
第39回いのちとくらしを守る
報告
第39回総合分科会の記録 2004/6/10・16・17・19
教育分科会 6/16 県民センター402
記録者(浜高教 TEL 335-0411)
教育改革と子どものおかれている状況
講演「教育改革と子どもの置かれている状況」芹沢俊介さん
○教育改革は学校教育に絞られてしまっている印象が強い。教育基本法の改正は憲法が基礎となっている。子どもたちのおかれている状況は大変なものがある。
○新自由主義で自己決定、自己責任が押し付けられようとしている。一見個人の主体性を重んじるように見せかけながら、個人をいかにして制圧して行くかのように思えてならない。このところ子どもたちの事件が身の回りで起きている。リスクの共有を担う社会が成熟した社会のあり方であるが、社会も個人もリスクは共有したくない発想、それが新自由主義的な発想につながっている。犯罪は犯罪者とその家族だけの問題としてしまうのは、リスクの共有ではなく危機管理の発想である。学校現場でADHD・LD・アスペルガー症候群等の概念を持つことによって、(そのような視点から)子どもをチェックし始めた。これも保安処分。子どものためではない。リスクを少なくし、個に閉じ込めてしまう。こういう教育改革が進んでいくことが我慢できない。
○教育を学校教育から開放したい。教育は自己教育である。自己教育の中に学校教育がある。意欲、必要性が基礎となる。人間の価値を見出す視点を(「〜ができる」から)「そこにいる」「そこにある」に移していくことが大切。「そこにいる」だけで価値があるのである。
注)一般的には以下のようにいわれている(二宮)
AD/HD:注意欠陥多動性障害
LD:学習障害
アスペルガー症候群:自閉症の一種
障害がある子どもたちの教育の現状[REAVA」渋谷さんの報告
今、「教育改革」といわれているものと相前後した関係で、「特別支援教育」と「福祉教育」があります。私は、「特別支援教育」と聞いて直感的に危険だと思った。それには2つの理由があります。理由その@は、一般校に障害者を入れて、取り出して教育するなら選別である。分けて教育する事が固定化されるのを恐れている。理由そのAは、ADHD、LDと言われ始めた子ども、これまで変わった子どもだと受け止められていた子が障害者として、大量に作り出されるのは許せないのです。
また、「福祉教育」と称して交流教育がある。福祉体験は疑似体験で、疑似体験はいくら体験しても実体験にはなっていかない。むしろ障害者が健常者の情操教育に使われているのではないかという気がします。分けて、しかも利用して行くというのが許せないのです。障害者を取り巻く問題はさまざまにある。これを重く受け止めて欲しいと思うのです。
「在日の教育の現状」 みんとうれん 金秀一さんの報告
教育基本法は日本にいる外国人は日本の教育を受ける権利がなく、枠外に置かれているのが実態だと思う。最近外国人の子どもたちがかかえている実態をお知らせをしたい。現在外国人の子どもは5000人くらいいる。1000人は日本語の指導が必要である。学校教育の中で日本語のわからない生徒は四苦八苦している。そういう中で
@高校の入試制度の中では外国人の子どもたちはほとんど入れない。日常会話はできても学習言語にはついていけないので、非行に走る子や定時制に入るというのが実態である。この子達をどうしていくのかが課題である。
A在留資格のない子どもたちが学校に増えている。突然学校からいなくなる子どもがいる。学校ではどうにもできないという。はたしてそれで良いのか?教育は無力なのか?
B拉致問題のことで大変である。(不安な気持ちを綴った高校生の作文、からかわれたり・いじめられたりした中学生の作文の紹介)拉致問題以降本名を名乗っている子どもがターゲットになる。学校が管理的になったり、高校が統合されたりする今の教育に期待できるものはあるのか?
<質疑応答>
Q 自己教育の中に学校教育を組み込んでいくという話をもう少し掘り下げて説明を。
A 必要に応じて学べるという体制が一番良い。主体は個人の要求と必要性でそれに対して開かれるということが望ましいと思っている。学びたいときに学びたい、でも学びたいときに学べないという現実がある。本当の意味で学校が開かれているならば、学年・年齢に関係なく学べるのが良いのではと考える。
Q 教育基本法第一条の目的に心身ともに健康な国民を育成することが教育の目的だとはっきり掲げてある。ここに書かれている国民は明らかに日本国籍を有する心身ともに健やかなということは、明らかに身体障害者、知的障害者、精神障害者を日本の教育から排除することが日本の教育の大きな目的になっている。また、支援教育を現場の先生たちがどう考えているかで神奈川県の教育は大きく変わると思う。
A 学校にはいろいろ多様な子どもがいる。それに対応できる学校づくりを考えようという考え方を支援教育ととらえている。
意見:障害者は急に増えたわけじゃない。今までそういう認識がなくて支援教育を訴え始めたとたんにそういう言い方をするのは良くない。子どもはどうあるべきかを先生方は考えていくべきだと思う。
意見:一般の高校において特別枠を作ることについては反対である。養護学校の分教室が普通学校に作られる。神奈川が先陣をきった。15名ずつ緑養護、保土ヶ谷養護の分教室を舞岡高校と新栄高校で募集したが、他の生徒の邪魔にならない生徒に限るということが説明された。学校の中ではお互いにかかわりを持たない。邪魔にするのは保安体制の一環。社会も個人もリスクを共有したくない(ことの現れ)。今まで分けられてこなかった子どもたちまで分けられ、リストアップされれば学校に行きづらくなっていくだろうと感じる。そのことは考えていかなくてはいけないだろう。
Q 教育基本法第5条(男女共学がはずされてしまう)をもっと詳しく説明をお願いしたい。
A 東京都は家庭教育にウェイトをおいている。父母への再教育、特に母親に対する教育、子どもを産み育てるという本来の役割に戻すというのが(東京都の)ねらいにあるのだと思う。(そこからは)今の子どもの状況に対する根本問題として本音は共学というところに問題があったのではないかというような印象を受ける。家庭教育に予算をつけていこうという動きがある
Q 金さんの話の中で在留資格のない子どもが突然教室からいなくなってしまう事態に先生たちは何もできない事に対して、教育は無力なのかと言われたが、金さんならどんなことができると思っているのかお聞きしたい。
A 言いたかったことは子どもがいなくなるという実態を知って欲しいということ。入管法の問題等とも含めて日本がこれから外国人とどう生きていくのかが問題。日本に住んでいる人間として何かできるのではないか。特に受け持っている子どもが目の前にいる教育関係者であれば運動してそういう力も勝ち取っていただきたいと思っている。
Q 教育基本法を守る運動をしている。今日の講演の中で教育改革というのは、学校教育改革ではないと私も思っている。芹沢さんの話に学びたいときに学べる条件が良いんじゃないかとありました。現実の子どもたちの状況を見ると疑問に思う。学びたいときが来たそのときに、本当に学べる状況が社会的背景にあるのか。現実に経済的に厳しい家庭環境の子がたくさんいる。そんな中で学びたいときに学べる条件の子だけを視野に入れながら、教育を語って行く視点ではなくて全体の社会構造の中で学校教育も含めて、どう視点を当てていくかということも大切だと思っている。
