王ダイエーの宮崎進出で県と市が暗闘?



 宮崎でもON対決ぼっ発か。来年12月、宮崎市跡江に完成する新宮崎市営球場への王ダイエー進出説が、地元ではしきりにささやかれている。2年後のON宮崎キャンプ対決情報の裏側と成り行きは?

 6日、松形祐尭・宮崎県知事が、宮崎市営球場を訪れ、巨人・長嶋監督に対し、宮崎牛70キロと宮崎産カツオ30キロを差し入れ、激励した。

 「日本一になってよかった。今年も巨人が優勝だ。長嶋監督が命名してくれたサンマリンスタジアムのコケラ落としも巨人戦(25日=広島戦)でよかった」と知事は上機嫌。

 「公式戦開催の申し入れ? 今日はその話はしなかった」というが、長嶋巨人の公式戦開催に色気タップリなのは事実だ。

 現在、ネジレ現象になっている長嶋巨人のキャンプが来春からようやくスッキリする形になるのだから、一気に公式戦も、というのは当然だろう。

 今、長嶋巨人の宮崎キャンプは、県営の総合運動公園で行われているが、メーン球場になっているのは、市営球場とややこしい。

 25日コケラ落としとなる3万人収容のサン・マリンスタジアムは県営で、来春のキャンプからメーン球場になると、スッキリ一本化する。

 ところが、そうなると新たな問題が起きてくる。

 「宮崎県と宮崎市は本当に仲が悪い。何かといがみ合って、お互いの足を引っ張り合っている」と、地元関係者が明かす。

 長嶋巨人を県側に完全に握られる市側の反発が当然のように予想される。その延長戦上にあるのが、2年後の王ダイエーの新市営球場進出説ということになる。

 「市長と王監督が個人的にも親しいから、ダイエーが来るという話になっている」と、一般市民、タクシーの運転手たちの間で評判になっているのだ。

 県vs市の対立という裏事情はともかくとして、実現すれば、宮崎でON対決となるから、ファンにとっては興味津々で話題沸騰。6球団がキャンプを張る沖縄を圧倒するキャンプ・タウンとして経済効果も計り知れなくなる。

 ところが、肝心な実現性となると、五里霧中。2年先にダイエーという球団が本当に存在するかどうか、保証できる球界関係者は一人もいないだろう。たとえあっても、王監督がいるかどうかわからない。

 しかも、長嶋巨人の方にしても不確定要素がある。宮崎キャンプは、長嶋監督の巨人入団2年目の昭和34年からスタート。現在まで42年も続いている。簡単にキャンプ地が変わることはないだろうが、絶対とは言い切れない。

 表面化していないが、過去に1度だけ、沖縄・読谷へのキャンプ地移転が真剣に検討されたことがあるからだ。

 それよりも最大の問題は、20日に65歳の誕生日を迎える長嶋監督が2年後もユニホームを着ているかどうか。長嶋監督の去就は、本人の意思次第。

 「第4期黄金時代のレールは敷いた」と、長嶋監督が勇退を決断したら、渡辺オーナーでも止められない。

 「2年後には王さんが巨人監督として宮崎キャンプにいたりして」という巨人関係者の声を笑い飛ばせないだろう。

 地元では評判の、2年後の宮崎ON対決が実現したら、それこそメーク・ミラクルといえる。

[夕刊フジ2001年02月07日]