Muw&Murrue

 05 唇から覗く舌
 頭の上の一番高いところに、ぎらぎらした太陽が輝き、セミの声が降り注いでくる。年柄年中そんな気候のオーブで、ムウは自身のシャツを捲り上げて軍本部のオフィスの椅子に座ったままぐたーっとだれていた。

「今、この世で一番何が欲しいって言われたらさ。」

 隣で氷の浮いたアイスコーヒーを飲んでいる砂漠のトラ、ことアンドリュー・バルトフェルドにムウは覇気の無い声で言う。

「俺はエアコンだって即答するね。」
 申し訳程度に額に乗っかっているタオルは、もう大分温い。脇にだらっと垂れた腕をやる気なく持ち上げて、額のタオルをひっくり返すムウに、「なんだ、だらしないな。」とバルトフェルドが涼しい声で答えた。
「僕なんかこれくらいの暑さは暑いうちに入らんと思ってるんだがね。」
「・・・・・・・・・・・よく言うよ。」
 そう言いながら、ムウはバルトフェルドのデスクの下を覗き込んだ。

 そこでは扇風機が回り、更にタライに水が張られて氷が浮いている。バルトフェルドはそこに足を浸しているのだ。

「むしろ寒いくらいだ。」
「へー。」

 涼しげに笑う男に、俺もそれをやろうかな、とムウは頭の隅っこで考えるが、そこまでするのが面倒で、再びダレたまま、タオルに手をやった。
 人肌に温くなったタオルが気持ち悪い。
「あー・・・・・タオルもあったかくなっちまったし・・・・・なあ、いつエアコン復活すんの。」

 日当たり良好、眺め最高のオフィスの室温は35度。
 その数字をげんなりしながら見詰め、ムウは再びぼやいた。

「明日の夕方だそうだ。」
「なんでそんなに掛かるわけ?」
 半眼でエアコンがあった場所を見上げて、ぼやくムウに、バルトフェルドがパソコンのキーを叩きながらのんびり言う。
「仕方ないだろう?エアコンよりも大事な物が壊れたんだから。」
「・・・・・・・・・・・。」


 大事なもの。


 アークエンジェルの格納庫に降りるためのエレベーター、及びハッチが何故か突然壊れた。幸い、中に居た人間はどうにか非常口から艦外に脱出することが出来たが、収容されていたアカツキほかMSは出し入れする事がかなわない。
 どうやら艦のメインシステムに異常が発生したようで、工廠の連中はてんやわんやなのだ。

 オフィスのエアコンの修理も出来ないほどに。

「だから、君はここでくすぶってるんじゃないのかね?」
 図星を刺されて、ムウは遠い目をした。
「無力なもんだよなぁ・・・・・機体のないパイロットなんてさぁ。」
 あちあち、と側にあったファイルで自身を扇ぐムウに、「違いない。」とバルトフェルドはにやりと笑った。
「が、君は他の仕事もできるんじゃないのかね?」
 特にホラ、この辺の備品の発注なんかは、君だって出来るだろ?

 笑顔を見せて、自席のデスク脇に積まれたファイルを指差すバルトフェルドに、ムウはそそくさと席を立った。

「じゃ、俺は体力づくりでもしてこようかな。」
「こっちの評価査定なんかも、結構重要だが、どうだい?」
 ひらひらと書類を振ってみせるバルトフェルドから、じりじりと距離を取り、ムウは引きつった笑顔を見せて逃げるようにオフィスを出るのだった。



