番外ON対決?ダイエー屈辱の高知入り



 高知での“番外・ON対決”で、王ダイエーが一方的に押し出されて、連敗を喫した…。31日、ダイエーは福岡から空路、キャンプ地の高知入り。到着直後には、恒例の歓迎セレモニーが開催されたが、その15分後に、野村阪神が到着するとあって、混雑緩和のために、到着ロビーの広さより半分以下の、出発カウンター前に移動させられて、式典を開催。セ2年連続最下位の野村阪神が優遇、パ2連覇の王者が、隅っこに追いやられるとは…。

 意気揚々と、高知に降り立った鷹軍団の目に、最初に飛び込んできたのは、黄色と黒色。それって、タイガース・カラー? けげんな顔をする中内オーナーのところへ、出迎えの球団関係者が突っ走る。王監督が苦笑いを浮かべながら、右の方を指差した。オレたちは、あっちなの?

 「阪神が、すぐ後に来るから、こちらの方へ…って言われたんだよ。混雑するらしいって…」

 王監督、声こそ荒げないが、もひとつ、符に落ちない顔。それもそのはずだった。この日、福岡発のJAC153便で高知入り。例年、到着ロビーで、歓迎セレモニーが行われるが、今年はダイエーの到着後、わずか10分後に、野村阪神の一行がやって来るスケジュール。当初は、ダイエーのセレモニー中に阪神が到着しても、手荷物受け取りのカウンターのところで待機してもらい、終了後に引き続いて、阪神のセレモニーという段取りだった。

 ところで、阪神の受け入れ側は安芸市、ダイエーは高知市。セレモニーの主催は、それぞれ別。さらに西武・松坂がルーキー・イヤー、阪神・野村監督が1年目と、話題が重なった2年前、高知空港が大混雑した経緯があるため、今回はこれを緩和しようと積極的に動いたのが、高知『県』の観光連盟。ファン層も「ダイエーは若い方が多いんですが、阪神は中年以上の方が多くて、全く違うんですよ」とは瀬川孝一・観光課長(51)。つまり、セレモニーごとに、ファンの動きも激しくなるため、10分のタイムラグでは、スムーズに対応できないという“分析結果”に基づき、先に到着するダイエーのセレモニーを、到着ロビーから50メートル離れた、出発カウンターの前へ移動させたのだ。

 これに驚いたのが、キャンプに先乗りしていた球団関係者。野村阪神が来るから、王ダイエーが動く。最下位のチームを、チャンピオンチームより優遇。プライドが許さない。安芸市側や、県側に“譲歩”を申し入れたのだが…。

 「どうなってるんですかね。阪神と代えられないのかな」と澤村拓夫・福岡ダイエーホークス高知後援会会長(64)はムッ。「いつもとは逆の出口から、出ていきましたね、今年は」と瀬戸山球団代表も、皮肉まじりにポツリ。手荷物受け取り場から、到着出口に向かって左に出れば、到着ロビー。右から出れば、出発カウンター。「あれか。なあ…」と、ホテル到着後も怒りが収まっていなかった中内オーナー。しかし、こんなところで“N”に、また負けるとは、王監督、思いも寄らなかったはず…。

[サンケイスポーツ2001年02月01日]