ダイエー来季も敵は“身内”にアリ!



 次の目標は素人フロントの建て直しだ。20年連続Bクラス球団を、連覇に導いたダイエー・王監督。ONシリーズには敗れたものの、その手腕の評価に変わりはない。29日には中内オーナーから「今度は20年日本一を離さないというチームを作ってほしい」と懇願され、来季の続投も決まった。

 「同じリーグ優勝でも、選手権に負けて、去年は見えなかったものが見えてきた。21世紀は新たな決意で挑む」という王監督。3連覇へ最大の障壁は、間違いなくフロントだろう。平成9年の脱税事件に始まりスパイ疑惑、工藤のFA退団に今シリーズの球場貸し騒動。4年連続で、王監督の足を引っ張っている。

 そして、王監督の我慢が限界を超える事件が起きた。巨人に敗れた27日深夜、王監督以下関係者全員は、宿舎に戻り1年間の打ち上げを開いた。この席に、オーナー二男の中内球団社長以下、フロント幹部が一人も来なかったのだ。

 この4年間、耐えに耐えてきた王監督だったが、選手たちの労をねぎらうこともできない背広組に怒り爆発。報道陣が遠目に見ているのも気にせず、慌てて駆けつけた瀬戸山球団本部長と上田球団代表を、「どういうつもりなんだ!」と怒鳴りつけた。

 また、王監督は30日、立命大、山田秋親投手の獲得ために出馬、京都入りしたが、この件のスケジュールを決めるにあたって信じられない発言が。

 午前中に福岡県庁などを訪問するため、「先方へ遅れるかもしれないと断った方がいいんじゃないか」と心配する王監督に、工藤騒動で有名になった高塚副社長が「間に合う飛行機に乗ったけど道が込んでいた、とか言っとけばいいでしょう」と平然と返答する一幕もあった。

 王監督は「ただでさえ山田君の親御さんが(経営危機に)不安を持っているのに…」と大きなため息。懲りないフロントの面々の習慣はなかなか抜けそうにない。

 現場は6年で立て直した王監督だが、今度の目標はかなり厳しそうだ。

[夕刊フジ2000年10月30日]