新説西遊記

 半歩の信頼を埋める一歩




 砂と岩ばかりが続く荒野を、果てしなく歩き続けて三日。
 ようやく平地に辿りつき、緑を目にした時、玄奘は諸手を上げて喜んだ。

 これで。

「玄奘様、もう少し進めば街があるはずです」
「あ〜〜〜・・・・・よっかった〜〜〜!このままいったら俺、干からびて死ねる気がしてたもんな」
 地図を睨んでいた悟浄の、ほっとしたような台詞に被るように、八戒が心の底から感嘆を洩らす。

 これで。

 乾いた頬に、汗で張り付いた髪を払い、玄奘は後ろを振り返る。

「悟空!これで少しは体力の回復がはかれますよ!」
 彼の定位置たる最後尾。そこに居る筈の、玄奘と最も付き合いの長い男は。
「あ」
 はるか後方でばったりと倒れ伏したきり、ぴくりとも動かないのだった。




 体力が無いのは仕方ない。彼の「斉天大聖」としての力は、何らかの理由で封じられていて、その封印の所為で体力値が寝ていてようやく保たれるくらいのレベルにまで制御されているのだから。
 だが、それを補って余りあるのが「やる気」と言う物ではないのだろうか。

 なのに、三蔵法師一行の従者である悟空は、このやる気も遥か彼方、遠い昔に置いてけぼりにして、干からびた砂漠で粉々に打ち砕いてしまっているらしい。

「聞いているのですか!?」
「はいはい」
「ですから、貴方がしょっちゅう倒れるのは仕方ないとは言え、だからと言って、あの場で置いて行け、なんて台詞、間違っても軽々しく口にしていいものではないのですよ!?」
「はいはい」
「這ってでも・・・・・遅れてでも・・・・・お前達に必ず追いつくからな!とか言えないのですか!?」
「はってでもおくれてでもかならずおまえたちにおいつくからな」
「悟空っ!!!」

 力一杯棒読みで言われた台詞に、玄奘の沸点が一気に上がる。ふるふると肩と拳を震わせて、更に言葉を募ろうとする彼女に「だあああ、面倒臭ぇっ!」と悟空が机に突っ伏した。

「もう良いだろ?こうやって辿りついたんだから。それをぐちぐちぐちぐち言うんじゃねぇよ・・・・・余計に疲れるだろうが」
「結果論を言ってるんじゃないんです!」
 腰に手を当てて、怒鳴る玄奘に、悟空は目を閉じて耳を塞いだ。見ざる聞かざる言わざるだ。
「っ」

 全力で拒絶を表す悟空に、言葉を継ごうとしていた玄奘が、きゅっと唇を噛んだ。

 三蔵法師一行の旅には、従者は四人と決まっている。彼女の右掌にある、蓮の花の紋章。
 それによって導かれた者達を欠く事無く、天竺へと経典を取りに行くのが、玄奘の使命なのだ。

 その為に、皆頑張っていると言うのに。

「・・・・・・・・・・玄奘?」
 拳を握りしめて、黙りこんだ彼女に、ようやく悟空が耳から手を離して顔を上げた。
「とにかく・・・・・しっかり休んでください。二日後には出発しますから」
 くるっと悟空に背を向けて、玄奘はそれだけを絞り出すように告げるとすたすたとその場を後にした。



(分かってるつもり・・・・・なんですけど・・・・・駄目ですね)
 派手に言い争いと言うか、お説教を繰り広げた宿の食堂から、自室に戻り、玄奘は寝台に腰を下ろすと自嘲気味に溜息を洩らした。
 分かっている。
 どんな人間にも優先すべき感情が有り、それに従ってしか生きる事が出来ないと言う事を。
 玄奘だって、その一人だ。

 自分が抱えている使命や想い、重んじている常識、規律、戒律を他者に強要することなど出来ないのだ。
 彼女がもし、他の人間から、到底自分が受け入れられないような思想を強いられたら、きっと反発する。
 反抗する。
 全力で抵抗するだろう。

「・・・・・・・・・・」

 三蔵法師一行の旅の目的に、自身の信じる物を見出せないとして、それでも着いてきてくれる悟空に、やる気を出せ、と強いるのはきっと間違っている。
 ただでさえ、天界と何かあったらしく、己の力を封じられていると言うのに、その天界に導かれて行動を起こすなど、面倒くさがりの彼には拷問に等しいのかもしれなかった。

 それは分かっているつもりだった。なのになぜ、自分はこんなにも、悟空にやる気を出してもらいたいと思っているのだろうか。
 監視されて云々と言っていた彼の台詞が、胸に刺さるのは何故なのか。

