浅草岳(1585.5m)

平成18年9月10日(日) 晴れのち雷雨

登り 六十里登山口(6:30)〜南岳(8:10)〜鬼ヶ面山(8:55)〜狢沢カッチ(10:00)〜前岳分岐(11:00)〜浅草岳(11:10) 
下り 浅草岳(12:20)〜鬼ヶ面眺め(13:30)〜大久保沢の水場(14:20)〜田子倉登山口(15:00) 

 今日も残暑が予想され鬼ヶ面経由で浅草岳は少々厳しい感じに思われた・・・。コース変更を考えながらも待ち合わせの田子倉登山口に車を走らせる。自宅から栃尾を経由して田子倉へ。以前から堀之内を経由するより、こちらの方が近いと思っていたがナビによると10キロほど近い。約束の6時に5分ほど遅れて到着。広い駐車場には4台の車とテントが一張り。9月でまだ暑いからこれくらいの台数かな・・・。
 ワタシの車で六十里登山口へと向かう。アスリートT君との登山はどうなることやら・・・。

 6:30〜六十里登山口前に車が一台止めてあった。反対側の駐車場に車を止めて登山カードを記入。『安全で楽しい登山のためにカードの提出を!!』と書かれた看板が記載台の脇にあった。

登山カード記入
 
 登り初めだけ少し急な感じがするが、その後は緩やかな登山道が続く。スパッツをつけないで歩いたので、ズボンの裾は草の露で直ぐにびしょびしょ状態になった・・・。気が付いた時は既に遅かった。越後の山はスパッツ必須!途中でほんのり薄いピンクホツツジ咲いていた!ブナ林が気持ちよい。
 
工事中
 45分ほど歩きマイクロ中継施設の広場に出る。ここは工事中でロープに沿って進み登山道へ。眩しいほどの青空に早くも南岳から眺める浅草岳の姿を想像した!ここで10分ほど小休止!そして梨を頬張る・・・水分たっぷりで甘くて美味しい!無理やり梨をすすめる。
 背の高いススキの中を歩きながら遠くに南岳が見える。

ススキ
 
 ススキが生茂るなかを進み道を右手にわけて灌木の尾根道を歩く。だらだらと登りが続く。やがて少し段差があるところを登ると右手後方に田子倉湖を見下す。ここからは開けて気持の良いのぼりとなる。4年前は6月初めに登り、この辺りはたっぷりの雪渓がありマンサクの木が雪の中から出て黄色い花を咲かせていた。あの日も青空が眩しかった。
 そしてひょこりと南岳の山頂へ・・・。

南岳へ・・・。

浅草岳
 
 南岳からはどっしりと大きな岩肌の浅草岳!浅草岳は全ての登山道から登っている。何処のルートから眺めても素晴しい姿を見せてくれる美しい山!さらに雪で覆われた早春、残雪と新緑、緑濃い晩夏そして燃えるような紅葉!四季を通して飽きる事ない山である。
 南岳から山座同定を楽しむ。しかし毛猛山魂がよく分からない。未丈が岳やその奥の越後三山や荒沢岳さらに尾瀬の燧ヶ岳まで確認できる。毛猛山魂に精通したT君にしっかりと教わる。左から前毛猛山〜毛猛山〜中岳〜百字が岳〜太郎助山。そしてさらに進めば桧岳が百字が岳の右横に尖がって見える。今朝通ったマイクロ中継施設も小さくなって見えた。

毛猛山魂とマイクロ中継施設

 南岳から鬼ヶ面山までの稜線歩きは右側が切れ落ち崖になっている!さらにアップダウンを繰り返す。その切れ落ちた登山道の右側に、白いウメバチソウが小群生を作りあちらこちらに咲いている!花が少し大きいように感じられる。八方尾根で見たコウメバチソウに比べるとはるかに大きい!このガレた右側での写真撮りは怖い・・・。谷底に吸い込まれそうだ!
 忠右エ門沢のカッチから『あれが鬼ヶ面山だよね〜』と言いながら歩く。されどなかなか辿りつかない。切れ落ちた稜線歩きで『よそ見』は厳禁!

