ライザーカードによるPCI増設について

PCI増設には大きく分けて、ライザー方式と腹付け方式とが有ります。実際に僕はその両方を試しましたが、そのどちらも一応成功(一部失敗)しました。しかし実際にやってみると僕の場合、腹付け方式は労力としてかなりのストレスとなりました。一番の原因は120本近くの配線そのものであり、AD線1本の配線ミスが命取りになる事もあります。また配線その物のミスを発見する事や手直し作業中に隣の配線を切ったりして又直そうとして更に隣の配線を・・・・と言う事になるとそれはもう大変です。(実話です。)

腹付けの優れた点は、何と言っても配線長が最短距離で行えるという事に尽きるでしょう。特にCLKやADラインは出来るだけ短く出来るのが、良い点です。

しかし僕の改造のスタンスとして、改造マシンで十分検証を行いその方法をメインのV200に投入となっていますので、ライザー方式の方が何かと都合が良かった事と既に120本の配線をする事自体に萎えてしまった事があります。←根性無し・・・

そこで一般的に出回っている(市販されていると言うより中古、オークション等で)ライザーカードを改造して、PCI増設基板にしてしまおうと考えました。

ライザー方式のPCI増設で絶対にやりたくない事は、本体の外側にPCIカードが飛び出してしまう事。これはタワー型マシンではケース自体の交換、つまり互換機のケースを流用という事になりますが、PC-9821はPC-9821らしく誇りを持って・・・と言う事で却下です。

という事は、一番内側のPCIスロット:V200M型では抜かないでVGAの改造という事になります。その為にライザーは内向きが理想、Cバスは取り外すという事になるでしょう。

 


G8YDP型の抜かないでVGAの改造、その理屈

430VXチップセットは最大4つのバスマスタが使用可能ですが、G8YDPなV200M型はデフォルトで4つ全部使われています。PCIスロットで2つ、USBとMGA-1064SGで1つずつで計4つです。

まりも氏のPCIIRQR ver1.12にて、V200M7D(G8YDP □ B14A)の無改造状態を示しておきます。

PC-9821 PCI Interrupt routing options    Version 1.12 Copyright(C) 2000 まりも
PCI BIOS Version 2.10,   Max bus number(BIOS)=0,   Configuration mechanism #1
PCI host bridge is Intel 82437VX 430VX Cache/DRAM Controller.
PCI-C bus bridge device found at Bus[ 0]:Dev[ 6]:Func[ 0].

Bus :Device   Class    IRQ   INT#A    INT#B    INT#C    INT#D    所在
[ 0]:[ 8]   98 VIDEO     6   PIRQ#0    ***      ***      ***     本体内蔵
[ 0]:[13]    ***        **   PIRQ#1   PIRQ#2   PIRQ#3   PIRQ#0   PCIスロット#1
[ 0]:[14]    ***        **   PIRQ#2   PIRQ#3   PIRQ#0   PIRQ#1   PCIスロット#2
[ 0]:[15]   USB          6   PIRQ#3    ***      ***      ***     本体内蔵

[ IRQ routing by PCI-C(ISA) bridge ]
PIRQ#0 ==> IRQ 6 
PIRQ#1 ==> ***
PIRQ#2 ==> ***
PIRQ#3 ==> IRQ 6 
/A /B オプションでは、
PC-9821 PCI Interrupt routing options    Version 1.12 Copyright(C) 2000 まりも
PCI BIOS Version 2.10,   Max bus number(BIOS)=0,   Configuration mechanism #1
PCI host bridge is Intel 82437VX 430VX Cache/DRAM Controller.

Bus Dev Func   Class       Vendor   IRQ  INT#    B/M  P/E  I/O  MEM
[0]:[ 0]       PCI--HOST   Intel     --   ---    Yes   No   No  Yes       
_________________________
[0]:[ 6]       98C-Bus B   NEC       --   ---    Yes   No  Yes  Yes       
_________________________
[0]:[ 7]       98 VIDEO    NEC       --   ---     No   No  Yes  Yes       
_________________________
[0]:[ 8]       98 VIDEO    MATROX     6  INT#A   Yes   No   No  Yes       
_________________________  20000000h  20800000h  21000000h
[0]:[15]       USB         NEC        6  INT#A   Yes  Yes   No  Yes       
_________________________  20005000h

赤と茶で示した部分が抜かないでMGA-1064SGです。

少し奇異に映ったのは、INT#A=PIRQ#0とPIRQ#3でIRQ6を共有している事ですね。これは、元々IRQの空きが少ないPC-9821 VALUESTARシリーズを少しでも改善しようとした結果だと思います。標準状態でもPCIセットアップユーティリティーでは、MGA-1064SGとUSBはIRQ6固定の設定になってます。この事は僕がPCI増設時に少し混乱した原因の1つでも有ります。

 

PCIIRQRの結果を見ると、このままではPCI増設と言っても非バスマスタのスロットしか出来ない事になります。しかし、PCIスロットにグラフィックボードを挿す場合、MGA-1064SGは使わなくても良いので、このバスマスタ信号線を増設PCIに持っていく事が可能だと思われます。またMGA-1064SGボードはボード自体の長さがあるのでライザー式でカードを寝かすと、CPUの上の空間まで占拠してしまいます。その為の抜かないでTrident改を挿す事が必要になりました。Tridentは元々バスマスタ信号を必要としないボードですので、乗っ取る場合にも好都合です。

という事で、抜かないでPCIスロットのライザー化(2PCI)の考え方としては、抜かないでTrident改を挿すスロットは元スロットのコピーを作り、増設PCI側は前記バスマスタ線を乗っ取り、割り込みはINT#A-PIRQ#0・・・・つまり抜かないでTridentと同じ割り込み配線で、デバイス番号は割り込み配列と4の剰余系の法則から、12または16が(8でもOK?)一番理に適っているという事になります。尚、抜かないでボードの98グラフィック部分のデバイス番号7はPCI側でIDSELの配線をしなくても勝手にデバイス番号を修得する様です。

抜かないでMGA-1064SGは上記PCIIRQR的に言うと、デバイス番号7と8を共有するボードで、ライザーはその2つの資源を都合よく振り分けた物と言う考え方が出来ると思います。

 

#上の説明は一応有る程度のPCI増設の理屈を理解している方用に説明しました。もっと基本的な事はPCI増設のサイトで情報を仕入れてください。すばらしいサイトが幾つか有りますし、僕もそこを頼りに改造をしました。僕はそれ以上の解説を書く技量が有りませんので・・・m(__)m