A 今、言われたことは重々自分の中でも視野に入っている。今、さまざまな理由で学校に行けない子どもたちがいる学校教育のなかで、学ぶ主体は自分で自己教育はいつでもどこでもできるという視点を持っているのといないのとでは全然違う。学ぶ必要性に応じてネットワークを作っていく動きや様々なメデイアを利用しながらの自己教育は可能ではないか。今、教育が学校教育となっているとき子どもたちがそこから阻害されてしまうことのおびえ、とりわけ親のおびえという事をひっくるめて新たな視点を作っていければと思っている。
意見:教育改革には賛成できないという立場です。この問題をそのままにしてしまうと障害者は(分けられて)授業に入っていけない現実がある。障害者に対するいろいろな問題を重く受け止めていただきたい。
保健医療分科会 6/17 県民センター402
記録者 勤労者医療生協 早川寛
「いま、外国人医療は 〜現状と課題〜」
済生会神奈川県病院のソーシャルワーカー・松野勝民さんより、神奈川における外国人医療の実情について提起を受けた。
「神奈川の外国人登録者数は、2002年度末で14万人、7人にひとりが外国籍。外国人登録をしていない人も多いので、その比率はもっと高くなる。県の調査では、新しく日本へ働きに来た外国人(ニューカマー)が、医者にかかることに困難を感じていることが明らかになっている。医療費のこと、言葉のことなどで困っているようだ。生活保護は、生存権を保障する最後のセーフティーネットだが、厚生労働省は「短期滞在や在留資格がない外国人に適用しない」とした(1990年)。外国人についての法律は管理と強制以外ない。人権についての配慮もない。
「病院に行けない」と売薬で済まそうとして重病化、長期化する例がしばしばみられた。仕事中にケガをした場合、労災保険は在留資格がなくても認められている。社会保険も会社が手続きをすれば入ることができたりするのだが・・・。
神奈川県では1993年に行旅病人取扱法と未払い医療費の補填事業が始まった。医療機関の未払いに対するもので、患者個々の人の治療費の面倒をみる、という性格のものではないが、医療機関にとってみれば、それがあるだけでも助かる、という状況になった。済生会では、港町診療所から患者を紹介されるという形で、保険のない外国人の診療を行うようになった。未払い医療費は累積で1億円を超えている。
言葉の点では、医療通訳のNPO法人「MICかながわ」と神奈川県国際課の協働事業としては、2002年から医療通訳の派遣システムを構築する事業が始まった。今年の4月から、16病院が協力病院として通訳派遣を受け入れている。横浜市内ではYOKE(横浜市国際交流協会)の助成金を使い20を超える病院で医療通訳が実現している。このようないろんな工夫努力で、外国人の医療をつくりあげていこうとしている。
続いて、神奈川県勤労者医療生協港町診療所の早川寛さんは、公的な保険に加入できない外国人を対象とした「みなとまち健康互助会・MF-MASH」ついて話した。かかりやすさと医療における対等な関係を重視したいと、91年に発足。多くの外国人が会員になったが、入院先の病院確保と公的な医療制度の適用が課題だった。今年の1月15日、在留資格がない外国人でも、一定の条件があれば国保に加入させないのは違法、という画期的な最高裁判断が出た。これに対して国は、国民健康保険法の施行規則に在留資格のない外国人は加入できない、という除外規定を付け加えた。これは、試合に負けたので、ルールを変えるという極めてアンフェアなやり方だと強く批判した。
カラバオさがみはらの柿澤澄夫さんは、地域における具体的な取り組みの報告を行った。「在留資格がない外国人が病気になった場合、どうやって治療が受けられるようにするか。「みなとまち健康互助会(MF-MASH)」に加入するか、働いている会社で社会保険になんとか入れてもられるが、自費診療だとすると、1点10円で治療している病院を探すかしかない。(編者注:自費での自由診療では、保険診療時の100%以上を請求する医療機関が多い。)出産についても苦労している。日本人の男性と結婚して妊娠したが、夫は離婚届を突きつけ逃げてしまった。入院助産制度の適用を市役所にかけあい、一方で夫を見つけ出し説教してみたり、時にはカンパ活動をして金を集めるケースもある。相模原市は医療通訳に交通費を出す制度をつくっていて、国際交流ラウンジに登録している通訳ボランティアが協力している。 医療直接ではないが、出生証明書を書いてもらうのに群馬までいっしょに車で行って、病院を探し出して書いてもらったこともある。様々な苦労をしながらやっているのが現状だ。
この3人の提起の他に、参加者の中からMICかながわの活動報告も受けた。質問として、MF-MASHに加入する方法と入院や手術なので他病院にかかる場合、どうなっているのかといった質問も出た。
全国的に見て、神奈川における外国人、中でも在留資格のない外国人に対する諸制度の適用や医療機関の受け入れは、先進的と言える。しかしながら、役所の中では「在留資格がない外国人にはこのような医療制度が適用される」といった明確なマニュアルをつくっておらず、担当者によって対応が違うというようなことがしばしば繰り返されている。根本は国の姿勢にあるとしても、県として各自治体として、外国籍県民・市民の少なくとも医療を受ける権利は、きちんと確立してほしい。そういう強い実感をもった。
社会福祉分科会 6/19 県民センター305
記録者 View-Net 小泉茂雄
支援費制度と介護保険の一本化を考える
★講演 石渡 和実さん(東洋英和女学院大学教授)
支援費になり以前よりサービス低下した地域がある。その方の実状と居住地でサービスの格差がある。また、財源は大きな利用料の見込み違いが発生している。そしてケアマネージメントが手法として位置付けられていないので、情報不足などの不具合も生じている。「税金で福祉は賄うべき」ということに対して日本国民の意識が否定的であり先進諸国とは大きく意識が違う。だから、保険と税の2本立てがよいのではないか。将来を見据えて、介護保険と一体化する方向で議論をしていった方がいいのではないか。その中で当事者でないとわからないことを提言し、介護保険制度そのものを変えていく必要がある。
★報告 岡ノ谷 雅之さん(横浜市障害福祉部計画係長)
彦根 睦さん(神奈川県障害福祉課課長代理)
行政の立場より、社会保障審議会臨時委員から、「制度を2階建てとして介護保険でまかなえない部分は2階部分で補う。この改革は、介護保険制度を、年齢、障害の種別、疾病の種類等を問わず、介護を必要とする人を国民全体で支え合うユニバーサルな(普遍的な)仕組みとすること。」などと提言があったことを報告。この2階建ての部分は一般財源化になれば地方が地方の裁量でどうにでもできる。
神奈川県としては神奈川県では障害当事者の皆さんの意見を重視して国に要望していく。
★報告 池田まり子さん(生きる会)
全身性障害の池田さんから、介護保険と支援費では算定の基準がまるでちがいすぎる。誰もが障害を受ける可能性があるし、だれもがとしをとる。
「私たちは生かされるのではなく、”自ら生きるのだ。」と地域で頑張ってきたが、最低限度のサービスの中で、食事やトイレに行く時間さえも決められてしまう「生かされる存在」へと逆戻りしてゆくのか?
