パ・リーグ3連覇と長嶋巨人からの日本一奪還を狙う王ダイエーが、28日、高知キャンプを打ち上げた。王貞治監督は就任以来7度目のキャンプを総括して、「こんな楽なキャンプはなかった」と大胆発言。投打に充実した戦力への信頼を、この一言で言い表した。
特に、毎年最大の弱点だった先発投手陣の整備が完了。「まだローテの名前は白紙」というが、だれも候補がいなかった昨年までとは大違い。候補者がめじろ押しで「オープン戦で試すまで」絞りきれないのだ。
その証拠に、キャンプ前まで「2人で20勝は」と期待していた山村路直、山田秋親の超大物新人コンビの扱いが急変。今では「別に急がせる必要はない」と全く計算に入れていない。
背筋痛などでキャンプ中に二軍落ちした山村には、「開幕からは必要ない。ゆっくり治しなさい」と早くも開幕二軍を通告。山田についても「とりあえず福岡の皆さんには見てもらいますけど」と、3月4日の対巨人オープン戦(福岡ドーム)以降の一軍テストは未定だ。
そして王監督は、「選手のやる気を一番感じたキャンプだった。心配なのは監督の気の緩みだけ。監督が選手の力を引き出せれば、目標は達成できる」と、3連覇への死角は自分だけ、とまで言ってのけた。
現役時代、不断の努力で868本塁打を残した王監督。この人に限って「気の緩み」など起きるはずもない。そう思ったのだが、王監督によると、気苦労がなくなったせいか食欲過剰。気持ちの余裕が腹回りに出てきているのだという。
「今年は食事がおいしくておいしくて、恥ずかしくて言えないほど太った。首脳陣用に低カロリーの食事も用意してもらってたんだけど、体があっち(選手用メニュー)の味を覚えてるからね」と王監督。
そこで3月24日の開幕まで、気持ちの引き締めとダイエットを兼ね、禁酒を行うことにした。「開幕戦の夜の酒がうまくなるか、まずくなるかまではわからんけど、とにかくやせなきゃならん」と王監督。そうは言っても選手の充実ぶりからは、毎晩のような勝利の美酒となりそう。とてもやせるヒマはなさそうだ。
[夕刊フジ2001年03月01日]