リーグ3連覇に自信をみなぎらせるダイエー・王監督が、みそぎに燃える3年目の西武・松坂を一蹴。パ・リーグ人気回復へ、長嶋監督顔負けの盛り上げ役を宣言した。
雨のために西武・松坂の紅白戦登板が22日に延期。しかも1イニングだけになったが、王ダイエーは21日も予定通り、紅白戦を行った。
「西武も阪神も中止? 高知でキャンプをやっているチームで紅白戦ができたのは、ウチだけか。日ごろの行いがいいからね」と、満面に笑みの王監督。最大のライバルと目される西武に関して、「投手陣がいいからね」と、一応、敬意を表するが、本音は違う。
西武が3年ぶりのV奪回を果たすには、無免許運転事件の不祥事をバネにした松坂が20勝するなど大車輪の活躍しかない。
「若いうちにはいろいろあるよ。あれを反省材料にして、頑張れば、かえってよかったということになる」と、みそぎに燃える松坂に好意的な王監督だ。
今でこそ国民栄誉賞に象徴されるように、聖人君子のイメージだが、若いころは酒豪として鳴らし、銀座を豪遊したこともある。それだけに、優等生のイメージだけできた松坂が挫折したことはかえって今後にプラスするというのだ。
が、ダイエーに立ちはだかるライバルとしては、さほど脅威は感じていない。
「3年目の松坂はいいと聞いている」と言いながら、こう断言する。
「でも、20勝はむずかしいだろう。試合数が5試合増えた分は有利でも、もともとコントロールに問題がある投手だからね。あの制球力では20勝するのはしんどいだろう」
一時は松坂に追い風となると思われた高めのボールを取るというストライクゾーンの変更も元のモクアミ。
「監督会議で30分以上も話し合ったのに、今まで通りと言うんだから、話にならない」と、怒りをみせる王監督だが、ダメージを受けるのは松坂の方だろう。
西武の切り札・松坂の脅威がなければ、ダイエーの3連覇の確率は高まる。自信を深める王監督は、余裕のパ・リーグ盛り上げ宣言までする。
高知入りしてからの西武・東尾監督との舌戦をある週刊誌が「ヤラセ疑惑。世界の王がそんなことをやらされ、哀れだ」と報じたが、それも笑い飛ばす。
「東尾との舌戦? アッハハハ。盛り上げるためにはいろいろやらなくちゃね」と、全く意に介さないどころか、パ・リーグ人気回復へ仕掛け人を買って出る。
リーグ連覇で長嶋巨人に次ぐ観客動員を記録した実績が、王監督の自信の裏付けになっているのだ。
これまで動く広告塔は巨人・長嶋監督の専売特許になっていたが、王監督も負けじと、パ・リーグのスポークスマンを演じる。
「パ・リーグを活性化するには人気のあるダイエーと西武が激しい優勝争いをするしかない」というのが、連盟首脳の切なる願いだが、王監督は西武など眼中にない。視線の先は長嶋巨人だ。
[夕刊フジ2001年02月22日]