不安一蹴、王監督余裕しゃくしゃく



 ON決戦第3Rに惨敗したダイエー・王監督。巨人の超重量打線が目を覚ましてしまうおまけ付きで、シリーズの流れも巨人に取られた雰囲気さえある。しかし、福岡市内の雁の巣球場で行われた24日の練習で、王監督はこうした心配を打ち消すように、明るい“オーラ”をふりまいた。

 「きょうは放牧だよ」と打撃練習は選手の自由にして、秋山と城島はパス。代わりに若菜バッテリーコーチを打たせたほか、見学にきていた元横綱若乃花の藤島親方に、「君も打ってみないか」とノリノリ。全体の練習も2時間足らずで切り上げてしまった。

 「巨人サイドから見れば、これで五分になったと思うだろう。でも4連戦を2勝2敗でいいのと、3勝1敗が必要なのでは、大きな違いだよ」と王監督。

 第3戦までに先発投手陣が完全に崩壊。主砲・小久保の故障と、26日からの4連戦には大きな不安を残している。それでも王監督は「ハナから第7戦までやるつもりですよ。オレは日曜日まで別のイベントは入れていないからね」と、福岡ドームを日本脳神経外科学会に貸し出したフロントを引き合いに出して、周囲を笑わせていた。

 この日の冗舌ぶりは、FA宣言をした阪神の新庄にも及んだ。「ジャイアンツが取りに行くのかな。松井がいるのにね」と、ポジション無視の巨人の乱獲ぶりをチクリ。

 かつてはダイエーも工藤、石毛らFA選手を買い占めた時期があったが、「今のウチにはFAで選手を取る、という考えはないからね」と親会社の経営危機を配慮しつつ、巨人と対極にあるチーム作りを強調した。

 「ウチは公式戦の勝率から見て、100回やったら45回は負けるチーム。ジャイアンツに3つも4つも続けて勝てるはずがないよ」と話す王監督からは、1つの負けで慌てている様子はまったく感じられなかった。

[夕刊フジ2000年10月25日]