新遺恨戦の森横浜、最大のライバル星野中日もいっさい眼中になし。「今年は相手のことはいっさい気にする必要がない。ウチの戦力だけしっかり整備すればいい」。巨人・長嶋監督がリーグ連覇、2年連続の日本一へライバルなし宣言をぶち上げた。
「ヘエーッ、2人が自転車に乗っているんだ。去年、オレが乗ってたような自転車を。実は、今年も用意はしてるんだけれど、チャンスがなくてね」
長嶋監督が興味を示したのは、中日・星野監督、横浜・森新監督が、キャンプで自転車に乗っていることくらい。
昨年、長嶋監督が宮崎キャンプで愛用した自転車は大ヒット。長嶋監督のおかげでアッという間に全国区になったからだ。それが今年は星野監督、森新監督までが使っているとなれば、先駆けとして、鼻が高いのも当然。
自らが1年先を走り、2監督が1年遅れで追走しているようなもの。敵ではない?
「今年は本当に相手チームのことは全く気にする必要はありません。ウチが戦力をキッチリ整備すればいい。だから『内なる戦い』と言っているんですよ」
こう、自信満々に無敵宣言してのける。新しい敵となる森横浜に関しても、この宮崎キャンプで情報は収集済み。
「ゴンちゃん(権藤・前横浜監督)から内情を聞かせてもらいました。あそこもいろいろ大変だね」と、同情的な発言までする。
森監督と並んで、これまで神経をとがらせていた、天敵の阪神・野村監督などすでに過去の人。
「阪神の話題が少ないね。新庄ばかりが騒がれて」と、これまた、話題にもならない野村阪神の心配まで。
リーグ連覇に絶対的な自信をみなぎらせる長嶋監督の言葉にウソはない。
「オーナーとも話したんだよ、『黄金時代はもうちょっとです』とね」
V9を超えたV10の大号令を発している渡辺オーナーに対して、第4期黄金時代は間近と確約したというのだから、無敵宣言は本音だろう。
「打線はもう出来上がっているからね。捕手の阿部を取ったし、あとは投手陣だけだね。ベテラン依存をなくしていくのは」
最終段階は投手陣の若返り完成だというのだ。2年連続日本一へ障害があるとすれば、王ダイエーくらいなもの。
「本音を言うと、もうONシリーズはやりたくない。ワンちゃんを敵に回してやるのは、本当にやりにくいんだよ。やっつけてやろうという闘志がわいてこないんだ」と、弱音を吐いているからだ。
第4期黄金時代作りには現役時代同様に、燃える男も、21世紀初頭のONシリーズ再現には不完全燃焼状態なのだ。対照的に、リーグ3連覇の実現性が高い王監督の方は雪辱に燃えている。
「今年も絶対にONシリーズをやりたい。ミスターに負けたままでは気分が悪い。とりあえず1勝1敗にしておかないとね」
戦う前からこれではハンディがある。ライバルなし宣言した長嶋監督だが、盟友の王監督をどうライバルに仕立てるか。内なる戦いは、選手だけでなく、長嶋監督にも当てはまる。
[夕刊フジ2001年02月06日]