中ノ岳(2085.2m)

平成18年6月4日(日) 晴れ

登り 十字峡(5:05)〜日向山(8:15〜8:35)〜池の段(10:43)〜山頂(11:10)〜小屋(11:15〜12:15)
下り 小屋(12:15)〜山頂(12:20)〜生姜畑(13:35〜13:45)〜2合目(14:55)〜十字峡(15:50)

 山開きも始まり、山スキーから気持を入れ替えて登山を開始しなければ・・・。6月に入りようやくそんな気持になり始めた。山に登るかドライブにするか迷った末に、十字峡辺りにドライブと決めた。十字峡まで通行可能なのか、中ノ岳救助隊の桑原隊長に電話で問い合わせた。『丁度、この週末3日から開通で、4日は登山道の点検と中ノ岳の小屋開けに行くから、良かったら来れば良い。後からゆっくり登ればいいさ・・・。』 う〜んいきなり中ノ岳は辛いなぁ〜。迷いながらもお言葉に甘えて、ゆっくり後から着いて行きます・・・。


 興奮したのか前夜は殆ど眠れない。されど3時10分起床!十字峡集合は5時!車を走らせ小千谷インターから高速で六日町へ向う。4時55分ようやく十字峡登山口に到着!すでに、隊員の方々は集まって準備万端。私の車を見つけ『遅い!遅い!先に行ってるよ!』と声がかかる。 本谷山以来の懐かしい顔が勢ぞろい。中ノ岳に向う3人以外は阿寺山の黒又沢方面へパトロール。
 
 5:05〜隊員の方達より10分遅れてスタート!コンクリートで固めた山肌の階段をジグザグに登る。いきなり急な斜面を登るがこれは5分ほどで終わり、ふかふかの落ち葉を踏みながら平坦な登山道を進む。救助隊の人達に追いつけるのかしら?なんて考えながら歩く。再び登りになり少々汗ばんだ頃に1合目に着いた。救助隊の人達は腰を下し朝食・・・。『おはようございます!』と挨拶を交わす。私もここでパンを食べる。
 5:40〜1合目出発!救助隊の方々は雪で倒れた木々の枝を鉈で切り整備しながら登って行く。歩き始めは彼らの姿が見えるが、写真など撮っていると・・・彼らは直ぐに消えてしまう。登山道脇にはイワウチワが咲き乱れていた!
 視界が開け左手に八海山が見え始める。少し歩くと水場の標識があり。(ここから500m程トラバースした所が水場)沢水で夏は涸れる場合が多い。少し進むと鎖場がある。しかし危険な場所ではない。
 
八海山                                水場へ   

鎖場
 鎖場の直ぐ下で鮮やかな山ツツジの競演に目を奪われた。白いウゴクツクバネウツギも可愛らしい。鎖場を登りきると高度を稼いだ感があり、振り向けば三国川ダムが眩しく見えた。歩き始めて約一時間ほど6時10分二合目に着いた。彼らは既に休憩をしていた。
 
 この辺りから北五葉松が立ち並び二合目は千本松原の名前がついている。阿寺山が近くに眺められ、黒又沢に入っている他の救助隊の姿も見ることが出来た。彼らは一合目毎に休憩を取るらしくここではゆっくり15分過。
 2合目から雪の上と夏道を少し交互に歩く。雪の重みに絶えて曲がったブナの木が目立つ。ブナの新緑が新鮮に見える。桑の木山が大きく見え3合目に6時50分着。

桑の木山
 大きな北五葉松の尾根歩きからブナ林へと変わり、タムシバやオオカメノキの白い花が咲いている。ひんやりしたブナノ林の中に4合目がある。今回も私が到着すると既に彼らは腰を下し休んでいる。
 

 7:30〜ここから、五合目の日向山までは少々長い登りが続く!イワウチワとカタクリ咲くブナ林の夏道から冬道の雪渓歩きが始まる。雪は予想以上に硬い!雪の斜面はそう急ではないがピッケルを使って登り始める。目の前は雪の斜面で白一色。右手に桑の木山が見えるので写真を撮るため、横に歩き進むと思わず声を上げた!雪の上に立ち並ぶブナと山々が素晴らしい!

イワウチワ

残雪と新緑
 斜度は緩いが雪面が硬くキックスッテップが上手く行かない。アイゼンは着けずピッケルを手に歩くが時たま滑り落ちそうになる・・・。雪に埋っている枝を掴むとマンサクの花が咲いていた!まだそ早春の越後の山。


マンサク
 アイゼンを着けるほどではないが、今頃の雪は硬くしまって歩きにくい。スパイク長靴の救助隊員はやはり快適に進む。ここを登りきれば5合目の日向山だ。大きな中ノ岳の姿が早く見たい。
 先行く彼らの姿は直ぐに小さくなった・・・。振り向けば、桑の木山〜ネコブ山。その先は下津川山から巻機山に繋がる。