★報告 石川 絹代さん(View-Net)
視覚障害の石川さんより、一週間前に申し込まなければガイドヘルパーが使えないので急に行きたいところができても利用できない。私たちに必要なのは介護ではなくケア。自己負担が子どもの収入まで算定されてしまうから、問題も起こる。
★報告 石本 隆司さん(ふれあいの会)
全身性障害の石本さんより、介護保険と支援費統合という前に、あたりまえに暮らせるように。介護保険が抜本的に改革されなければ統合には絶対反対。今の介護保険は利用者の障害状況や生活状況等は考慮されない。最高でも一日2時間しか使えない。ケアマネージメントにも問題あり、介護保険のケアマネージャーが障害者のニーズを本当に受け止められるか。介護保険制度の問題点をもっともっと議論して改革を進めなければだめ。
★ 質問と討議
● 今度の問題が財源だけの問題ならば消費税をもっと徴収してそれにあてればいいという考えもあるが、この消費税、当初も福祉目的税としたが、いつのまにか大部分はそうではなくなっている。また値上げしても二の舞ではないか。介護保険ならば絶対にその目的だけに使われて他に流用されることはないから、この方がいいのではないか。保険は強制ではないから、入らない人が多いかも知れない。将来の保障を確実に若い人に示していかなければならない。それができないのが今の日本の現状。
● 介護保険が一階で、その2階部分の比重が強くなるのでは、2階がよほどしっかりしていなければ社会生活が成り立たなくなる。2階部分が一般財源化になり地方の裁量でどうにでもなるということは逆に市町村格差も激しくなるのではないか。これを調整するのは広域行政たる県の役割なので、県としては市町村から相談を受けたときに助言したり、総合相談窓口の設置などによりどの障害の方でもどこでも地域差がないように配慮している。具体的な事例をお知らせいただければ対処もする。
● 行政の担当者が変わるとサービスも変わるということはあってはならないこと。一人一人が技量を高めていくことはもちろんのこと、県としては高めていく環境整備をするのが広域行政の役割と思っている。ケアマネだって養成だけでなく従事者の皆様に情報提供して意見交換の場を作り、横の連係を持ってたえず成長していくように、障害福祉県域ごとに研修活動をしていく。ケアマネージメントは自分の所属する会社に偏ったプラン作成ではなく本人のニーズにあった本当に必要なプラン作成が必須。ケアマネージャーの質の違いは深刻、ケアマネージャーの質のチェックも必要ではないか。
☆☆まだまだ未確定で見えない部分の多い中での話し合いとなった。「生かされる存在」にならないように、よりよい制度を作っていけるように声を出し続けていくことが必要と感じた。
水・環境分科会 6/19 県民センター403
記録=全水道神奈川県県支部担当
PRTRからみた、かながわの環境汚染
―化学物質排出移動量届出制度(PRTR)―
PRTR制度を活用した新しい化学物質管理
1、はじめに
わたし達の周りには、たくさんの化学物質があります。殺虫剤や接着剤をはじめ家庭用品まで、今、使われている化学物質は7〜8万種といわれています。その化学物質はわたし達に豊かで便利な暮らしをもたらしていますが、多くの物質は十分な毒性情報がないまま使われています。体に害はないのか、自然環境に害はないのか、不安になります。もちろん、法規制はあるでしょうが、それだけでは不十分です。私達、社会全体で監視する取り組みが必要です。そこで、利用できるのが2001年度から情報提供されているPRTR(Pollutant Release and Transfer Register=環境汚染物質排出・移動登録)制度です。この制度は有害物質が工場などからどれくらい環境に排出されたか、どれくらい廃棄物が発生したのか、国が集計し公表する制度です。
このPRTR情報は、物質ごとに都道府県別、業種別にまとめて公開されます。そしてこの情報はパソコンのインターネットで簡単に得ることができます。
しかしながら、この情報だけでは不十分です。工場などから出た物質が人の健康上や生き物に悪影響しないのか、地域環境を汚染しないのかそういったことは、この情報からはわかりません。そこでNGOとのつながりが必要になってきます。世界には化学物質削減に向けわかりやすく加工した、独自の情報提供をしているNGOがあります。むろん日本にも。このように有害化学物質の削減にはNGOとのネットワークとともにPRTR情報を活用して、市民が積極的に身の回りや地球全体のことに向け、行動することが求められています。
水環境分科会では、過去2回にわたってこの法律の学習会を開催し、活用法のヒントを学んできました。今回もっと確実なものにするため、3回目として具体的な活用方法としてこの学習会を開催しました。
2、PRTR制度を活用した新しい化学物質管理 エコケミストリー研究会
横浜国立大学 亀谷 隆志さん
近年、化学物質管理における考え方が変わってきました。それは化学物質が原因で起こった悲惨な公害や事故への反省から、身近な環境について知る権利があるという考えが生まれました。今までの規制による管理に加え、不確実な部分を含む環境リスクを低減していく考え方が広まっています。また、同時に多様化する環境被害を早期に低減していくための自主管理の考え方も広まっています。では、それら化学物質管理に必要な情報は何なのか?それは化学物質の毒性情報と曝露情報です。化学物質の曝露量を減らすことによりその物質の有害性を確実に小さくできます。しかし、今までは身近な曝露量を推定するための元情報は極めて少なかったのです。そこで、このPRTR法とこの法律をわかりやすく加工してインターネット上で公開しているNPOグループの情報を活用して予防原理に基づく化学物質のリスク管理が実現できるようになります。
PRTR法でわかる情報の範囲は
@業種による化学物質の排出・移動量の把握
A地域の違いによる化学物質を扱っている事業所の数や所在地
Bそれらの事業所が化学物質を排出している排出先(大気、水域、土壌、など)
このような情報を得ることによって、広範な化学物質の総合的な環境リスク管理ができ、水生生物や生態環境などのリスクマネジメントや多種多様な立場の人たちからの自主的な化学物質の管理もできるようになり、環境に配慮した生活様式の実現が実現するようになります。
人の健康保護のための限られた物質の規制だけをもとにしたこれまでの有害化学物質管理を改め、情報公開とリスクコミュニケーションをもとにした自主的で総合的な有害化学物質管理を促進していくために、ここで公開されるPRTR情報を少数の専門家のみでなく、行政官、企業の担当者、NGO、一般市民も含めて化学物質を扱う幅広い立場の方々に活用していただきたいと考えています。
3、神奈川県のPRTRデータについて 神奈川県環境農政部大気水質課
