渡辺オーナー、継投失敗に「頭を使え」


 長嶋クン、“王継投”を見習いなさい! 巨人・渡辺恒雄オーナーが長嶋茂雄監督に厳しいアドバイスだ。12球団随一の戦力を持ちながら、オープン戦は11位と低迷する巨人。最大の敗因はリリーフ陣の崩壊だ。

 長嶋監督は岡島と趙のダブルストッパー構想を持っていたが、趙がオープン戦防御率37.13という天文学的背信で失格。代役テストの三沢も20日のヤクルト戦(岐阜)の九回に登板して4失点と、メドが立たない。こんな状況に、渡辺オーナーが我慢できるはずもなかった。

 21日、定例の日本新聞協会の会合後、同じく定例となっている巨人番記者の取材に応じた渡辺オーナーは、「オープン戦あんまり良くないじゃないか。何勝何敗だ?(4勝9敗2分)打撃陣はあれだけあって、先発はいるし、中継ぎだってそこそこある。抑えがどうも足りないんだよ。韓国人がなあ。3人もいて」とオープン戦低迷の原因を指摘した。

 長嶋監督は打開策として、開幕後にメジャーのベンチ入りロースターから漏れた選手を緊急輸入。韓国人トリオとの総入れ替えを狙っているが、「今、あれだけ数はいるんだから、ちょっと頭を使えばできるだろう」と、長嶋監督の欲しい欲しい病をけん制すると同時に、さい配の自己反省も求めた。

 そして、その手本に持ちだしたのが、何とダイエー・王貞治監督のさい配だった。「ダイエーなんかうまく使ってるだろう。中継ぎを細かくつないで成功しているんだから」と、長嶋監督にとって盟友と同時に最大のライバルである、王監督の継投術を見習うようすすめたのだった。

 また、渡辺オーナーが突然、王さい配を公然と称賛したことは、21世紀最初にして最大のストーブネタでもあった。読売内部では「長嶋監督の次が務まるのは王監督しかいない」との声が根強いという。今回のオーナー発言に勢いを得て、その動きが加速するのは間違いないからだ。

 まあそれはともかく、王継投が万全なのも、抑えをペドラザで固定できているから。そのペドラザは、今回長嶋監督が狙っているのと同じ方法で、開幕後に安値で獲得した選手だった。渡辺オーナーも「探す探さないは監督が決めること」と、新外国人ストッパーは長嶋監督に全権委任している。長嶋監督が王監督に近づくには、まず新外国人探しから、ということだろうか。


[夕刊フジ2001年03月22日]