テレビでON直接対決



 巨人・長嶋茂雄監督(64)とダイエー王貞治監督(60)が日本シリーズを6日後に控えた15日、NHKの「サンデースポーツ」で対談、エールを交換した。長嶋監督は、ダイエーの城島捕手を徹底的にマーク、一方の王監督は、巨人の第一戦先発が予想される工藤攻略に全力を傾けることを宣言。それぞれシリーズ制覇を目指すプランを明かした。

 長嶋監督はこの日、7日間に及ぶ宮崎でのシリーズ合宿を終え帰京したその足で東京・渋谷のNHK放送センターにかけつけた。一方の王監督はNHK福岡放送局からON対決への意気込みを語った。

 相手監督の印象について、長嶋監督は「昨年、チームを日本一に導くだけでなく、連覇を達成したその指揮系統の確率に敬意を表したい」と2年連続Vの手腕を評価。王監督は「外見のイメージとは違って繊細な部分があり、(さい配は)オーソドックスで慎重派。今回でもダイエーの情報を熟知した上で、チームを優位に導く用兵をしてくるだろう」と、分析した。

 また、シリーズ開幕投手について長嶋監督は「だいたいファンの人が考えていることとほぼ同じ」とし、工藤ですね、と突っ込まれると「エヘヘヘ」と笑って否定せず。王監督は最有力候補の若田部について「調子はいいし、昨年より精神的に成長している」とこちらも否定しなかった。

 相手チームの要注意人物として、長嶋監督は改めて城島を指名。「マスクの力(リード面)も大きいし、バッティングでも意外性を発揮する。こちらの勝利に大きく立ちはだかる存在」と徹底マークを宣言。王監督は、昨年の自軍のエース・工藤の名を挙げ「手こずるのは間違いないが、乗り越えなきゃいけない第一関門。勝てば大きく流れはこちら傾くから、第一戦にすべてをかける気持ちで戦う」と、初戦の工藤攻略に全力を挙げる構えだ。

 シリーズの戦い方について、長嶋監督は「自然体で臨んでウチらしい野球をしたい」と圧倒的戦力を前面に押し出した正攻法で臨むと断言。王監督は「接戦に持ち込めば、ウチの勝率は上がる」とし、自慢の投手力による逃げ切る野球で、連続日本一を目指すと宣言して、異例の対決指揮官テレビ対談を締めくくった。

 [長嶋監督]

 宮崎合宿は大成功 「宮崎は大成功ですよ。全体的には野手も打ち込めたしね。試合での収穫といえばマルちゃん(マルティネス)でしょう。あとはドームに帰ってからだね」(宮崎シリーズ合宿を打ち上げて)

 工藤もOK 「工藤については心配いりませんね。きょう投げたから、東京ドームの1か所打撃でも投げる必要はないだろう。あれで十分だ」(初めてブルペンに入った工藤について)

 第7戦までもつれれば 「今年の日本シリーズは、視聴率どのくらいいくのかな。3勝3敗で第7戦を迎えれば歴史的になるだろうね」

 [王監督]

 電話も大変 「そうか、きょうから(シリーズ入場券の)発売か。でも電話予約だろう? (電話のボタンを)いちいち押していたら大変だよね」

 あのころはよかった 「今のファンはフリー打撃を見て楽しめないだろうね。昔は開場も早くて、お目当ての選手の練習を見ることができた。試合で本塁打が出るとは限らないけど、練習は見られるからね」(公開練習に詰めかけたファンを見回しながら)

 勝負は試合終盤 「6回まで何とかすれば、それ以降はこちらの方が有利。7、8、9回で本来の戦い方ができるし、手の打ちようもあるよ」

 日本一の貫録 「総合力は巨人の方が上だけど、短期決戦は(勢いに)乗った方が上。十分チャンスはあるし、今年も去年と同じように…」

[スポーツ報知2000年10月16日]