王ダイエー、巨人級の超重量打線


 ダイエー・王貞治監督が未完の大器、井口資仁内野手を再生。開幕戦に長嶋巨人級の超強力オーダーで臨む。9日の対阪神オープン戦(大分)からの10試合を「本番に備えて勝ちに行く試合」と位置付ける王監督。スタメンも1試合、1試合、開幕オーダーに近づける考えだ。

 王監督が期待するのは、5年目を迎えた井口だ。巨人との大争奪戦の末に獲得。青山学院大の先輩である中内正オーナーにかわいがられ、「指導が厳し過ぎる」と打撃コーチを更迭させたり、鷹のプリンスとして扱われてきた。

 しかし、王子様待遇に反して成績はいまひとつ。昨年7月には右ひじを手術するなど、リーグ連覇には貢献できなかった。そのため今年は二塁へコンバート。登録名も「忠仁」から「資仁」に変更するなど、今季にかけている。

 王監督もその意気を買って、今年は何かと気にかけている。「素材は超一流。だからわれわれの期待も大きくなって、損をさせてきたんだ」と周囲の厳しい目から擁護。さらに「今年の調子なら、無理に飛ばそうとしなくても、ちゃんと打てば30本は打てる」と30発を保証した。

 そして、王監督はこの30発男を何と「9番」に据えるという。井口を信用してないのではなく、ここしか空いてないのだ。あの秋山ですら、王構想では「このメンバーでは8番しか置くところがない」というのだから仕方がない。

 今年の王監督は、1番から9番を3ブロックに分けて打線を組む。4番・小久保から松中、城島までの「中軸」を、1番・柴原から鳥越、バルデスの「上位」と、7番・ミッチェルから秋山、井口の「下位」で挟むというものだ。

 「上3人には『大きいのはいらない。センター返しだけやってろ』と言っている」と王監督。中軸3人の実力については今さら言うまでもない。目玉は下位の3人だ。ミッチェルは王監督連日の直接指導が実って、オープン戦で2試合連続アーチ。「後は早くストライクゾーンに慣れてくれれば、30本は行ける」とこちらにも大台を期待する。

 出塁率の高い3人を、自慢の中軸打線が返した後も、なおかつ30発クラスの下位打線が続く。他球団には驚異の超強力打線の登場だ。あとは残るオープン戦で、完成へ向けた整備をしておくだけ。もはや王監督の目はリーグ3連覇よりも、長嶋巨人の200発打線との打ち合いに向いているのかもしれない。


[夕刊フジ2001年03月10日]