ピンチ!長嶋巨人、観客席スカスカ


 長嶋巨人のオープン戦での観客動員が伸びない。8日のナゴヤドームでの対抗馬・星野中日vs大本命・長嶋巨人の注目試合でも2万5000人どまり。ところが、3連覇を目指す王ダイエーは目覚ましい観客動員だ。こちらのON対決は、王ダイエーに軍配が上がっている。

 星野中日vs長嶋巨人の対決の見せ場は、試合前の長嶋監督の仕掛けだけ。中日の練習中に突然、グラウンドへ飛び出し、打撃ケージ後方にいた星野監督の元へ出向いたのだ。

 両監督付きの広報担当がベンチ裏で話し合いをしている最中、あとからトップ会談を知って驚いたように、全く予期せぬ行動にカメラマンがあわてふためき、一騒動になった。

 盛り上がったのはここまで。試合はスタンド同様に、お寒い内容の大乱戦でただ長いだけ。ON以来の不動の4番・松井が宮崎居残り不在ではアピール度が足りない。

 「宮崎キャンプから帰京しないで、そのまま長いオープン戦に突入したので、選手を2組に分けた訳で、選手には不満はないでしょう」と、球団関係者は言うが、甘やかし過ぎだ。

 宮崎キャンプから36泊の長い遠征を65歳の長嶋監督がこなしているのだから、若い主力たちを2組に分け、居残り組を作る必要などない。

 V9時代のONコンビが看板打者としてオープン戦も常時出場したように、松井、高橋由の新看板コンビだけでも、毎試合出るのが当然だろう。

 スタンドの盛り上がりのなさはこの日の中日戦だけではない。福岡ドームのダイエーvs横浜戦に3万2000人のファンが集まった7日の広島vs巨人戦(倉敷)も1万8000人しか入らなかった。

 秋のONシリーズ再現を期待する、春のON対決は主催、ビジターの2試合とも福岡ドームが超満員の4万8000人で埋まったが、その後は長嶋巨人と王ダイエーでは明暗を分けている。

 月曜日のナイターだった5日のダイエーvsヤクルト戦は、なんと3万8000人の大入り。

 「王ダイエーはすごいな。福岡だけは燃えているのか」と、球界関係者を仰天させている。

 「ファンも目が肥えているから、今時オープン戦は入らないよ」と、巨人関係者は言うが、王ダイエーの目覚ましい観客動員を見れば、言い訳にすぎないことになる。

 長嶋巨人の観客動員を調べても、めったに行かない長崎での主催の阪神戦、ビジターだった、下関での森横浜との新遺恨戦は満員になっている。要するに話題性などがあれば、ファンは集まってくるのだ。

 「来年はサッカーのワールドカップもあるし、負けないためには、キャンプから野球の話題を提供してファンを引き付けていかないといけない」と、危機感をあらわにしていた長嶋監督だが、まさにその通り。松井に居残り調整させている暇などない。

 オープン戦から毎日が勝負。王ダイエーのように、観客動員に真剣に取り組んでいかないと、公式戦で泣きを見る。

[夕刊フジ2001年03月09日]