 ぼうっと寝台に座りこみ、その元を胸の裡から探そうとして、なんだか深い霧に迷い込む様な感触に、玄奘はふるふると首を振った。

 考えていても仕方ない。
 自分のやるべき事を、精一杯こなすだけだ。そこに、私情を挟んだって、それこそ面倒なだけだ。

(面倒がっても・・・・・彼は結局着いてきてくれてますし)
 それだけで十分じゃないか、と己に言い聞かせて、玄奘は寝台から立ち上がると宿の湯殿で、湯あみをする為に、準備を始めた。





「言いたい事があんなら、全部言えっての・・・・・面倒臭ぇ」
 はー・・・・・・・・・・・・・・・だりぃ。

 相変わらずの頭痛と、身体の芯にずーっと居座っている「重み」。自分の身体がここまで言う事の利かない物だとは正直思わなかった。
 足を持ち上げるだけで、腹に力を込めなくちゃならないなんて、何の冗談だ。
 両手足に、鎖に繋がれた重たい玉があるような、そんな錯覚すらしてくる。

 それを己に科している天界に、悟空は別段怨みは無かった。考えるのも面倒だし、正直どうでも良いとさえ思っている。
 このままずーっと寝台で寝ていても一向に構わない。
 八戒辺りに「枯れすぎだろ、アンタ!」と拳握りしめて力説されそうだが、彼の身体のどこを探しても「やる気」は見出せそうになかった。

 筈、なのに、だ。

(諦めが早すぎんだよ、アイツ・・・・・)
 相手の言う事から、相手の心情を慮り、あっさりと身を引いてしまう。
 もうちょっと我が強くても良いんじゃねぇのか、と悟空は思ってしまい、思ってしまった事に、頭を抱える。

 理解してくれるのはいい事なのではないのだろうか。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 一瞬だけ目に付いた、彼女の瞳に過った悲しみ。大きくて透明なその瞳に、ちらりと過ったのは、まぎれも無い「哀しみ」だった。
 目を閉じると頭痛と一緒に、暗い目蓋の裏にふわりと景色が浮かぶ。自分に向けられる、信頼しています、という色味の瞳と、それから哀しくて哀しくて叫び出したいのを堪えて耐えている色味。
 二種類は相反しているのに、何故か悟空の脳裏に同時に存在している。

「痛っ」

 途端、ずきん、と凶悪な痛みが走り、悟空は目を開けて何かを払う様に手を振った。
 過去を思い出そうと記憶を探れば、その度に痛みが酷くなる。
 天界のお偉方は、そう簡単に悟空の記憶を解放するつもりは無いらしい。

(まあ・・・・・封じられたつもりも無いんだけどな)

 深呼吸を繰り返し、悟空はどっかりと寝台に腰を落とすと両手を敷布について、ぼんやりと天井を見上げた。

 過去の事はどうでも良い。
 とにかく今、だ。問題なのは。

 旅を続けて行くたびに、玄奘の危なっかしさがやたらと目について、気が気じゃ無くなっているのは、悟空の中で起きた変化の一つだった。
 先に進めば進んだだけ、彼女が手に負えない傷を負いそうなのも、ぼんやりと感じとっている。
 なんとか護ってやりたい。

 それはやる気と呼ぶにはいささか、動機が不純な気もするが、八戒や悟浄、玉龍がこの旅に同行し、玄奘を護ろうと考えている動機も似たようなものだから、まあいいか、と彼は断じた。

(いや、いいのか?)
 俺まで毒されてねぇか?

 すうっと、その薄い紅の瞳を細めて考える。
 どう考えても厄介だ。面倒極まりない。これ以上深入りして、良い事など一つも無い気がする。

(それは言い過ぎか・・・・・)
 目を閉じて、悟空はそういや、玄奘が自分に笑いかける事など、滅多にない事に気付いて一寸目を見開く。
 いつだって、彼女は自分と話をする時は、緊張したような面持ちをしていた。
 弱みを見せれば、あっという間に叩きのめされると、知っているのかもしれない。

 俺の印象最悪だよな、と今更ながらに、男は苦笑してしまうのだった。





「・・・・・・・・・・・・・・・」
 共同の湯殿で、綺麗なオンナノヒトがその肌を綺麗に磨いているのを目の当たりにし、どこまでも貧相な自分の身体に、なんとなくがっかりしていた玄奘は、そこに置かれていた試供品の化粧石鹸をなんとなく使ってみていた。
 三蔵法師が絶世の美人である必要はどこにもない。
 まあ、美人だったら蘭花のように得な事もあるのかもしれないが、過度に着飾ったり、自分をよく見せる必要などどこにも無い。

