工藤&メイ、左腕2枚で先手必勝だ。すでに日本シリーズの対戦相手をダイエー一本に絞った巨人・長嶋茂雄監督(64)は、ON決戦の第1戦に工藤公康投手(37)、第2戦にダレル・メイ投手(27)とダイエー打線が苦手とする左腕2枚を先発に指名することを決断した。シリーズ勝率8割の連勝スタートで、平成6年以来、6年ぶりの日本一を目指す。
確信を持って送り出す。狙うは工藤、メイでの連勝発進。日本中が注目するON決戦へ向け、長嶋監督が掲げたのはシリーズ勝率8割の『先手必勝』の旗印だった。
「最初から飛ばしていきますよ、ハイ」。9月25日に行った渡辺オーナーらへの優勝報告の席上、高らかに宣言した長嶋監督。打倒・王ダイエーの刺客に選んだのは共にチーム最多の12勝を挙げた左腕2枚だ。
「調子のいい投手から順に先発させる」方針を打ち出した長嶋監督だが、まずシリーズ第1戦の先発に指名したのは工藤だ。西武、ダイエーで過去12回の日本シリーズを経験。昨年の日本シリーズでは、第1戦で中日相手に完封勝利を挙げ、ダイエーを日本一に導いたのは記憶に新しい。
すでに9月23日からダイエーに対し、偵察部隊を送り込んでいる。その第1印象は『左腕投手に弱い打線』。今季のダイエー打線は右投手には60勝40敗、打率・271、99本塁打に対し、左投手には11勝14敗、打率・261、23本塁打(すべて2日現在)と極端な弱さをさらけ出した。今季開幕2カード目の中日3連戦に工藤、メイ、高橋尚と左腕3枚を並べて3連勝。一気にペナントの主導権を握った長嶋監督。7戦の短期決戦に、相手の弱みに付け込まない手はない。
「左の投手にとっては攻めやすい打線だね。ポイントとなる変化球を使う伏線さえ間違えなければ…」とは巨人・三井スコアラー。左腕絶対有利の法則を打ち出した中、刺客その1は工藤で決まり。しかも第1戦の先発投手には「データの裏付け」の重要任務がある。事前に集めて分析したデータを確認するのは、抜群の制球が必要。すべてを兼ね備えるのは工藤しかいない。そして刺客その2のメイでダメ押しだ。
「第1戦はデータを確かめることが重要。となれば先発も自然に決まってくるだろ」と鹿取投手コーチ。過去50回の日本シリーズ。第1戦から連勝スタートしたチームの日本一確率は80%。きょう3日からシリーズ練習をスタートする巨人。必勝プランに沿って、打倒・王ダイエーを目指す。
[サンケイスポーツ2000年10月03日]