プレON対決が実現した、11日の黒潮リーグダイエー対巨人(春野)。ダイエーの収穫は8月に受けた左肩内視鏡手術から復帰した、井口の2試合連続本塁打。しかし、巨人の収穫も井口の打撃を見られたことだった。
両軍とも日本シリーズへの予備知識を与えないため、主力を隠しあった。その中で井口は2打席限定ながら出場。早速巨人は水野投手コーチが第1打席は内角、2打席目は外側だけを攻めるよう指示。井口の傾向をチェックした。
2打席目に左中間本塁打を許したが、水野コーチは「きょう試合で見られたのはラッキーだよ。具体的なことは言えないけど、収穫はあった。すぐ長嶋監督に報告するし、ミーティングでも使わせてもらいます」と満足していた。
井口は8月から登録を抹消されていた。巨人の偵察部隊に丸裸にされたダイエーにあって、まさに唯一の生き残り。王監督も「向こうは左ばかり(工藤、メイ、高橋尚)で来るだろうし、何より大舞台に強いからね」と、井口を秘密兵器として温存していた。
それが、本番直前に巨人の一軍コーチに解剖されてしまった。井口は「探りに来たのはすぐ分かりました。第3打席も立っていたら、変化球を試してきたでしょうね。ピッチャーの格が違いすぎて、参考にはならないはずですよ」と気にしていないが、とことんツイていない。
一方のダイエー偵察隊は、依然収穫なし。巨人は黒潮リーグへ派遣している一軍投手陣を、ダイエー戦には登板させない。野手は最初から派遣しておらず、資料の集めようがない。
「実際に見ないとダメ。テレビの録画と、実際に見て判断した資料は全然違いますから」と、ダイエーの望月チーフスコアラーは必死の努力を続けているが、情報戦での差は一向に縮まりそうにない。
[夕刊フジ2000年10月12日]