吉江 博巳さん
県内の化学物質の排出状況(2002年度PRTRデータから)
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR法。)第8条第5項について国から通知された、平成15年度中に県内の事業者から届出のあった平成14年度の排出量等を取りまとめましたので、その概要を公表します。
また今回、平成13年度データー公表後に事業者からの変更の届出に基づいて修正が行われたデーターを国が公表しましたので、このデーターも併せて公表します。
国から提供されたデーターは、次のとおりです。(1)排出量・届出移動量(・対象23業種に属する事業を営んでる事業者・常用雇用者数21人以上の事業者・いずれの対象物質の年間取扱量が5トン以上である事業者又は、特別要件施設に該当する施設を有する事業者)。排出量(ア)大気への排出(イ)公共用水域への排出(ウ)事業所における土壌への排出(エ)事業における埋立処分移動量(ア)下水道への移動(イ)事業所外への廃棄物の移動。(2)届出外排出量(届出排出量以外のPRTR対象化学物質の環境への排出量で、各種統計資料等に基づいて国が推計したもの)。
県内の排出量について、14年度の全物質の環境への排出量は35,774トンとなっており、全国排出量879.536トンに占める割合は4.1%でした。都道府県別排出量をみると全国第6位となっています。県内の分野別排出・移動状況は、届出事業所数1540、届出排出量11684トン、届出外排出量のうち、対象業種10285トン、非対象業種4520トン、自動車等7027トン、家庭2259トンです。届出移動量(廃棄物として)10370トン、届出移動量(下水道へ)126トン。全排出量26488トンの内訳を見ると、トルエン8978トン、キシレン7358トン、ジクロロメタン1865トン、エチルベンゼン1719トン、トリクロロエチレン787トン。発ガン性クラス排出量上位物質は、ベンゼン86%、ニッケル化合物6%、エチレンオキシド4%、クロロエチレン4%、その他となっています。排出先・移動先の割合は、排出53%(大気48%・水域1.8%・埋立2.4%)、移動47%(廃棄物・下水道)
公共用水水域への排出状況は、408トンで届出排出量の3%に当たります。物質別内訳を見ると、ふっ化水素及びその他の水溶性塩、ほう素及びその化合物、亜鉛の水溶性化合物、マンガン及びその化合物などです。下水道への移動状況は、126トンで物質別内訳を見ると、エチレングリコール、バリウム及びその水溶性化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、キシレン、エチレンジアミン四酢酸などです。また、下水処理場から水域への排出の内訳はふっ化水素及びその他の水溶性塩、ほう素及びその化合物、亜鉛の水溶性化合物、マンガン及びその化合物など29物質+ダイオキシンです。
届出外排出量の推計法は、裾切り以下事業者@アンケート調査結果をもとに、業種別対象物質取扱い比率排出係数などの数値を設定し、事業所数にこれらの数値を乗じて、全国排出量を算出する。A全国排出量を県別事業所数で県に配分する。非対象業種、家庭の排出量@用途を「化粧品」「身体用洗浄剤」「洗濯、台所、住宅用等洗浄剤」「業務用洗浄剤」に区分する。物質別需要分野別全国出荷量を基礎数値とする。A出荷量=使用量=水域への排出量と仮定する。全国排出量を人口等の比率で配分し、下水道へ移行する量を差し引き、都道府県別ごとの排出量(公共用水域直接排出分と合併浄化槽への排出分の合計量)を算出する。B合併浄化槽への排出分については、除去率を見込む。
4、水道事業者からみた化学物質 神奈川県水道企業団
「水道水中の農薬汚染の状況」 佐藤 和男さん
「水道水中の農薬汚染の現状」と題して、神奈川県内広域水道企業団水質試験所の佐藤和男さんより報告を受けた。
はじめに河川、原水及び浄水における農薬検出の状況報告では、平成13・14・15年度の農薬が主に使用される5〜8月における原水及び浄水を採水した調査結果が示された。
採水地点であるが、河川・原水においては浄水場の着水井及び酒匂川・相模川の取水堰、同上流7箇所など、浄水においては4浄水場(伊勢原,相模原,西長沢,綾瀬)及び各浄水場の末端給水地点から河川・原水においては適宜(上流地域における一斉農薬散布後もしくは降雨後など)、浄水においては月1回程度採水し、調査した。
平成15年度現在の農薬登録数は550物質を数えるが、15年度の測定項目はその内の約2割にあたる104物質を測定した。測定項目の内訳は、基準項目等が45物質、未規制項目が59物質となっている。
河川からの検出状況では、39物質が検出された。内訳は除草剤が5割強、殺虫剤が3割、殺菌剤が1割あまりとなっている。また、検出された農薬のほとんどは水田に撒かれたと推定される。
原水からの検出状況では、除草剤が33、殺虫剤が17、殺菌剤が8の計58物質となった。除草剤の中には90年代に販売禁止となった農薬(テルブカルブ(MBPMC))が検出されたが、これは過去に購入した物を現在でも使用しているのではないかと推測される。また、原水における検出濃度の合計を割合で見ると、規制農薬が44.7%、未規制農薬が56.3%となっている。さらに、規制農薬の内訳は基準項目・監視項目・ゴルフ場農薬に分かれるが、それぞれ16.5%、19.4%、7.8%の割合となっている。
除草剤の一つであるチオベンカルブの原水中の出現時期を見ると、5月下旬から6月に集中している。また、殺虫剤(ダイアジノン)は6月下旬から7月上旬に出現時期が集中しており、農薬が散布されている時期と一致する。
検出された農薬の県内出荷量はフェニトロチオン(MEP)は減少傾向、逆にダイアジノンは増加傾向にある。
浄水からの検出状況では、除草剤が12、殺虫剤は6、殺菌剤は5となっている。検出率(1回/月)68.4%と突出しているのは、除草剤のベンタゾン(監視項目)。ただし、基準値は大幅に下回る数値である。また、原水から検出されたテルブカルブと同様に90年代に販売禁止となった、クロルニトロフェン(CNP、除草剤)が浄水からは微量ではあるが検出された。
浄水における規制項目別、検出濃度の合計の割合は基準項目が0.4%、監視項目は45.4%、ゴルフ場農薬9.4%、未規制農薬は44.8%となっている。
原水中で検出された農薬の中には塩素処理過程を経ると不検出となる農薬がある。除草剤ではシメトリン(検出率40.6%)・チオベンカルブ(同37.7%)など、殺虫剤ではダイアジノン(同29.7%)等である。
農薬の県内出荷量と検出農薬の関係を調べて見ると、最大出荷量のD-D(基準項目)は原水・浄水とも不検出である。これは、気化率が高く水中に溶け出さないためであると推定される。