 玄奘の手が荒れていようが、天竺の扉を開く資格には全く影響は無いのだ。

 だが。

 ぱたぱたと廊下を行き、自分の部屋まで戻った玄奘は、ふわりと香る甘い香りに目を閉じた。
 適当に洗濯にも使える石鹸を使用している自分にとって、ちょっとの贅沢のつもりだったが、やけに甘い香りが気になってしまう。
 別に香水をつけているわけではないのに、何となく後ろめたいと言うか。
 性格とは言え、ここまで徹底して節約主義だとはと、玄奘は自分の事ながらがっくりと肩を落とした。

(でもでも・・・・・安眠効果のある香りだと言いますし・・・・・)
 同じ成分の洗濯用の石鹸も売っていた。
 それほど高価なものではないが、安価でもない。
 なんでこんなに後ろめたく思うのか、玄奘はこんなことなら使わなければよかったと、溜息を零した。

 窓の向こうの空は、もう紺色で、西の端は暗い赤に染まっている。昼と夜が混じった、緑の空に、白い星が光るのを見て、玄奘はそろそろ皆と夕飯の時刻だと辺りを付けた。
 食堂に降りようと考えて、ふと扉を叩く音に目を見張った。

 誰だろう。

「はい」
「あー・・・・・玄奘、俺だ」
「悟空!?」

 途端、自分の甘い香りに気付き、彼女はあわあわと傍に有った窓を全開にした。

「おい?」
 廊下で律儀に待っていた男は、部屋の中でばたばたと慌てふためく足音に怪訝な顔をする。
「入るぞ?」
 何かあったのだろうか。
 声を掛けて、それから数瞬後、彼はゆっくりと扉を開けた。

「はい、何でしょう、悟空」
 自分の服のあちこちを叩き、更に顔の横に垂れている髪を掴んでぎくしゃくと、悟空を伺う玄奘に、男は呆れたように溜息を吐いた。
 開け放たれた窓の外から、近所の炭火焼の香りが直接に流れ込んでくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちょ、ちょっと空気の入れ変えに」
「煙が入ってきてんぞ?」
 半眼で指摘する悟空に、「け、煙の香りに人々の安寧を想っていたんです」とトンデモナイ言い訳を口に乗せる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 これで、自分の香りが飛んでくれればいい。
 うろうろと視線を彷徨わせる玄奘に、悟空は再び溜息を吐いた。
「お前・・・・・休憩してる時くらい、使命のことなんか忘れろ」
 そのうち、神経参って、胃、壊すぞ。
「なんというか・・・・・悟空に言われるとは思いませんでした」
 複雑な顔で告げる玄奘に、「んでだよ」と腕を組んだ悟空が一つ目を瞬いて切り返した。
「・・・・・・・・・・だって、私は悟空にこの旅の意義とか、世界の安定とかの事で、ずーっとお説教してきたんですから」
 言ってる人間が、それを実施出来ていないなんて、おかしな話でしょう?

 微かに頬を膨らませて告げる玄奘に、悟空は「は?」と目を丸くした。

「ちょっと待て、玄奘。・・・・・お前、俺に説教する為だけに、胃に穴開く覚悟で人の為に行動してんのか?」
「お説教の為だけじゃありません。私は三蔵法師ですから。常日頃から、人さまの為に働いて、徳を積もうと考えるのは当然です」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 胸を張ってきっぱりと告げる玄奘に、悟空は一気に脱力した。
 眩暈がする。
 頭が痛い。
 ついでに、腹の底がむかついてくる。
「ご、悟空!?大丈夫ですか!?」
 床にへたりこむ彼に、玄奘が慌てて駆け寄った。その顔を覗きこむ様に、自らしゃがみこむ彼女に、悟空はその薄紅の瞳を向ける。
 とくん、と玄奘の心臓が跳ねた。
「ホンモノの馬鹿だな、お前」
「なっ」
 思いもよらない台詞に、目を見開く玄奘の、その額を悟空はこつん、と小突いた。勢いに押され、ぺしゃん、と床に尻もちを突き、額を抑えて見上げる女に、悟空は盛大な溜息を吐く。
「まあ・・・・・お前がクソ真面目で、石頭なのは知ってるけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 反論したい。でも、反論できない。面白くなくて、じとっと睨みつける玄奘を余所に、悟空は斜めに彼女を見下ろした。
「もうちょっと肩の力抜け。どう考えても、もっと切迫してる筈の馬鹿の方がお気楽だぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ええっと・・・・・それは二郎真君の事でしょうか・・・・・」
「アホらしいだろ?自分に使命なんっつー大層なもん押し付けてる相手が、あんなお気楽極楽な仙だなんて。しかも、あんな奴を筆頭にしてる連中の為に、なんでお前が胃に穴開けなくちゃならねんだよ」
 ウザイ。この上なく、ウザイ。
 がしがしと頭を掻いて告げる悟空に「それはそうかもしれませんが」と玄奘は唇を尖らせた。
「でも・・・・・こればかりは譲れません」
「多少は譲れ、馬鹿」
 俺が可哀そうだろうが。
「なんで悟空が可哀そうなんですか!」

