巨人、21世紀も長嶋頼り…



 21世紀になってから鳴りを潜める巨人・長嶋茂雄監督。仕事始めになる22日のスタッフ会議で、どんな2001年戦略、ざん新なアイデアを披露するのか。キャンプからマリナーズ・イチロー、メッツ・新庄旋風が吹き荒れ、長嶋巨人に逆風になるだけに、長嶋案が注目される。

 動から一転して静へ。大みそかの紅白歌合戦にまで特別ゲスト出演、昨年オフは殺人的な公式スケジュールをこなした長嶋監督が、年明けから隠密行動を続けている。

 「1月になってもいろいろスケジュールは入っていて忙しいようです」と、球団関係者が明かす。

 球団の公式行事としては22日、都内ホテルで行われるスタッフ会議が2001年の仕事始めになる。

 「V9を超えたV10が目標」という渡辺恒雄オーナーの大号令があるだけに、連覇がノルマだ。

 平成5年、巨人監督に復帰して以来、今年で9年目の長嶋監督。第一次政権(昭和50年−55年)の6年を加えると、通算15年になる。ここでは早くもV9超え。V9監督と呼ばれる川上哲治監督の14年を超え、巨人史上最長の政権になった。

 が、順風満帆というわけにはいかない。日本人として初の野手メジャーリーガーとなったマリナーズ・イチロー、メッツ・新庄剛志がキャンプの話題を独占する。

 さらには来年行われる、日韓共催のワールドカップの前年とあって、サッカー日本代表のマスコミ露出度が高くなる。

 内憂外患。宮崎キャンプの悪夢もある。長嶋監督肝いりだった、異例の宮崎シリーズキャンプが裏目に出て、杉山、江藤の女性スキャンダルが続出。キャンプ地を宮崎から移すのではという情報まで流れ、地元が戦々恐々としたことまであった。

 それだけに、不祥事再発防止のために、当然のことながら、門限破りの厳重なチェックなど、宮崎キャンプはあまり明るくない話題だけになってしまう。

 そんな暗雲を吹き飛ばすような新鮮な話題のない長嶋巨人の存在はいやでもかすむばかり。 

 「アイデアマンの長嶋監督に頼るしかないだろう」と、巨人OBたちも長嶋監督頼みしかない厳しい現実を口にする。

 昨年は永久欠番だった長嶋監督の背番号3復活。工藤&江藤のFAコンビ加入で話題満載だったが、今年は切り札がない。

 球団側は相変わらず無策だから、不滅の長嶋人気にオンブにダッコするしかないわけだ。

 長嶋監督自身も巨人人気の動向に神経をとがらせている。4年ぶりのリーグ優勝、6年ぶりの日本一奪回した昨年でさえ、日本テレビの視聴率が低迷しているからだ。日本一の看板だけで人気回復するような状態ではない。

 長嶋監督がいまだにメジャーリーガーのストッパー獲得に執着しているのも、そのへんの事情もあるのだろう。新戦力としての計算はもちろんのこと、ファンにアピールする新鮮力の必要性だ。

 それもまたままならぬ現状では、長嶋監督のアイデア頼みしかない。さて、どんな2001年戦略を明かすのか。興味津々だ。

 ★長嶋講演大盛況

 長嶋監督が17日、東京・台場のホテルで、全国の大学野球部監督ら大学指導者200人を前に講演を行った。

 全日本大学野球連盟の「監督会」の講演会として開かれたもので、長嶋監督のほかに、大学側から太田誠駒大監督、山中正竹法大監督の3人が、トークショー形式で約1時間45分の熱き論戦を繰り広げた。

 長嶋監督が最も熱弁をふるったのは、2004年のアテネ五輪について。

 「(私が全日本の)ユニホームを着る、着ないじゃなく、大事なことはシドニーのことを踏まえて、次のことを考えるチャンス」と、全日本監督にも色気をみせた?

 また、自らの進退にも触れ、「自分が(ユニホームを)脱ぐときは、グチが出たとき」と語り、居合わせた指導者の心をとりこにした。ドラフトで揺れるプロアマだが、この日もアマ関係者に長嶋シンパを増やしたことは間違いなかった。

[夕刊フジ2001年01月17日]