次に、検出指標値を用いた農薬のリスク評価についてであるが、新水質基準における農薬類の取扱いでは検出指標値が「1」を超えないこととする総農薬方式により、水質管理目標設定項目とするとしている。検出指標値の算出方法は[検出指標値=煤i農薬の検出値/農薬の目標値)となる。ただし、神奈川県内広域水道企業団では、検出指標値が0.3を超えた場合、粉末活性炭注入を行うこととする暫定的な注入基準を定め実施し、15年度では、7月に1回だけ酒匂川において検出指標値が0.35となったため活性炭注入を実施した。(相模川では、無し)。
三点目として、農薬一斉散布時の対応と農薬流出状況ついてであるが、農薬一斉散布情報の入手が可能となり、調査が行われるようになった。きっかけは、平成10年にイプロベンホス(IBP)による異臭味障害が発生したことで、農協の協力が得られたためである。農薬監視については、一斉散布直後及び散布後の降雨時に農薬流出調査を現在でも行っている。また、一斉散布後1週間以内に強い降雨が合った場合、農薬の流出を予期して粉末活性炭注入を行っている。
最後に、今までは県内出荷量の多い農薬を監視してきたが、出荷量の多い農薬でも水系では検出されない等、農薬監視のあり方を見直す必要がある。また、環境中、及び塩素処理過程で変化した農薬が検出されており、そのリスク評価も必要である。さらに、より的確な農薬リスクの管理を行うためには、未測定農薬の測定方法等の検討が必要である。
水道水の水質管理において、原水リスク把握が重要であるが、農薬リスクを含め、まだ十分とはいいがたい。今後、PRTR等、より多くの情報を利用して、より精度の高いリスク管理を目指したい。
5、水道水質の現状と課題 横浜水道労働組合
川島 正道さん
水源地域における化学物質の汚染事故は油事故がほとんどでしたが、最近は不法投棄による物質の汚染が目立ちます。例を上げれば、処分地からの残土流出、不法投棄によるテトラクロロエチレンの流出等です。大方は大雨などが降ったあとに原水に異臭がつくことで発見します。現在の浄水処理では活性炭でしかこれらの化学物質を取り除くことはできません。先ほど発表のあった農薬は毎年農協から送られてくるカレンダーで使用される時期をみて、測定の間隔を決めています。
PRTR法で載っている化学物質や油類はかなりの量が記載されていますが、水道ではこの量のごく一部でにおいがついたり異常をきたします。たとえば、廃油たった1.8リットルが取水口の上流で流されても、取水停止の処置をとらなければならないこともあります。このPRTR法で化学物質や油類の保管量や排出先等の移動量がたくさんの人たちにわかることによって、少しでも上流域での水質保全に関心が向いてくれれば今後の不法投棄に歯止めがかかるかもしれません。水源が汚れるほど処理する費用はかかります。これからの新たな水源開発確保は水量予想から必要はありません。従って、開発より流域管理など、水源の水環境、水質保全を配慮した河川・湖沼利用、管理が新しい課題です。
ペットボトルや浄水器を利用していると上流域での変化や保全など見えてこなくなります。上流域や下流域のことを考え、共に行動していけるのは今では労働組合だけではないかと思います。
6.主な質問事項
質問1 水道水中農薬検査の検査間隔はどのくらいか。
また、定量された水道水中の農薬の濃度で安全性はどうなのか。
回答1 水道水中農薬検査は月1回です。また、定量された濃度では問題はない。
質問2 PRTR法で化学物質の移動量が出てくるが、どこへ、どのくらいの量が移動するのか。また、どんな方法で移動させるのか。
回答2 くわしくはわかりません。
移動方法もかわりません。
質問3 農薬の補助成分である界面活性剤を国は推計していないのでは?
回答3 2002年度分からは農薬の主なものについて含有率も含めて推計されています。
質問4 除草剤でもっとも売れている「ラウンドアップ」などは、界面活性成分を企業秘密にしているが、推計はされているのか?
回答4 メーカーに協力いただいた分だけです。
感想 県は登録農薬の中から農家が使いやすい品目を選んで病害虫雑草防除基準を作り、農薬を販売するJAなどに示しているが、これからはずれたメコプロップやモリネート、EPNなどが水道原水から検出されている。県による販売店への指導が不足している。
7.閉会
本日、PRTR法について、それぞれの説明や報告を受ける中で、化学物質の排出移動量の情報をどの様に活用していくのか。また、化学物質を減らしていく運動をどう作っていくのかが問われていると感じました。
水環境部会としては、それぞれの運動への課題として取り組んでいきたいと考えています。
消費者分科会 6/10 開港記念会館1号
記録者 渡辺良夫 (全農林横浜農政分会Tel045-211-1333)
食の安全は、いま
1.13:35 開会と司会 部会幹事 山口好幸(全農林)
あいさつ 私たち「いのくら」消費者分科会では、消費者に深く関わる食の安全性という問題に取り組んでまいりました。私たち自ら学習すると共に、神奈川県に対し食品衛生検査の充実・食品表示の徹底等、さまざまな要求をしている所であります。
本日この食という問題に関しまして、講師の方からお話を伺う事になっていますので、よろしくお願いします。
・講師の紹介
神山美智子弁護士、食の安全・監視市民委員会代表。「ガットの落とし穴」「このままだと20年後の食べ物はこうなる」等の著書あり、最新刊に「食品の安全と企業倫理」があり。
2.神山美智子さん講演 「食の安全といま」 13:40
・BSEの現状 アメリカ、カナダの検査内容に問題点多い、世界中で日本だけが0歳からの検査。
・鳥インフルエンザ・コイヘルペスの現状 国は無窓鶏舎にした場合の補助(野鳥との接触を防ぐ目的で)を行なっているが、耐性菌等の発生は無窓鶏舎が原因だという説が有力である。又、鳥インフルエンザは加熱すれば死滅するとされているが、調理中の接触等を考えると不安である。コイヘルペスについても安全と説明されているが、情報が少ないので、ちゃんと情報を公開すべきだ。
・家畜生産の歪み 本来牛の寿命は20〜25年だが、組み換え成長ホルモン剤を投与すると、通常5Kgの乳量が22Kgまで増えるが、寿命は5年位になる。
・食品表示の偽装 ブランド牛・ブランド豚の偽装の実態、カナダ産バークシャー種の豚を鹿児島産黒豚として販売。
・食品の安全 カネミ油症、カネミライスオイルにPCBが入っていた。PCBを加熱したものはダイオキシンに変化、2002年にやっとダイオキシン被害の認定。これについて農林水産省の対応に重大な誤り(飼料関係でカネミに問題があったため、指導を行ったが、食品については管轄外のため未指導、また厚生省への連絡も怠る)があったという事で裁判、一審で負け患者に一時金を支払ったが、後日控訴審において、農林水産省が勝訴。しかし、当時患者から一時金の回収を無理と判断し、回収を一時断念したが、近年になって再び回収を強行、だがその事をテレビ放映された事によって、非難が殺到したため、再び回収を断念。
