「パ消滅Xデー」のカギを握る人物



 相も変わらぬオーナー不在の不毛のオーナー懇談会。4年後のアテネ五輪をプロ主体でという、さらなる五輪積極参加の方針確認だけ。パ・リーグ消滅のXデーは、世界の王に逃げられた時だ。

 就任早々の小池新会長がリーグの危機を訴えているのに、オーナーたちは聞く耳を持たない。馬の耳に念仏だ。

 17日に都内のホテルで開かれたパ・リーグのオーナー懇談会を見れば、何を言われても反論できない。オーナーで出席したのは、近鉄・金森茂一郎オーナー、オリックス・宮内義彦オーナー。もう一人、オーナー代行から昇格したばかりのダイエー・中内正オーナー。

 他の3球団はオーナー不在。西武が戸田オーナー代行、ロッテ、日本ハムにいたっては、後藤球団代表、小島球団社長と代理だ。

 オーナーなら、年に1度のオーナー懇談会くらい出席するのが義務だ。西武・堤義明オーナーなどオーナー懇談会の議場として系列のホテルを使ってもらったのだから、なおさらだろう。

 2時間の話し合いの内容もお寒い。「4年後のアテネではプロを主体にしたものにできないか、模索する。五輪期間中のペナントレースの中断も考えたい」(宮内座長=オリツクス・オーナー)という五輪至上主義の案が確認されただけ。肝心の今年のパ・リーグを活性化する具体案はゼロ。

 オーナーたちが当てにならないパ・リーグ。現場の監督たちが孤軍奮闘するしかない。ところが、こちらも頼りないのだ。リーグ連覇した、世界の王ことダイエー・王貞治監督にオンブにダッコするしかない。

 オーナー会議の後に行われた理事・監督会議の顔触れを見れば一目瞭然(りょうぜん)。西武・東尾修、日本ハム・大島康徳、ロッテ・山本功児、近鉄・梨田昌孝と、ファンへのアピール度が今イチの軽量監督ばかり。近鉄時代を含めリーグ優勝3回、日本一1度のキャリアがある、オリックス・仰木彬監督お得意のマジックも今やタネの割れた手品のようなもの。

 ネームバリューがあり、連覇で監督手腕も実証した、世界の王以外に存在感のある監督はいない。

 セ・リーグの巨人・長嶋茂雄監督を筆頭とする中日・星野仙一監督、横浜・森祇晶、広島・山本浩二の両新監督、阪神・野村克也監督という豪華けんらんなメンバーとはあまりにも対照的だ。

 監督会議の結果も、マンデーパ・リーグをアピールするために、月曜日の試合には開幕戦同様に、監督が三塁コーチャーボックスに立つというのが主な決定事項。パンチ不足だ。

 これで王監督がダイエーから逃げてしまったら、パ・リーグは致命傷になる。しかも現実性を帯びているのだ。

 「さんざん王の足を引っ張ってきた中内ジュニアがオーナーになったのだから、早く辞めた方がいい。もう一度、巨人の監督で勝負するチャンスがあるんだから」と、巨人OBはじめ王シンパの球界関係者が辞めろコールを送っているからだ。

 “世論”の声を受けて、王監督がダイエーを退団する日。その時がパ・リーグが消えるXデーになる。アテネ五輪までリーグが存続する保証はない。

[夕刊フジ2001年01月18日]