2日目 9月24日(土) 曇り晴れのち雨
登り 早月小屋(5:50)〜2800m(7:50)〜カニのハサミ(8:20)〜剱岳山頂(8:50〜10:30)
下り 剱岳(10:30)〜カニのハサミ(10:55)〜2800m(11:20)〜早月小屋(13:00〜14:00)〜馬場島(16:45)
同室の若者は、まだ暗いなか4時過ぎに部屋を出て行った。緊張のためか部屋の暑さからか夜中に何回も目が覚めた。4時30分準備のため布団から起き上がる。朝食は5時。既に空きの部屋もあり、暗くともやはり山の朝は早い。
『標高2400m付近、下って来てガレ場ですが草の上を歩かないで下さい!草で滑り下まで落ちます。ここで今年死亡事故が2件起きてます!落ちたら助かりません。もう一つ、岩場にボルトが出ている場所が一箇所あります。右足から出してください。そうしないと回れませんから!下は見えません断崖絶壁です。向こうから登るカニのタテ、ヨコはしっかり鎖が付いていて安全です。こちらの方が上級者向けです!』・・・食事中に小屋の奥さんから剱岳登頂に関しての注意。これを聞いてまたまた不安が大きくなる。頭の中は標高2400m付近とボルトでいっぱいになった!!!
5:50〜早月小屋出発 |
三度目の正直で剱岳を目指す大阪の女性は朝食後直ぐに出発した。こちら何時もの事ながらゆっくりと準備(笑) 今日も前後して登ると思われる好青年と記念撮影。小屋の方に冬支度でと言われた為にシャツは厚め・・・でも予想に反して暑くなりそう。『還暦みたいだね〜』と言われ『う〜ん・・・それはもう少し先よ。』 滑落しても目立つように赤なの。今日は信号機のような取り合わせ(笑) 鎖場を心配しながらも剱岳に登る自分が信じられない。いくらか興奮気味のスタート!小屋脇のテント場を通り登山道を登って行く。小窓尾根、赤谷尾根を眺めながら少し登って振り返ると早月小屋と雲海に浮かび上がるように猫又山が綺麗に見えた。 |
早月小屋 |
猫又山 |
ナナカマドやハイマツの登山道はアップダウンが少なく歩きやすい。ナナカマドの実は赤く熟しているが葉は紅葉というより枯れている感じだ。草紅葉は少しづつ始まりハイマツとのコントラスが綺麗。2600mの展望からは室堂がよく見え薬師岳も見えた。ここから先は稜線歩きで快適。まだ劒岳と思わせる岩場は始まらない。 |
快適な登り |
まだまだ登る |
7:50〜2800mの標識 |
登ってきたぞ〜 室堂、前劒方面 |
歩き始めて丁度2時間で2800mのプレート到着。室堂、前劒方面も先ほどよりかなり近づいて見える。山頂で青空が期待できそうだ!残り標高200mで剱岳に!逸る気持はあるが行く手にはボルトが待っている・・・。 岩場に出る手前の鞍部で4時過ぎに部屋を出た若者が早くも下山して来た。『どうでしたか?』と尋ねる。『凄かった!山頂からは全部見えました。誰も居ない山頂でした。でも岩場は怖かった・・・。』いささか興奮気味で答えてくれた。やはり怖いのね・・・。イワバ! さてさて、ここから先はガイドブックに書いてある通り鎖の連続!いよいよ剱岳らしい登りに入る。岩に白いペンキで○や矢印が行き先を指示してる。最初の鎖場で大阪の女性が下って来た!『ここ、怖いですよね。』と彼女。やはり剱岳山頂に立った後のためか興奮気味。『山頂は記念撮影の人が順番待ちで凄いです。50人くらい並んでますよ。あちら側からどんどん登って来ます。少しガスも出てきました。』 いやぁ〜早く山頂に立ちたい! |
8:20〜カニのハサミ・・・。 |
