、将来の「日米決戦」、さらには「プロ野球のワールドカップ」構想がある。

 だからこそ、王監督は、「日米野球でもやるからには絶対勝つ。そのためにも選ばれたら、簡単に辞退などさせない」という強い意識の必要性を強調する。

 「日米の技術論、レベル論以前の姿勢の問題だよ。これが改まらない限り、日米決戦なんて実現しようがないよ」と、断言する。

[夕刊フジ2000年11月08日]