「ったく・・・・・このくそ暑いのに書類とにらめっこなんか出来るかっての。」
 軍内部の施設で冷房が効いている場所を探すが、ムウのIDで通れる場所はどれも使用中で、開いている部屋も施設がない。
 頼みの綱のレクレーション施設は、「限り有る資源・地球に愛の手を」とかかれたポスターが貼られて、省エネの真っ最中。トレーニングルームに至っては省エネにプラスして、「ホットヨガ」のキャンペーン中で、ドアを開けることすら躊躇われた。屋外のプールに行こうかと思うが、別に泳ぎたいわけじゃなく、涼みたいムウは、その案を即座に却下した。
「あー・・・・・無駄に歩き回った気がする・・・・・。」
 冷房の止まっている、窓全開の廊下をだらだら歩きながら、しかたなく彼が向かったのは、モルゲンレーテの港だった。
 係留されているアークエンジェルは宇宙艦である。空調設備が整っているここなら、涼しいかと思ったのだが、係留されているドッグまで歩み寄り、見上げた入り口から、大慌てで降りてくるノイマンに、ムウは嫌な予感がした。
 彼が汗だくだったのだ。
「・・・・・・・お疲れ。」
「あ、一佐。」
 暑いー、と制服の前を空けて、ばたばたと空気を入れるノイマンに、ムウは恐る恐る尋ねた。
「何?艦内どうしちゃったわけ?」
「どうしたもこうしたもないですよ。」
 システムチェックするのに、全機能停止中ですから。
 あっさり言ってのけるノイマンに、ムウはうんざりした眼差しを艦に向けた。
「空調も?」
「ええ・・・・お蔭で艦内物凄い暑さですよ。」

 どこにエラーが出ているのか判らないので、全部のシステムを一からチェックしなおしているのだ。

「作動系のエラーだったんじゃないのかよ?」
 思わず不機嫌そうに訊ねると、ノイマンが肩をすくめた。
「それほど単純じゃないみたいですよ。今、モルゲンレーテから応援が来ますから。」
「・・・・・・・・暫く掛かる?」
「相当、かかります。」
 真顔で答えられて、ムウはうんざりしたように片手を上げると「じゃ、頑張って。」と艦を後にした。

 このままここに居ても建設的な事はなさそうだ。

「俺・・・・今日ここに居る意味あんのかな・・・・・。」

 家に帰れば、エアコンが有る。

 涼しい場所を求めて放浪し始めるムウにノイマンが「一佐もちょとは手伝って下さいよ!」と思わず声を荒げるのだった。



 軍本部内に有る食堂に辿り着いたムウは、今までの放浪の結果、一番涼しい場所に認定し、はうー、と情け無いため息を付いた。。
「まー、この際背に腹は変えられんな・・・・。」
 温度計は28度。日陰のせいなのか、風の通り道なのか、格段に涼しい。自販機から缶コーヒーを一つ買って、ムウはテーブルの上に突っ伏す。以外にひやり、とした天板が頬に気持ちよかった。
「幸せー。」
 このまま寝てしまいそうになりながら、突っ伏していると、「あー、すずしー。」という聞きなれた声が響いてきた。
「マリュー?」
 顔を上げた彼は、入り口付近に現れた恋人に、微かに目を見張った。
「あら、一佐。休憩ですか?」
 そちらに向かって歩いてくるマリューは、髪の毛を軽く結い上げ、オレンジ色の繋ぎの上を脱いで、Tシャツ一枚だった。
「・・・・・・艦長自らお手伝いですか?」
 ぱたぱたと軽い足音をさせて近寄ってくる彼女に、自分の飲んでいたコーヒーを差し出すと、マリューが嬉しそうにそれを取って飲み始めた。
「んー・・・・・一応、現場見ておきたいし。」
 美味しそうに缶の中身を空けるマリューに、本日することのないムウが、申し訳なさそうに頭に手をやった。
「わりぃな・・・・俺、役立たずで。」
「別にムウは技術職じゃないんだから、気に病む必要はないわ。」
 ありがとう、と缶を返し、まだ水分が足りてないマリューが、自販機のほうに歩いて行く。
「それに、私は好きで現場に居るんだし。」
「でもさぁ。」
 なんか、役立たずは嫌なんだよなぁ。