・食品安全基本法の制定についての不満 健康被害が起こったためでなく、BSEの発生で農家や、肉業者が潰れそうだったので制定した。
・食品安全委員会 安全性評価ADI(一日摂取許容量)の認定、飼料添加物の指定において、基準の説定の流れは、かなり無駄が多い、しかもバラバラで内容が見えにくい。専門部会の添加物諮問調査会で、マイシン・ナタマイシンといった抗生物質が添加物で認められようとしているが。抗生物質や抗菌剤を食品添加物として認めるのは問題がある。
・健康食品の見直し みのもんた症候群という言葉がある、テレビ等で良いと言われると、みんなこぞって必要以上にそれをとる現象を言い表した言葉らしい。ジパングクラブという中高年向けの旅雑誌に、健康食品の広告が載っていたが、ここに健康食品なのに薬効をうたっていた為、申し入れをして取り止めてもらった、健康食品は食品なので薬効について宣伝してはいけない。特定保健用食品、栄養機能食品とは体の調子が悪い場合には効果があるが、健康体には何の役にもたたない。
(14:48〜14:55 休憩)
質 疑 14:55
質問・相模原市は、遺伝子組み替え作物の検査が充分になされていない、検査数や検査内容を勝手に変えてよいのか。
応答・目安としてしか出していないので、達成率を見てみても東京の20%が最も良い。また表示についても、遺伝子組み換え作物が主原料の5%以下の場合や、使用量が4位以下の物については、表示の義務はありません。
質問・健康食品に認定されている、エコナの油とマヨネーズは大丈夫ですか
応答・発癌性の有無を確認するように指示をしました。また、脂肪がつきにくい油は肥満の人にしか効果がない、特定健康用食品は特定の人にしか効果がない。
質問・食品安全委員会には、何故消費者は参加していないのですか。
応答・日本の食品行政にはいまだに不備な面がかなりあるので、消費者が分け入ってやらなければならない。
質問・食の安全・監視市民の会は、ボランティアの専門家に手伝ってもらえないのですか。
応答・そうしていきたいのですが、現状はそういう風にはなっていません。
質問・ドリン剤は使用禁止になってからかなりたつのに、まだ残留しているのは何故ですか。
応答・ドリン剤パラチオンは1971年に禁止になってからの処理がおざなりで、昨年になってようやく処理が法律に載ったぐらいです。
質問・野菜専用の洗浄剤が販売されているがどうでしょうか。
応答・通常外側についている農薬のほとんどは水洗いで落ちてしまいます、また内側に残留している物は洗っても落ちません。こういう事例こそ公正取引委員会に持って行って下さい。
質問・景品表示法で、神奈川県は消費者センターをなくして、市町村に移管したが、市町村では景品表示法を良く理解していないので、ちゃんと対応ができていません。
応答・公正取引委員会に意見をあげています。
16:10 終了
雇用分科会の記録 2004.6.17 かながわ県民センター
記録者 石井 光江(自治労神奈川県本部 TEL 045-251-9711)
職場のメンタルヘルス
雇用分科会では、働くものにとって今や看過できない重大な課題となっているメンタルヘルスを(=MH)取り上げ、医師、当事者、施策執行者、労働側それぞれの立場から提起・報告を受け、その予防と対策を探った。
まず、勤労者医療生協の医師として、日々、ストレス症状に悩む人たちに向かい合っている天明佳臣氏から「職場のメンタルヘルス」をテーマに講演を受けた。その内容は次のよう。
天明佳臣さん講演
今、職場にMHはあふれた状態と言える。98年から自殺者が交通事故者を上回り、3万人以上にものぼる状況だ。一人の自殺者がいると10倍の未遂者が存在すると言われる。また、一人の自殺者・未遂者がいると周りの5人は強いショックを受け様々な症状を引き起こす。その数は膨大だ。ストレスの原因としては第一に人間関係、ついで仕事の量と質になるが、昇進後の重責に耐えられない、会社の将来性が不安、また、リストラで生き残った人たちが会社への不信の念が取払われずに悩むサバイバル症候群など、社会情勢を反映したものも多い。ストレス社会の中で各々どう注意したらいいか三つあげる。ひとつに体調に注意をはらう、ひとつにストレスがあることを認め、リラックスする手段を考える、ひとつに自分だけで抱え込まず、周囲に伝え共同で立ち向かうこと。事業所においては、トップがMHに理解を持ち、作業ストレスをどう弱めていくか本気になって対策を講ずるかが鍵になる。仲間としてのグループをつくり取り組むことも大切。とにかく身近に悩みを話せる人をつくることが重要。しかし、現状は一旦重いうつ病を発症したら職場復帰は難しいし成功例は極めて稀だ。事業所は早く辞めてもらいたいということになる。当事者が辞めざるを得ない状況に追い込まる事態が蔓延していることは極めて問題だ。様々な症状を抱え、精神科を訪れる人たちの中には、薬漬けにされ副作用に悩むひともいる。社会がMHの問題に理解をもって、ともにうまく暮らしていく条件を作ることが重要であるという視点に欠ける精神科医が多いことを憂える。職場復帰をともに求めるなど、働く者の立場にたった精神科医がどれだけ大切かは、強調してもしすぎることはない。やっと、4月に第1回うつ学会が開催された。基本的な反省の上にたち、地域の人たちとともにMHに立ち向かおうという意思の現われと思う。注目して参加していきたい。隣の人の疲れ方がわからない、疲労を語り合う雰囲気がないなど職場が解体していることが不安だ。とにかく悩みを日頃から話せる同僚を作り、健康サークルなどで克服していくことが大切だということが私の話の結論だ。
次に、View−Net(神奈川県視覚障害者情報・雇用・福祉ネットワーク)の村山哲行氏から自身の体験を通した貴重な報告を受けた。
村山哲行さん報告
15年ほど前に視野が狭くなる病を得、不本意ながら職場を去り、現在市立横浜盲学校理療科の3年生だ。中途障害者になった当初、これからどういう生き方ができるかメンタルなものも含めて相談したいと思い行政関係機関へ行ったが、望むものを的確にすぐに教えてもらうことはできなかった。行政組織に聞くのは現実的に難しいと実感した。山手にある私立横浜訓盲院の今村和彦先生(当時)に出会い、はじめて私の要望に的確、迅速に対応していただいた。こうした組織のみならずボランティアなどの力を結集してより住みやすい生活環境ができればいいと考える。」と実体験を通した思いが語られた。
続いて、県労政福祉課課長代理の林喜代子氏から、県の施策について報告を受けた。
林喜代子さん(県労政福祉課課長代理)報告