 思わず声を荒げる玄奘に、「お前がもうちょっと柔軟だったら、俺に説教する回数が減るじゃねぇか」と堂々と言い放つものだから。

「それはそもそも、貴方の生活態度に問題があるからでしょう!?」
「生活態度っつーか、やる気論になってんじゃねぇか」
「規則正しい生活を心がけてくださるのなら、私も何も言いません!」
「冗談!お前がもうちょっと融通訊けばいいだけのはなしだろうがっ!」
「何故私が折れなくちゃならないんですか!!」
「折れろ!俺の健やかなる健康の為にっ!」
「何がですか!!」

 ぜーはー、と肩を上下させて言い合いを続け、それが止まれば睨みあう。

「貴方に・・・・・無理を強いているのは分かっています」
 この頑固者が、と吐き捨てるより先に、両手を握りしめた玄奘がぽつりと漏らした。
「でも・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

 望んでこの旅に、参加しているわけじゃない悟空に、自分の理想を押しつけるのは抵抗が有る。

 彼には彼の理想が有る。
 そして、自分には自分の理想が。

 相容れないとなった時、自分は悟空を「諦める」事になるのだろうか。


 ずきり、と胸が痛み、玄奘はぎゅっと自分の胸元を握りしめた。ひりひりする痛みが、こみ上げてくる。

「別に無理強いされちゃいねぇよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
 視線を落とし、彼の膝の辺りを見詰めていた玄奘は、静かに降ってきた台詞に顔を上げた。
「望んで、お前に着いてきてる。最初は面倒だったがな。今は慣れた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 ぽかんとする玄奘の鼻を、悟空はつまんだ。
「!?」
「お前、本っっっっ当に危なっかしいからな。俺とは別の意味で」
「・・・・・痛いです」
「だから、俺と居る時くらい、使命とか忘れろ」
 顔を合わせるたびに説教して、一人の時まで、説教の為に世界の事なんか考えんな。
「・・・・・ま、生活態度についての説教なら、聞いてやるよ」
 それも面倒だがなぁ。

 低い声でぼやき、立ち上がる悟空を、玄奘は座り込んだまま見上げた。

 何故、彼にやる気を出して欲しいと思ったのか。
 望んでついてきてほしいと思ったのか。

(私が悟空を信頼したいから・・・・・なんでしょうね、きっと)
 いや、少し違う。

 信頼したいから、ではない。
 信頼しているから、だ。

 恐らく、誰よりも。

 だから、同じように感じてほしくて。同じように、同じものを見て欲しくて。

「・・・・・・・・・・で、玄奘」
「あ、はい」
 ぼうっと見上げたままだった意識が、元に戻る。暗く、闇に沈んでいくその部屋で、ふと悟空が柔らかく笑んだ。
「炭火焼の煙より、その甘い匂いの方が俺は好きだぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 ぽかん、と己を見上げる玄奘に、悟空は背を向ける。
「下で八戒達が待ってるってさ」
「・・・・・・・・・・あ、あの!ご、くう・・・・・」
 その為に呼びに来てくれたのだろうか。それでもいい、と玄奘は立ち上がりながら、ぎゅっと両手を握りしめて悟空の広い背中を見た。
「あの・・・・・えっと・・・・・」
「あ?」
「・・・・・・・・・・安眠用の石鹸・・・・・らしいんですけど、この、香り・・・・・あの・・・・・欲しいですか?悟空も」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 自分の為に買えばいいのに。

 苦笑し、悟空は「別に。俺はどこでも寝られる・・・・・つーか、強制終了させられるからな、意識自体」とあっさり答える。

「そう・・・・・ですか・・・・・」
「ケド、お前が欲しいんなら、いんじゃねぇの?」
 深く考えるのも面倒だ。
 肩をすくめる悟空に、ぱっと玄奘は顔を上げ、それから「そうですね」と小さく答えた。
 彼女がそれを買うのかどうなのか。

 半歩前を行く悟空と、半歩後ろを行く玄奘。

 距離はそれほど無いのに、手を伸ばすのを躊躇ってしまう。

 もしも、悟空の理想が違う物だとしたら。この距離を手放してしまうのだろうか。自分は。

(石鹸・・・・・買ってみましょう)
 自分の理想を押しつけるだけじゃなくて、彼の理想に歩み寄ってみよう。
 彼の考えをもっと身近に感じてみよう。


 外に食べに行こうと、待っていた三人の姿を見つけ、玄奘は闇に沈んだ空を見上げて、ほんのちょっと息を吸い込む。
 夏の香りが辺りに満ちていた。







(2011/02/14)

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