 先ほどのバルトフェルドに言った言葉と百八十度違う台詞を吐きながら、ムウはうーんと腕を組んだ。

「じゃあ、家に帰ったら、労わってくれる?」
 くすくす笑いながら、オレンジジュースを買ったマリューが振り返った。
「夜?」
 間髪入れずに聞いてくるムウに、「違うわよ!」と彼女が声を荒げる。
「お風呂沸かしておいて・・・・お夕飯作っておいて貰えるかしら?」
「それくらいなら、お安い御用。」
 にこにこ笑うムウに「あら。」とマリューがちょっと吃驚したように目を見張った。
「お夕飯もですわよ?」
「ひでーな。俺だって料理の本くらいは読めるぜ?」
「・・・・・・・レシピが有れば作れる?」
「そりゃね。」
 そのまんま作ればいいんだから、とムウが頬杖を付いたままマリューを見た。くすっと笑った彼女が、ジュースを手に彼の隣に腰を下ろした。
「ここ、涼しいわね。」
 そのまま、ふっと力を抜いて、マリューはムウの肩にもたれかかった。
「ちょっとマリューさん?」
 そんな彼女の傾いたつむじを見詰めて、ムウが小さく笑った。
「くっついたら暑いでしょ?」
 嫌がるように、わざと肩を持ち上げると、「いやん。」と小さくマリューが答えた。
「やーだ。」
 呟いて、伸ばした手がムウの腕に触れる。熱いそれに、ムウは思わず彼女の顔を覗き込んだ。
 頬が赤く、目尻に朱が刺している。うっすらと汗ばんだ額に手を当てて、彼は彼女の前髪を払ってやった。
「マリューさん、ほかほかだね。」
「ムウさんはひんやりですなぁ。」
 すりすりとムウの二の腕に頬を摺り寄せてくるマリューに、ムウは喉の奥で笑う。
「そんなに暑いのか?艦内。」
「サウナよ、サウナ。」
「また、なんでそんなになってるわけ?」
 ふー、と溜息を付く彼女は、脳内であれこれ専門的な言葉を組み上げて、原因についての結論を出そうとするが、途中で面倒になる。
「ご機嫌斜めなの。」
 ぶう、と頬を膨らませ気味に言われた台詞に、ムウがおかしそうに微笑んだ。
「大天使さまがか?」
 青い瞳が、マリューを横から覗き込む。
「そー。いつまでもこき使うなー、ってご立腹。」
 それを受けて、目を上げた彼女が楽しそうに笑った。
「あー、なるほどね。」
「そうなのよ。」
「じゃあ、一つ、何かお供え物でもしなきゃ駄目かな。」
「お供えものなら私に下さい。」
 ムウに寄りかかったまま目を伏せるマリューは、楽しそうに呟いた。
「そうしたら、私が天使様の機嫌を直して見せます。」
「おー。マリュー様降臨じゃー。」
 いいながら、ムウは彼女の身体を引き寄せて、抱きなおした。

 室温28度でもいちゃつけるもんは、いちゃつけるもんだ。

「ちょっと・・・・・私、汗かいてるから・・・・・。」
 座ったまま、身体を捻るようにして抱き寄せられ、胸板に押し付けられる。暑いのと苦しいのとくすぐったいのとで、顔を上げた彼女はムウを睨んだ。
 対して、見下ろしてくるムウはにたりと笑う。
「汗かいてるマリューさんなら、俺、毎晩見てるし。」
 問答無用で胸元を叩かれる。
「んもう!」
 あついー!
「んー、なんか俺、暑くて壊れてきてるかもー。」
 珍しく体温の高い彼女をぎゅっとして、ムウは遠い目をした。ああ、でもどんなに暑くても、マリューの温度は苦にならないなぁ、なんてふざけた事を彼女の耳元で言ってみる。
「あーつーいー!そしてお供え物ー!」
 じたじたと暴れる彼女を、少し腕を緩めて解放し、ムウはこつん、と額に額をぶつけた。
「何がご所望ですか?マリューさま?」
「・・・・・・・・・苺アイス。」
 自販機のジュースより安価なそれに、ムウは吹き出した。
「ソフトクリームもございますよ?こちらの食堂には。」
 そっちの方がいくらか高い。いい牛乳を使ってるとかなんとかで、ミリアリアが好んで食べていた。
 だが、マリューは真っ直ぐにムウの眼を見たまま、
「苺アイス。」
 言い切った。
「はいはい。」
「苺アイスー!」
「わーったから!」
 席を立って、ジュースの隣のアイスの自販機をムウを見上げた。がらんと広い食堂に、マリューの苺アイスを所望する歌が響いていきた。