県が企業におけるMH対策推進のために行った「県内事業所のMH対策取組状況」についてのアンケート結果の説明と、県が行っている「働く人のMH相談」事業実施状況について、数値データをもとに報告を受けた。氏からは、今後の社会経済情勢の変化を踏まえ、県としても財政は厳しいが効率的に県内労働者の施策を考えたいという姿勢が示された。
最後に、労災職業病センターの川本浩之氏より、これまでの取り組みから報告を受けた。
川本浩之さん報告
MHについては、労働者のみならず事業所からの相談もある。MHの状況は一人ひとり事情が違うので対応が難しいこともあり、労災認定された事例はそう多くはない。職場復帰、労災認定については労組が主体的に取り組まなければ進まないのに、労組は関わっていない。対策の労使協定を結んで、細かいところを決めて対応すべきと訴えた。
質 疑
質疑では、鍼灸マッサージ師が産業衛生の中にヘルスキーパーとしてMHに果たす役割が望めるか、職場の中で疲労を癒しあえる方法はないか、対応のマニュアルはないかなどの質問が出された。
最後に、いのくら事務局から、「最近、道路掲示板、インターネット上でMHにかかる会への入会呼び込みなどが沢山みかけられるが、実体は宗教団体を装った集金目的、あるいは食品売り込み目的のもの。医薬品の効用がうたわれていれば薬事法違反もありえる。」とし、県としての対策の必要性が出され終了した。
基地分科会 6.19 逗子アリーナ(第1会議室)
記録;沢田政司(相模補給廠監視団)
「なぜ、いま米軍住宅なのか」
◆司会;佐藤 治(神奈川県高等学校教職員組合)
◆報告1;鷹取 浩さん(池子接収地返還促進金沢区民協議会)
*「米海軍池子住宅地区及び海軍補助施設」のうち横浜市金沢区域は全接収面積の
約13%である。「金沢区民協」は1969年(昭44)に結成され、その名の通り、1973年に閉鎖に決まった弾薬庫の時代から、返還を促進する活動を続けてきた。
*金沢区民の関心は決して高くないが、住宅建設により逗子市域の森林開発の有様を見るにつけ、金沢区域でも自然破壊が引き起こされてしまうと警鐘をならす活動を続けている。
◆報告2;長島一由さん(逗子市長)
*昨年9月、市長を辞職し改めて市長選に立ったが、それは横浜市の4米軍基地の返還との取引を拒否、住宅建設に反対する意志を示すのに、市民の信任を得たかったからだ。50%以上の投票率と、50%以上の得票という目標を達成、信任は得られた。
*現在、池子住宅地区の横浜市域での住宅建設を認めることはできない。1994年11月の逗子市、神奈川県、防衛施設庁との三者合意で「緑地の現況保全」をうたっている。横浜市域は対象外とするなら、法的な対抗措置も検討している。
*訪米する松沢神奈川県知事に対して、横浜市の4米軍基地についてはあくまで無条件返還を求めてほしいと要請した。条件を付けると、横浜市と対立という構図ができてしまうからだ。
*「旧軍港市転換法」の逗子市への適用問題については、法解釈の変更ではなく、法改正の方で追求していきたいと考えている。
◆報告3;田巻一彦さん(キャッチピース/上瀬谷基地はいらないウドの会)
*根岸、富岡、上瀬谷、深谷の横浜4基地の返還問題と池子住宅地区の住宅増設問題が取り引きされようとしている。日米地位協定第2条3項には「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する」と書かれているが、日米合同委員会などで、日本政府がこのことを全く取り上げてこなかったことのツケが今、回ってきているのだ。
*米軍にとって、住宅問題はどう位置づけられているのか。クリントン前大統領時代に特に顕著になったことだが、住宅問題と軍隊の即応体制は密接不可分なものだ。住宅問題を含む生活の質の向上は軍人の士気を高め、もって軍事活動をより質の高いものにするというのだ。志願制による軍人の確保を図る上で、「住宅問題」は米軍の将来を左右する問題である。
*しかし、生活の質の向上のためには多くの経費がかかる。軍人の住宅が不足する場合、軍当局は民間住宅の借り上げなどの経費を負担しなければならない。日本の場合、「思いやり予算」という日本政府の経費負担で住宅が建設できる。しかも、米本国と違って、会計検査院の監査などを受ける必要もない。大した説明もなしに米軍が必要と言えば、日本政府がお金を出してくれるという仕組みなのだ。池子での800戸の住宅増設計画も、米軍の一方的な説明だけで事が運ばれようとしているのだ。
※田巻さんの説明資料あり。
◆フィールドワーク(池子住宅地区正面ゲート〜六浦ゲート)
*屋内での学習の後、徒歩で池子住宅地区正面ゲート(神武寺ゲート)に移動。大半の人が参加。線路をはさんでゲートと高層住宅を臨める一角で、佐藤治さんの説明を聞く。線路をわたり、カメラをゲートや看板に向けると、門衛氏が制止のジェスチャー。最近は、どこの米軍基地でも写真を撮られることに警戒的だ。
*正面ゲートから徒歩で、京急・神武寺駅へ。電車で六浦駅へ。人数はやや減ったが、徒歩で今度は金沢区側にある六浦ゲートへ。自動車専用道路・横浜横須賀線の直下にゲートはあった。閉鎖中だったが、神武寺ゲートからやって来たのか、門衛が警備に来ていた。ここで佐藤治さんと鷹取浩さんの説明を聞く。
*二つのゲートを見て、池子の森の深さを強く感じた。こんな見事な森に米軍住宅はいらない。ほんのさわりだけなのだが、そんな思いを改めて感じるフィールドワークだった。
「いのくら」の出版物案内 最新刊
共同行動&自治体に働きかけ続けてきた30年の経験を伝える
提案・要求活動から見た市民と地方自治のあり方
『市民がつくる くらし・自治・未来 神奈川の実践から 』
定価2000円+税
書 店 明石書店
内容紹介 目次を参照
体 裁 A5版 約272ページ
編 集 県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会
「いのくら」って?
神奈川に「県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会」(略称「いのくら」)というグループがあります。市民団体、生協組織、労働組合などが一緒になって神奈川県行政への働きかけを続けてきました。生活者の立場で地域社会のあり方を問い続け、地方自治を考え続けてきました。
「小さなグループも大きな組織も一緒になってがんばろう」というのが合い言葉ですが、幅広い活動分野の市民団体が集まっています。障害者団体、在日韓国・朝鮮人団体、移住労働者の支援グループ、女性団体、反基地運動団体、環境保護団体、消費者団体などさまざまです。
「いのくら」の活動分野も市民生活の広い分野に及んでいます。教育、保健医療、社会福祉、水・環境、消費者、雇用、反基地、交通の8分野で常設の部会を設置しています。
地方自治とは?
