銀座で30万人の優勝パレードだ。ON決戦を制し、6年ぶりの日本一に輝いた長嶋巨人が11月3日、東京・銀座を中心に優勝パレードを行うことが29日、決定した。管轄の警視庁中央署などでは沿道に、平成6年の17万人を上回る30万人の人手を予測。20世紀最後を飾る豪華な式典となる。また、長嶋茂雄監督(64)が、ユニホームの背中から名前を外し、背番号のみのV9時代のスタイル復活を提案するなど、まさに黄金時代再来の予感だ。
日本列島を大きく揺るがしたON決戦を制しての日本一。その感激は巨人ファンみんなで味わいたい。巨人史上最大『30万人の日本一パレード』が東京・銀座を中心に行われることがこの日、読売本社、球団、関係各方面との調整の上、決定した。
「パレード当日は、祝日ですし、沿道には多くのファンが駆けつけるでしょう。30万人くらいを見込んでいます」
こう説明するのはパレードコースを管轄する警視庁中央署だ。11月3日の文化の日に決まったパレードは、東京・大手町の読売新聞本社前から、中央通りを通って銀座8丁目まで全長約4キロコースで、午前10時半から1時間にわたって行われる予定。熱狂が予想されるパレード警備に同署は全署員を配備する計画だ。
前回、日本一となった平成6年、同じく銀座周辺で行われた優勝パレードには、沿道に約17万2000人(警視庁調べ)のファンを集めた。しかし、「外堀通り」から銀座を抜けた前回とは違い、今回は「中央通り」から銀座に向かう抜けるルート設定。ON決戦の余韻も冷めやまぬファンが、沿道を埋めることは必至。2倍近い30万人という数字が弾き出された。
平成10年に横浜が38年ぶりの日本一に輝いた際のパレードでは、横浜市の中心部で挙行され、このときは空前の40万人ファンが祝福。現状ではこれが球界Vパレードのレコード記録となっているが、今回もそれに迫る豪華かつ熱狂のパレードとなりそうだ。
左腕王国を築き、200発打線で日本一の座についた巨人。この華やかなパレードが、黄金時代の到来を予感させるが、一方で長嶋監督も新提案。来季以降、ユニホームの背中から、ローマ字の名前を外し、背番号のみにしようという新機軸を打ち出した。
「まだオレが、そうしたいなと思っているだけだけどね。シンプルでいいなと思って…」。今回の米大リーグのワールドシリーズをテレビ観戦した際にひらめいた。3連覇を果たしたヤンキースの背番号のみのユニホームにひかれた。前政権時代の昭和51年、自らが大リーグに倣って、背中に名前を入れたのが始まりだった。日本一を契機に、V9など、栄光を極めてきた旧スタイルのユニホームを25年ぶりに復活させ、巨人黄金期へ導く考えだ。
「チーム理想からいえば、まだ2、3の修正ポイントはあります」
あくなきチーム強化を目指し、きょう30日に渡辺恒雄オーナーらに優勝報告を行う予定の長嶋監督。30万人パレード、そしてV9ユニホームの復活と長嶋巨人が絶頂期へと突入する。
○…歓喜の日本一から一夜明けた29日、長嶋監督はテレビ出演に追われた。午前9時30分から日本テレビ系『THE・サンデー』、その後は午後6時からの日本テレビ系『The独占サンデー』に生登場した。
さらに番組終了後は、30日午後9時から放送の日本テレビ系『祝日本一!! おめでとうジャイアンツ 劇空間プロ野球大感謝祭』の収録。番組では村田真に「初めて聞く話だろうけど来年はコーチ補佐もやってもらう話も出ている」と突然のコーチ兼任要請。これには村田真も「いまは現役1本で…」としどろもどろになるシーンもあった。
○…歓喜の日本一から一夜明けたこの日。東京・神田錦町の巨人球団本部には、祝電はじめ、お祝いの酒樽や、花が次々と届けられ、休日返上で出勤した球団職員が対応に追われた。「あす(30日、月曜日)には、もっとたくさんのお祝いが届くのでは…」と球団本部ではうれしい悲鳴が上がっていた。
[サンケイスポーツ2000年10月30日]