ウメバチソウ

あれが鬼ヶ面山
 南岳と同じようにひょっこりと鬼ヶ面山に着いた。山頂は狭く休憩する日陰もない。少し下り陽射しを避けてパンとコーヒーでエネルギー補給・・・ワタシだけ(笑)まったく燃費の悪い女だ!それに比べ燃費の良いT君は殆ど食べない・・・。
 15分ほど休み北岳を目指して登り返しが始まる。この辺りはウメバチソウ、リンドウ、コゴメグサ、シャジンと思われる紫色の花が咲いていた。北岳手前には熊の穴と呼ばれている岩穴がある。その中に終わりかけのナデシコが一輪咲いていた。北岳山頂へは藪のために行けない。
 北岳から先にピークが二つ見えた。CTから奥が狢沢カッチに当たるのだろうと推測し歩き出す。気温はかなり上がっている。リンドウの濃い紫が秋を感じさせる。

中央ピークが狢沢カッチ

リンドウ
 
 照りつける太陽を背に浴びながらピークを一つ越えて狢沢カッチにたどり着いた!浅草岳が大きく間近に迫って来た。それよりも振り返り眺める鬼ヶ面山が名に相応しい様子で立ち並ぶ。田子倉湖や守門岳よく見える。『どどぉーーーー!』とダイナミックな音が響いた!どうやら沢の雪渓が崩れ落ちる音のようだ。

鬼ヶ面山

 10分ほど休み浅草岳に向かう。またアップダウンを繰り返す。ジリジリと太陽を浴びての登りは辛く心臓がバクバクする!背中がカァ〜と熱くて燃えそうな感じだ!最後の急登に差し掛かる手前で、このまま登りは無理・・・『休ませてぇ〜〜〜〜!』と叫びザックを投げ出した。誰も来ないだろうと登山道の真ん中でしゃがみ込みグレープフルーツを頬張った。あっ!下山してくる登山者が一人・・・『スミマセン〜!』と叫びながら脇にあたふたと避ける。その後なんとか呼吸を整え最後の急登を克服した!ヤレヤレ・・・安心した。
 前岳の分岐に出ると優しい姿の浅草岳が待っていた!秋色に染まりつつある裾野を広げている。分岐標識の下にオニシオガマが咲いていた。登山者も数人見られるが静かな浅草岳である。

優しい浅草岳

オニシオガマ
 
 青空は消え薄く曇った眺めは静かな山頂に相応しい感じがした。初めての浅草岳はどう?『満足です。』とT君。しかし、ワタシのバテバテ歩きで迷惑を掛けてしまった。『浅草岳は登山者が少ないのぅ〜』と彼は言う。暑い時期は登る人も少ないが、残雪から7月頃までさらに紅葉の時期は登山者で大賑わいの浅草岳なのです。
 山頂から福島側に下って大きな岩石に腰を下ろしてお昼にする。疲れのためか珍しく食欲がない。小さなパンを少しずつ食べレモンティーで流し込んだ。T君はここで初めておにぎり二個を食べた。燃費が良いです!
 田子倉湖の奥の越後三山の上に雲がかかり始めた。『雨になるかしら?予報は夕方から雨なんだけれど・・・。』 怪しい雲が出て来たのでそろそろ下山。気が付けば一時間以上も景色を眺め体調を整えていた。

山頂より前岳

 下山は田子倉登山口へ。下って直ぐにまたまたウメバチソウが登山道脇を覆っている。ジグザグに進むとロープがつけてある急な斜面をトラバースぎみに下りて行く。なんとも歩きにくい下り・・・。気の抜けない下り道。それでも休む事なく鬼ヶ面眺めを目指してひたすら下り続ける。

山頂直下

ウメバチソウ

この先で休憩

鬼ヶ面眺め
 
 雲が出てきたりガスが掛かったりで、鬼ヶ面眺めからの眺めを心配した。怪しい雲行きになりながらもどうにか眺めることが出来た!これが鬼ヶ面眺めだ・・・。
 剣ヶ峰付近ではナナカマドが少し色づいていた!小さい秋だぁ〜。田子倉眺めから田子倉湖を望み稜線とはサヨナラ!ブナの林へと下りて行く・・・。グリーンシャワーを浴びながらやはりブナは良いなぁ〜と実感!大木のブナ原生林は素晴しい。浅草岳は何処から登ってもブナが見事だ!この緑さらに黄葉の時期は光りで顔が黄色に!来月になれば黄金色に輝くブナ林になるだろう!
 

グリーンシャワー
 

ツリフネソウ
 チョロチョロと水音が聞こえ始めたら大久保沢の水場に着いた。ここにもブナの巨木がある!沢沿にはツリフネソウが群生している。気持良いブナ林を歩き幽ノ沢を渡りさらに道木沢を渡渉し草の生茂った登山道を進む。最後に少し傾いた短い木道を歩きながら『駐車場に着いた?もう直ぐだよね〜。』と叫んだその時・・・足元が悪く大きく滑り横転!よそ見をしながらの歩きは厳禁です!

田子倉登山口
 15:00〜残暑が厳しかった浅草岳!無事に下山できて良かった!身支度をして車に乗り込むと雨がポツポツとフロントガラスに当たる。六十里登山口にて登山カードを記入し各々の車に乗り込むと・・・雷雨そして強風の大嵐となった!この嵐に巻き込まれず下山できてラッキー!危機一髪の下山だった!