 いっちご、いっちご、いっちごのアイス〜は美味しいなぁ〜。

「・・・・・・・ご機嫌だなぁ。」

 なんともまぁ、可愛い女。

 くすくす笑いながら、苺アイスと、青リンゴのアイスを自分用に買って、彼は席へと戻った。

「ありがとー!」
 本当に嬉しそうに笑うから、ムウは思わず吹き出した。
「あに?」
 紙を巻きつけたタイプの棒状アイスを受け取り、早速紙をひっぺがしてくわえる彼女が、身体を折って笑うムウに目を瞬いた。
「ろうひはの?」
 首を傾げるマリューに、ムウは「なんでもない。」と笑いを堪えながら辛うじて答えた。
「答えになってない〜。」
「何でもないの。」

 これっぽっちの贈り物を、ここまで素直に喜ばれるとは。

 まるでダイヤの付いた指輪でも贈った様なリアクションだったマリューに、ムウは可愛くておかしくて仕方なくなったのだ。
 でも、言えば、顔を赤くして否定するだけだから、言わない。

「何よぅ。」
 はむ、とアイスを口にするマリューに、「まあまあ。」と食えない笑顔を返して、ムウも買ったアイスを頬張った。
「んっ・・・・・・。」
 こめかみにキンっとする。
「ちべて・・・・・。」
 んんー、なんて目を瞑る彼が、それでもアイスを食べているのに、マリューは急にどきっとした。

 ちらっと、閃くように。
 唇から覗いた舌に、心臓を掴まれる。

 痛みをやり過ごそうと目を閉じかかる姿に、何かが重なり、マリューは慌てて首を振った。

(・・・・・・・・・私の馬鹿。)

 胸の内で呟き、マリューは耳まで赤くなりながら、脳裏に閃いた暗闇と、彼の瞳と、シーツの感触を追い出そうとする。それでも気になって、ちらっと目を上げると、口にアイスをくわえているムウと目が合った。
「ん?」
 音がしそうな勢いで目を逸らすマリューに、ムウが目を瞬く。
「あに・・・・・ろうかした?」
 可愛らしく赤くなっているマリューに、にやにや笑いながら訊ねれば、「何でもないです!」と彼女が噛み付くように答えた。
 そのまま、ちろちろ苺アイスを嘗め始める。

 その舌の先に、ムウは心臓が強く強く鳴り響くのを感じた。

(やっべ・・・・・・。)
 目を離そうとするが、くわえたアイスを出し入れして嘗めている彼女の口元から目が離れない。
 いくらか紅い頬と、目尻の朱がムウの胸の内の深い部分を刺激する。

 一瞬で連想した卑猥な彼女の姿を、ムウはどうしても消せず、ごく、と喉を鳴らす。

「?」

 と、そんな風にアイス片手に硬直するムウに気付いたマリューが、ちろっと視線を彼に向けた。
「ろうひたの?」
 ちゅ、と音を立てて「アイス」を口から放すマリューに、ぶん、と急いで顔を背け、「いんや。別に。」と白々しく答える。