一枚の大きな岩壁の前に来た。『アッ!ボルトが出てる!ここだね。』垂直の岩に一本のボルトが打ち込んである。左下を見ると吸い込まれそう・・・高度感あり。なんと怖がりの私が躊躇することなく先頭を行く。でも何故か右足が先に出ず、左足でズルズルと行ってしまった。なんで?どうしたの?でもたどり着けた!先に終わればもちろん写真タイム!ではお次の方どうぞ。ちゃんと言われたとおり右足からボルト! |
ボルトは右足から |
無事にカニのハサミ通過!後はゴロゴロの岩場を高度を上げながらどんどん登る。見上げると分岐の標識が見え、近づいて行くと山頂の祠が見えた!あぁ・・・剱岳山頂が直ぐだ! |
8:50〜憧れの劒岳登頂! |
ついに剱岳山頂に!まずは祠の前で記念撮影。運良く空いていて順番待ちはない。興奮気味でうろうろする・・・。『私ね!今、剱岳の山頂に居るのよ!』と。携帯電話を掛けている年配のご婦人の声が聞える。 この気持何となくわかる(笑) 誰かに嬉しさを伝えたいのよね。 こちらも、ソワソワした感じで落ち着かない。上ずった感じで山頂から周りを眺め、一番見たかった後立山連峰が厚いガスに覆われて見えない。三角点より少し下の大きな岩場の上で休憩。剱沢ルートから大勢の登山者が連なって登ってくるのが見える。 ここは剱岳山頂なんだと自分に言い聞かせながらコーヒーを飲み一息入れる。標高2999mとは思えない暖かさでシャツ一枚で丁度良い。下山予定時間を大幅にオーバー・・・。 |
劒沢ルート |
八つ峰をバックに |
10:30〜剱岳下山開始。 |
剱岳は人を高揚させる山のようだ。見ることの出来ない眺めは次回のために残してまた登って来よう!高ぶった気持を下山のために慎重へと切り替えて鎖場やカニのハサミへ・・・。 |
10:55〜カニのハサミ! |
カニのハサミ |
下山時は少し余裕?谷間にペットボトルが落ちている・・・。登りにはなかったのに誰か落としたんだね。やはり下を見ると怖い。ここでカニのハサミ通過中に記念撮影。暫く静止状態・・・早く撮って頂戴!足の順序はこれでOKだよね? |
記念撮影 |
鎖場が終われば次なる課題は2400m付近の急な下りに注意!草の上を踏まないように気を付けなくては。 |
無事通過・・・ふぅ〜 |
登りには全く気が付かなかったが、2600m付近でチングルマの群生を発見!お花が見られる7月頃に登ってみたい。あたりはガスに覆われ始めた。チングルマのワタゲが秋を待っている。2614mピークで休憩、時間はジャスト12時!コーヒーゼリータイム(^^) ガスが出て来たなら雷鳥さんに会いたい!『ツルギライゾウ』出て来て〜!雷鳥の鳴き声を真似るが、残念ながら今日の出演は拒否のようだ。 |
チングルマ |
やはり魔の2400m付近だった・・・。緩いカーブで眼下には急斜面が見えた。草を踏まぬよう注意しながら歩いたが、岩のような大きな平らな石の上で足が滑り転んでしまった。そのまま下まで滑り落ちるかと一瞬思った。いやぁ〜驚いた!脚力がないから下山はゆっくりゆっくり慎重に。 ここから早月小屋まで小一時間。 |
13:00〜早月小屋着(^^) |
まずは剱岳登頂を祝してワインで乾杯!湯を沸かしてカップ麺を食べたりコーヒーを飲んだり。ゆっくりと剱岳を思い浮かべる。今夜、早月小屋泊の登山者が数名登ってくる。皆ザックカバーをしている。下界は雨なのかしら? この先まだ下りは長い。空は曇り、今にも雨が降ってきそうだ。今年で小屋を降りる管理人の田制さんと記念撮影。泊まりの登山者らに見送られ小屋を後にする。早月尾根の長い下りはリズムカルに馬場島登山口まで下って行こう! |
16:45馬場島登山口着! |
尾根の下りは霧雨で快適であった!9月の雨は冷たくなく長丁場を歩き火照った身体には心地好かった。長時間歩いたにも関わらず早月尾根からの剱岳ルートは変化に富んで飽きることがなかった。どうやら剱岳はパワーを与えてくれる山のようだ! |