神奈川県行政への働きかけが「いのくら」の基礎活動となっています。提案・要求活動を通じて、地方自治とは何かをずいぶん考えさせられました。考えさせられたのはそれだけでなく、自治体職員のあり方、行政特有の言葉、交渉テクニック、自治体と市民団体との関係など多くのことがありました。
小さなグループも大きな組織も一緒になって
一方、共同行動を積み重ねることによって、市民団体や労働組合のことも考えてきました。思いをもって自らの自発的な意思で行動する市民団体と、組織力・動員力・財政力のある労働組合。行動原理が異なる団体が一緒になって活動をすることはいったいどのような意味を持つのだろうかとも考えてきました。
障害者、在日・滞日外国人、女性など差別をなくす立場から、幅広い生活領域に及ぶ活動と、シングルイシューの市民団体とが一緒になって活動することは、どのようなメリットがあるのかなども見えてきました。
私たちの経験を伝えたい
「いのくら」で活動する市民団体のリーダーはベテラン揃いです。奥深い考え方、キラリと光る言葉、こういうものに接する機会も多くありました。
このような私たちの活動の経験を知ってもらいたい、わかってもらいたいと思い、発信することにしました。
目 次
はじめに
1障害者運動との出会い
障害当事者から学べ
本物の環境運動をめざして
約束の反故を怒る
涙の訴えは良くない
だれもが利用できる駅に
生きられるのか殺されるのか37
障害者地域作業所
エピソード
加藤語録「差別の何たるか」/聞く運動/神崎語録/明るさと根性/同情は差別、子供扱いは人格の否定/交渉は最大の勉強の場/矢田語録「交渉は団結を学ぶ場」/ある労働組合/運動を行うことのメリット
2基地をなくす運動との出会い
「非核コード」の取り組みから
横須賀をトマホーク艦の母港にさせない運動・・・・5・29横須賀行動
軍艦上の核事故被害想定
母港化を止める数々の行動
厚木基地の爆音
前夜祭
7・24包囲行動
エピソード
新倉語録「平和を語りながら平和をこわす」/相模補給廠監視団の基地ウォッチング/ヨコスカの多彩な市民運動/自治体との関係は固定的に考えない/市民運動と労働組合
3環境・消費者運動とのかかわり
水源上流への産廃処分場建設をさせない運動から まず、良い資料を作る その@
水源上流のゴルフ場建設をとめる運動から まず、良い資料を作る そのA
水田への農薬の空中散布をとめる運動から −実際の活動の大切さ−
県も知らない消費者が集めた情報 ドンケル・ペーパー「L・農業分野合意案」の「パートC」
エピソード
五千円分の話をして/魅力ある企画を誠心誠意伝える/自治体のメンバーのアドバイス/ウソの環境キャンペーンの危険性/自然観察の楽しさ大切さ/資料は求めていく/話題を提供して、議論に加わってくれ
4交渉術
大切な提案・要求づくり
一 生活に密着した生の提案と要求
二 提案や要求の調整
(一)提案・要求調整の要領
(二)グループ化と重複類似要求の一本化
(三)提案・要求提出団体による説明
(四)各分野からの点検
三 要求を降ろすことも大切
交渉を積み重ねることの重さ
一 公式の場の大切さ
二 交渉を積み重ねることの重さ
(一)三回の交渉
(二)全副知事との交渉
(三)毎年の積み重ね
スタンスの問題
市民の力
過去の経緯は市民団体の方がよく知っている
職員によって回答は大きく変わる
よい職員がいる間に進められるだけ進めておこう
インストアパック食品の表示の指導をめぐって −職員の異動が及ぼす影響
5行政の回答を読む
わかりにくい回答
行政の硬直化
行政の回答における「枕詞」、「中身」と「落ち」
役人言葉辞典
6市民との対話をどう考えるか
「いのくら」、特に事務局は嫌われ役
三回の交渉を二回に 市民との話し合いはできることなら避けて通りたい@
ゴミ処理広域化と「全体構想」をめぐって 市民との話し合いはできることなら避けて通りたいA
話し合いの場の設定も楽ではない 市民との話し合いはできることなら避けて通りたいB
県民との対話行政を推進する基本指針
説明責任と根回し政治からの脱皮
エピソード
パイロット事業/国の方が先に実施してしまった/他県に比べれば神奈川県では市民の意見反映がよくできている
例一 進んでいる視覚障害者雇用施策
例二 合成洗剤追放運動
7市民自治とNPO
国・県・市町村 ・・・・ 地方分権一括法が施行されて@
広域連合 ・・・・地方分権一括法が施行されてA
政策形成のファクターとしての市民
個別課題に取り組む市民との直接対話の大切さ
NPOの自主性・主体性
「要求・対決・粉砕」型と「提案・参加・改革」型
イコール・パートナーとしてのNPO ・・・・ 自治への参加のあり方
8「いのくら」体験談
大きな組織も小さなグループも一緒にがんばろう 野口 稔(二代目事務局)
障害者としての市民運動 横田 弘(日本脳性マヒ者協会「青い芝の会」神奈川県連合会)
「いのくら」活動と私 神崎 好喜(神奈川県視覚障害者情報・雇用・福祉ネットワーク View-Net)
「いのくら」と在日の私 金 秀一(かながわみんとうれん)
女性の視点から 藤原 律子(I女性会議神奈川県本部)
これからも平和・反基地に徹して 鈴木 保(厚木基地爆音防止期成同盟)
「いのくら」と合成洗剤追放運動 岩野 淳(合成洗剤追放神奈川県連絡会)
労働組合と市民運動との連携こそ互いの組織を強化し運動を前進させる 山際 正道(神奈川県高等学校教職員組合)
資料
対県交渉の特徴的な成果と課題
「第39回いのちとくらしを守る県民のつどい」
現在講演記録を作成中
「市民がつくる くらし・自治・未来」
講 師 佐高 信さん(評論家)
報 告 神崎好喜さん(神奈川県視覚障害者情報・雇用・福祉ネットワーク View-Net)
鈴木保さん(厚木基地爆音防止期成同盟)
小泉喜子さん(I女性会議神奈川県本部)
日時 2004年3月13(土)午後1時〜4時30分
場所 県社会福祉会館ホール(横浜駅西口徒歩10分、神奈川区沢渡4−2)
「いのくら」の出版物案内
『基地の読み方歩き方』
明石書店刊
「いのくら」基地部会編
定価2000円+税 会員特価あり
神奈川県内全基地まるごとガイド(米軍と自衛隊)
個別基地徹底虎の巻
欲張りデータ集
『私達の非協力宣言』 −周辺事態法と自治体の平和力−
明石書店刊
「いのくら」基地問題研究会編
著者 上瀬谷基地はいらないウドの会 田巻一彦
非核市民宣言運動・ヨコスカ 新倉裕史
相模補給廠監視団 沢田政司
派兵チェック(外部協力者) 木元茂夫
前「いのくら」基地部会幹事 佐藤治
定価2400円+税 会員特価あり
基地と向き合う市民がつくった本 周辺事態法 抵抗虎の巻
周辺事態法で戦争に協力させられないための知恵を満載