巨人・長嶋監督=写真右=が王ダイエーのリーグ連覇に太鼓判。待望のONシリーズ実現で40%以上の視聴率獲得宣言。シドニー五輪人気を吹き飛ばす、空前絶後の野球景気を狙う。
頭の中は、すでに4年ぶりのリーグ優勝を通り越し、日本シリーズの相手に飛んでいる巨人・長嶋監督。
7月16日以来、球宴後初の東京ドームでの横浜3連戦よりも福岡ドームでのダイエーvs西武のパ・リーグ首位攻防3連戦に熱視線を送っている。
「ダイエーは今年も大丈夫でしょう。これまでの戦いぶりからみて十分にいけますよ。勝負どころの9月中旬から西武は松坂がシドニー五輪へ行くのが痛いね。大きく響くと思うよ」
こう断言。最終的に、最大のライバル西武が松坂のシドニー五輪行きで自滅する追い風も吹き、王ダイエーのリーグ連覇当確の太鼓判を早々と押したのだ。
西武にとって昨年の悪夢再びという長嶋予告だ。五輪アジア予選参加のために松坂が戦列を離れたことで、西武は自滅。
「松坂がいなくなったことは本当に助かった」と、ダイエー・王監督を狂喜乱舞させたが、今年も二の舞いを演じるというのだ。
となれば、悲願のONシリーズが6年目でついに初めて実現することになる。長嶋監督のトーンは当然のように、一気に上がる。
「やりますよ、20世紀の最後を飾るONシリーズを!見ててください。ONシリーズとなれば、日本全国が沸き上がり、テレビの視聴率も軽く40%を超えるでしょう」
こう高らかにONシリーズでの40%超え宣言までやってのけたのだ。独走態勢を築きながら、視聴率がいまひとつ、盛り上がらない今季の巨人戦。だれよりもファンの動向を気にする長嶋監督としては、ONシリーズを野球人気回復の起爆剤にしたいという願いも込められている。
そして、当然のように、9月15日から始まるシドニー五輪が視野に入っている。
「8月でマジックを出し、シドニー五輪前に優勝を決めたい」と、前々から公言している長嶋監督。シドニー五輪が始まれば、五輪一色でプロ野球の話題がかすんでしまう恐れがあるからだ。
シドニー五輪前に長嶋巨人の優勝で話題を独占しようという長嶋監督の思惑だが、ONシリーズとなれば、二段攻撃ができる。
通常なら、五輪が終わってもしばらくは尾を引く。マスコミの中心は、五輪ものでのフォロー話題が続く。ところが、ONシリーズとなれば、話は全く別だ。五輪終了と同時に、またプロ野球一色に塗り替えることができる。
「ONシリーズならばシドニー五輪など吹き飛ばせですよ」と、長嶋監督が強気一点張りなのも当然だろう。
「優勝が早く決まりすぎると、シリーズまでの話題をつなぐのに困るが、ON決戦となれば、そんなことはない。1カ月空いても大丈夫。社会的現象になるだろうし、いくらでも盛り上げようがある」と、テレビ局関係者が言い切っているからだ。
10月21日から、セ・リーグの優勝チームの本拠地から始まる今年の日本シリーズ。さて、長嶋監督のお墨付き通りに王ダイエーが相手となり、空前絶後の野球景気が訪れるか。