「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」

 暫く、無言で二人はアイスを食べた。

 時折絡まる視線と、気まずげな空気が、距離の近い二人の間を埋めていく。

 アイスを口にする前より赤くなりながら、マリューは大急ぎで食べきってしまうと、ぱっと立ち上がった。

「さて、と!きゅ、うけい終り!」
「マリューさん。」

 さあ、お仕事お仕事、と何故か上ずった声で告げ、ムウに背中を向けるマリューを、彼は不意に後ろから抱きしめた。
 顎を掴んで振り向かせる。
「ちょ・・・・・・。」
 不自然な格好で振り返った彼女の、冷たくなった唇を後ろから塞ぐ。
「んっ」
 苦しそうに喉を鳴らして、口を開きかかる彼女の口内に侵入して、甘く、冷たくなった舌をあっさり絡め取った。
「ふっ・・・・・・。」
 ぎゅ、とムウの制服にマリューがしがみ付き、十分に口付けを堪能した後、ムウがそっと彼女から唇を離した。
 ちらっと舌を出してムウが笑う。
「―――――って想像したのは、こんなキスとは違うほうなんだけどなぁ。」

 かあっとマリューの頬が赤くなる。

「マリューさんはどっち?」

 にっこり笑うムウに、彼女は「どっちも違います!」と悲鳴のような声で叫んだ。
「違うの?」
 目を瞬くムウを、マリューはきっとにらみつける。
「はい。」
「・・・・・・・・・・・・。」
 そのマリューの顔をしげしげと見詰めた後、ムウがにやっと口の端を上げて哂った。
「って、俺、別に何を想像したとか言って無いんだけど?」
「・・・・・・・・・!!!」
「マリューさん、何想像したの?」
 にやにや笑いながら詰め寄るムウに、彼女はずざあ、とあとじさる。
「ななな・・・・何も・・・・・・。」
 うろたえるマリューに、ムウは「え〜?」と白々しく声を上げた。
「じゃあ、どっちも違うって、何がぁ?」
「!!!!!」

 目を白黒させるマリューを、ムウは引き寄せて両腕の中に閉じ込めた。強張って柔らかくならない彼女の、その細い首筋に顔を埋める。

「俺が想像したのは」
「いいいい言わなくていいです!!!!」
「言わなくても分かるの?なんで?」
「わ、わかりません!知りません!放して!!!」
「だってマリューさん、どっちも違うって言ったじゃん〜。」
「ばかばかばかばか!放して!!」
 真っ赤になって身体を捩り、ムウの胸元を叩く。その彼女の動き全部を封じるようにぎゅうっと抱きしめて、ムウは彼女の耳元に唇を寄せた。

「帰ったら、どっちもしよ?」
「っ・・・・・・・・。」

 かああああ、とマリューが首まで赤くなる。

「舌絡めるキスも・・・・・もう一個の方も。」
 涼しいお家で、さ?

 楽しそうな耳元の声に、マリューは暫く頑張った後、力を抜いて、くったりと彼に身を預けるた。手を上げてムウの広い背中を抱きしめる。

「もう・・・・・・全然涼しくないわ。」
「俺の所為?」
 笑みを含んだ言葉に、マリューは顔を上げると、頬をうっすらと染めたまま、彼を睨む。
「お風呂とお夕飯。」
 告げられた台詞に、ムウは極上の笑顔を浮かべると、ちう、と柔らかな唇にキスを落とした。
「了解であります。」


 腕を離れ、食堂の入り口で「いーっだ!」と顔をくしゃっとさせて、アークエンジェルに戻っていくマリューに、ほくほくと嬉しそうな顔をしながら、ムウは小さく笑う。

「これからもマリューの前でアイス食おうかな・・・・・。」

 そんな仕草にまで、敏感に反応する彼女に、妙な満足を覚えながら、彼もいそいそと食堂を後にした。



 室温28度が、彼等が居なくなった後、30度になっていたのに、気付く人間はいないのだった。



(2006/12/30)

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