ダイエーが王手!いよいよON決戦だ



【ダイエー3―0西武】あと1つ。もう、見えた。巨人との日本一決戦まで『M1』。王ダイエーが連覇へ“王手”だ。

 「マジックが1になったら、相手の気持ちも、どうしても…というのがなくなる。これで、流れを見ながら、絶対に勝つという試合を作ればいいんだ」

 自信と安堵が、王監督の言葉にあふれる。古巣巨人が先に優勝を決めた。こちらはマジック点灯後、シドニー五輪開催に伴う5日間ゲームなしの空白が、9月下旬に2度もあった。勢いが途切れないだろうか…。一抹の不安と、先走る周囲のムードとの“かい離”を感じていたのは、事実だ。「ここまできたら、優勝を逃せないんだ。その気持ちがあるからね。オリンピック? じっくり見るなんて感じにならない。戦っていたら、勝った、負けたが出る。その方がいいよ」

 松坂の大奮投で、この日の本拠地胴上げの可能性が消えた、前日3日の敗戦。これが、続いたらどうしよう…。最悪のケースを考えるのが、監督という仕事。しかし、6年の月日を費やし、育て上げた選手たちは、頼もしかった。

 「1打席、1回しか振れませんね。痛くて…」

 先月8日の西武戦で骨折した大道の左手親指は、まだ曲がらない。それでも王監督は勝負強さを見込んで、前日から一軍登録。その大道が五回二死一、二塁で、豊田のフォークをレフト前へ先制打。王監督がうれしそうに言った。

 「執念だ。気持ちだ。呼び寄せたんだよ。相手も感じたんじゃないかな」

 六回二死二塁のピンチでは、垣内の大飛球がドームの屋根に当たって三塁・小久保がキャッチ。八回、フェルナンデスの痛烈な打球は投手・渡辺正の右太ももを直撃したあと一塁ゴロに。ツキまで呼び込んだ。遮るものは何もない。

 5日から、ロードでロッテと2連戦。長嶋茂雄を生んだ千葉の空に、王貞治の大きな体が、舞う。 

 ★データBOX

 ダイエーの完封勝利は、今季10度目(近鉄4、西武2、日本ハム2、ロッテ1、オリックス1)。昨年も12完封しているが、2年連続2ケタは南海時代の昭和50年、51年(14、15完封)以来、24年ぶり。ダイエー球団にとっては初めてになる。

 マジック1になって、5日はロッテ戦(千葉マリン)。今季千葉マリンでは○○○○●●●●●と4勝5敗。目下5連敗中だ。ホームランは9本(松中4、小久保2、柴原、井口、吉永)飛んでいる。

 ○…千葉で連覇を決めれば、浦安市内のホテルで祝勝会が行われる。歓喜の儀式は、おなじみのビールかけではなく、昨年の日本一の際に使った炭酸水入りボトルの『祝勝水』を使う。「博多の山笠。そのときの勢い水。それをイメージしたものなんです。どう映りますかね、皆さん」と高塚球団副社長。本体のダイエーの主力商品であるビールを、むやみにかけたりするのは、よくない…という中内オーナーの意向もあっての“水かけ”だ。

 ○…ダイエーとの2連戦を5、6日と開催する千葉マリン球場では、警備員を50人増員して250人態勢で臨む。試合開始2時間前から2台出ているJR京葉線「海浜幕張駅」発の無料シャトルバスも、1台増便してピストン輸送する。当日券は外野席約7000枚に加え、内野席券も用意されている。

[サンケイスポーツ2000年10月05日]