FSBクロック(ベースクロック)アップの限界値
FSBクロック、正確に言うとFront Side Busのクロック又は外部クロック、まあ一般的にはベースクロックと呼ぶ方が多いですが、簡単に言うとCPUとメインメモリーやI/Oが接続されている側の動作速度を表している物です。
FSBクロックを上げれば、当然システム全体のスピードと言うか処理速度が増します。
僕の所有するPC-9821 V200MZD2はFSBクロック66MHzで作動しています。そしてそのクロックを上げていくと当然処理速度は比例して早くなりますが、当然動作規格外の行為ですし、天井知らずで上がって行く物では有りません。何処かに無理がかかっていくのは当然でしょう。
そこでV200MZD2型(G8YDPマザー)での動作限界を各デバイスと共に考察してみましょう。
メインメモリー (SD-RAM)
これは、既にPC/AT互換機用の256MB@64MBとして使用する分には、あまり気にしなくてもと言うか、正常動作品で有る限りFSBクロックアップの障害になる事は、まず無いと思います。
しかしこれは、メモリー個体での場合で、実際にG8YDPマザーに装着した場合は話しが違ってきます。
単体DIMMスロットをスロット1、SIMMとの共用スロットをスロット2とすると、スロット1,2にDIMMを刺した場合FSBクロックの限界は、83〜88MHz(個体差が有る)ですが、DIMM1だけの場合は、91〜99MHzとなります。
始めは電力の供給の問題かと思いましたが、DIMM2のみの実験でも限界は1,2刺しの場合と変わりませんでした。
多分チップセットとDIMMスロットの距離が関係している様に思いますが、さすがにこの辺は実験してみることは出来ません。3.3V系の電圧アップで少しは耐性が上がりますが、互換機のBXボードの様に効果は大きくは有りません。まあマザーボードを壊したくない人は試さないで下さい。
セカンドキャッシュメモリー
これは、マザーボードに直付けなので駄目だから交換と言う風にはなりませんよね。ただ鏝改造によって無効化が出来るのでその点は便利かも。
と言うか既にセカンドキャッシュが有効なマザーが実働していないので、微かな記憶を辿れば、88〜93MHzぐらいが限界だったと思います。実装されているチップも多種ありまして、確認出来た物でも、NKK(8ns)、HITACHI(8ns)、UMC(7ns)、GALVANTECH(7ns)で耐性はNKK>UMC=GALVANTECH>HITACHIと言う感じでした。
CバスI/F
NEC PC-9821シリーズの常として、CバスはFSBと非同期で動作しています(別クリスタル+PLL)。と言う事で無関係。
PCIデバイス
既に皆さんご承知の事と思いますが、PCIクロックは430VXの場合ベースクロックの1/2つまり通常33MHzですが、FSBクロックを上げると同期でPCIクロックも上がります。FSB75MHz=PCI37.5MHz,FSB90MHz=PCI45MHzと言う風にですね。
僕にとって一つの常用ボーダーラインはFSB75MHzですので、それ以下の耐性のボードは部屋に転がる確率が高くなります。^^;
ストレージ系インターフェイス
玄人志向 CHANPON
3 、PCIブリッジを搭載している点、SCSI
I/FのINIC-1060P自体の耐性の為かベース72MHz辺りが限界の様です。
メルコ IFC-USP-M(M2)、ADVANSYSのSCSIコントローラも耐性は無い様です。限界は70〜72MHz程度でしょうか・・・。
以上の結果からPCIブリッジ、ADVANSYSチップ搭載の
初代CHANPONも・・・75MHzでの使用は厳しい様に思います。
IOI-A100U2W
INIC-1060Pの限界でしょうか、FSB75MHzでOSのインストールは成功しても再起動後レジストリが壊れていると言うメッセージで
起動不可に、更に再起動をかけても上記メッセージでループ状態。他のI/FでのセットアップしたOSを繋ぎなおしても、
FSBを66MHzに戻しても、同じ症状と言う事から、壊れてしまった可能性が大(と言うか決定?)
IOI-9200UW 以前所有していましたがinitioのチップはFSB-UPの耐性が無い様です。現在手元に無いので限界FSBは不明。
I/O DATA UIDE-98(M)、UIDE-66
これは、繋げるHDDに依存する様に思いますが、自分的にはFSB75MHzは危険、常用はとんでもない、です。
Adaptec AHA-3940UWD
これもベースクロック85MHzで不安定でしたので83MHz位までとした方が良いと思います。
I/O DATA SC-UPCIシリーズ SC-UPU2,SC-U2PS,SC-U2PCIのボードは93MHz辺りまで、SC-UPCIはそれ以上も大丈夫な場合が多いです。
グラフィック系インターフェイス
I/O DATA GA-VDB16/PCI
これは、ベースクロック100MHzでも動いてしまう物も有るようですのでかなり耐性は良さそうです。
メルコ WGP−FX16N アイオーより耐性が落ちると言う情報も有りますが、概ね90MHzまでは大丈夫の様です。
I/O DATA GA-PIIH8/PCI
ベースクロック91MHzでも動きましたが、90MHz以下の使用が望ましい様です。
I/O DATA GA-S2K32/PCI
これは80MHz前半で限界が来る物が多い様です。
Matrox Millennium
MGA-1064SG(V200標準搭載品) これもベース93MHzでも動いていましたので耐性は良さそうです。
inno3D Tornade
GeForce2MX400/PCI 某掲示板では74MHz辺り迄と有りましたが、家のV200Mでは、FSB75MHzで元気に動いています。
近々、実験結果を含めた動作検証報告をします。
メルコ N4下駄、NV4下駄
N4下駄2個とNV4下駄3個を所有していますが、耐性の無い物で、82MHz、一番耐性の有る物で86MHz程度で限界が来る様です。アドバンスド・クロックマルチプライヤ技術で、CPU的に見るとベースクロック170MHz程度で動かしている訳ですので、あまり大きな期待はしない方が良いかも。
別の意味で、耐性の高いCPU搭載でもっと高FSBで動くかも知れませんが、その望みは残念ながら無さそうですね。(T_T)
抜かないでボード
これは、意外に知られていない様ですが、抜かないでボードに拠って耐性が変わります。
Xa/Wに使用されているG8WMPは僕の環境では、FSB90MHzでの起動は不可能ですが、Ra40に使われているG8YKJではFSB90-OVERでも問題有りませんでした。(先にSIMMの限界が来る様で・・・・^_^;)
基板や配線、チップの配置は同じなのですが、何処に違いがあると見比べると、丁度Tridentチップの上に有るビデオメモリーのチップがG8WMP-60ns、G8YKJ-50ns、と言う違いが有りました。
上の写真は、G8YKJのメモリーチップ、M514265C-50J(50ns品)。
因みに、V200M標準装備のG8YDQ(MGA-1064SG搭載)はG8YKJと同じ50nsのチップが搭載されていました。
尚、V200M型に何故、Xa/W型のG8WMPやRa型のG8YKJを搭載するかと言う疑問は、V200の改造-他機種の”本当に抜いちゃダメ”ボードを挿すと言う項目をご参考に・・・・