【ダイエー8―3巨人】城島がダメを押し、城島が勝利を決定づけた。シリーズ第2戦。鷹の指令塔が日本シリーズMVP候補に躍り出た。
「バットが届く範囲は全部行くつもりだった。ホームランはたまたまです。得点に絡むバッティングができてよかったです」
驚異の4連続適時打で3点のビハインドをひっくり返した五回。城島のバットが更なる波状攻撃を仕掛けた。二死二、三塁となおも続くチャンスで相手の前進守備を嘲笑うかのような中越え2点タイムリー。巨人を崖っぷちに追い詰めると、七回は左手一本で左翼席に2ランを運ぶ。2夜連続となるアーチで試合は決まったも同然だった。
逆転後の追加点は全て1人で叩き出したもの。4打点の荒稼ぎ。クリーンアップの外にいる男が、こんなにも勝負強いのがダイエー打線の恐ろしさだ。
打つ方で魅せれば、守りも冴えた。先発の永井から抑えのペドラザまで計6人の投手を好リード。被本塁打ゼロ。強力巨人打線に頭脳と度胸で立ちはだかった。「彼が打てば打つほど、リードの方も乗ってきた」と王監督も目を細める。細かい継投策も、頼れる正捕手あってのさい配だ。
「ウチの素晴らしい投手陣を全国にアピールしたいんです。こんなにいいピッチャーがパにもいると…。常にTVに出てる訳じゃないし、名前も知らない人もいるだろうけど」
普段、スポットの当たらない名脇役たちを全国区の大舞台で輝かせたい。それがマスクを被った城島の野心でもある。そして尊敬する王監督を胴上げしたい。将来、授かるであろう自分の子供の名前には『貞』か『治』の文字を貰うつもりでいる。巨人を倒して日本一…。それが、パ・リーグに定めを受けた球団を率いる闘将の悲願であることを知っているからだ。
「普段通り。いつもと一緒。レギュラーシーズンと変わんないでしょ? いつも観てる人なら分かるでしょ? まぁ、これで4連敗しても6戦目まで行けるからホッとしたよ」
いつものジョークで報道陣を笑わせた城島。23日も一発を放てば、シリーズ記録に並ぶ3戦連発の偉業となる。
○…ダイエーが五回、7安打(二塁打3本、単打4本)で一挙6点。
ダイエーは昨年、優勝を決めた中日第5戦(ナゴヤドーム)の三回にも6点をとっている。
ちなみにシリーズのイニング最多得点は、昭和38年、巨人が西鉄第7戦の四回にマークした9点。
七回には城島が2ランホーマー。シリーズの連続試合本塁打は『3』で、昭和33年、西鉄・中西太が巨人第5、6、7戦。阪神・バースが昭和60年西武第1、2、3戦で記録している。
城島が第3戦でも打てば、ふたりの記録に並ぶ。
[サンケイスポーツ2000年10月23日]