彼方へ、追いつかない・・・。

振り向けば

 8:15〜やっと5合目に到着!目の前にはデッカイ、デッカイ正面から見る中ノ岳!う〜ん再会って言葉が何故か浮かんだ。ここまで3時間そしてまだ半分・・・。山頂は遠い・・・とおい・・・トオイ!そして、彼らの姿が見えない。足跡から日向山に向った様子・・・。
 日向山でやはり休憩していた。日向山の雨量計の裏はアズマシャクナゲの群生!それはそれは綺麗♪見下ろす生姜畑はまだ雪原!救助隊員も
『ここまで多いと思わなかった・・・』と。中ノ岳を眺めながらコーヒータイム。ここでゆっくり20分休憩。のんびり・・・。
 写真を撮りながら先へと進む。先行く彼らはまたもや・・・小さくなった!早いなぁ〜。

生姜畑から中ノ岳
 生姜畑の雪原から先も、ずっと雪の尾根歩きが続く。ここもアイゼンを着けるまでもなくピッケルのみ使い快適に進む。アップダウンを繰り返し最後の急登を登りきれば7合目の小天上。しかし、この最後の急斜面の雪が手強かった!急だが距離が短いので大丈夫と思いアイゼンを着けづに歩き始めた。中間でちょっと厳しいかな?と思った時はもう遅い!滑る、滑る、急に怖くなった・・・。ふと下を見ると、『ここで滑り落ちたら下まで止まらない!沢に落ちてしまう!』 ピッケル頼りに慎重に慎重に歩みを進める。
 手強い雪の急斜面を登りきり夏道にでた。夏道も雪の重さで土が流され痛んでる。登山道の脇にシラネアオイが咲いていた!良く見ると左斜面にシラネアオイの群生。登山道から離れているので写真が上手く撮れない。登山道の右はアズマシャクナゲが咲き乱れてる。他にもヒメイチゲやキクザキイチゲ、ツバメオモト、オウレン等など・・・。中ノ岳ってこんなにお花が多いの?って感じで驚きながら歩く。しかし、疲労感で花の写真を撮る余裕がなくなってきた(涙) それでも、花に慰められながら、なんとか7合目の小天上ピークに着いた・・・9時20分。
 
シラネアオイ                           アズマシャクナゲ
 小天上からはやせ尾根とガレ場のような急な登りが池の段まで続く。兎岳から丹後山に続く稜線に雪は見られない。その向こうの群馬方面の山々も薄くなって見える。
 暑くて喉が渇き既に500mlのアミノ飲料を飲みほしてしまった。空腹で力が入らずザックを下しパンとコーヒーで一息入れる。休むとたちまち虫の襲撃・・・。
 再び歩き始め、ミネザクラやダケカンバの木々が目立ち、登山道に大きなダケカンバの木が現れる。以前も印象に残ったダケカンバだ。救助隊員の方もダケカンバの下で休憩していた。

小天上付近より中ノ岳
 ダケカンバの休憩からさらに急な登り。登山道脇はチシマザサに変わり、一つ二つと小さなタテヤマリンドウが目に映る。池の段から流れ出る雪解け水で足元の登山道が濡れている。もう少しで池の段!

タテヤマリンドウ
 池の段からは雪庇の上を歩く。目の前には平ヶ岳、荒沢岳、尾瀬の燧ケ岳も見える。兎岳に続く雪庇は崩れ落ちる感じで付着。山の海を眺めながら山頂へ向う・・・。
 この場でなんと左腿が攣って肉が硬く隆起し痛くて歩けない!水分不足が原因と思い2本目のアミノ飲料水を半分近く飲む。下山時の水が心配になるが仕方ない。ここでリタイアも考えるが暫く休んで左足をだましながら歩く。雪庇と夏道を交互に歩き、割れた雪庇に落ちないように注意しながら進む。途中雪庇が切れたって細くなり平均台のような場所は足を横にして歩く。ちょっと怖かった!

池の段〜兎岳〜大水上山〜丹後山

中ノ岳

 11:10〜中ノ岳山頂!もちろん誰もいない。以前はガスで何も見えなかった。今回はぼんやりとしているが全て見える。山頂の標石をカメラに納め小屋へ。救助隊員はお昼を食べ終えゆっくりとくつろいでいた。小屋の周りにはまだ雪が多く残っていた!『やっと着きました!足が攣ってしまいました。中ノ岳は池の段からも厳しいいですよね〜。』と言いながらどっしりと腰を下し、左足の腿をなでた。コンビニの梅干おにぎりと緑茶で軽くお昼。う〜ん疲れた・・・。
 副隊長の桑原さんが(救助隊に桑原さん多し)ペットボトルに雪を入れて水を作っている。
『初登山は、疲れて喉が渇く!』と彼も水が不足している様子。彼らは小屋開け作業を始める。天水用のタンクを取り付け、冬囲いの板を外し、小屋内部の掃除等・・・。その間私はコッヘルに雪を入れガスを使い水を作る。(気分は山野井泰史・・・。これ一度やってみたかった。) 駒ケ岳や八海山を眺めながら小屋周辺を徘徊する。

中ノ岳避難小屋

駒ケ岳

八海山
 12:15〜作業も終わり小屋を後にする。桑原副隊長はどうやら花好きのようだ。山頂付近にはハクサンコザクラやタカネマツムシソウ、トキソウなどが咲くと教えてもらう。珍しい蘭の名前も教えてもらたっが・・・忘れてしまった。次回尋ねてみることにしよう。再び山頂にて記念撮影。登りの時は疲れて上手く撮れなかった。

再び中ノ岳へ

山頂の方位盤
 山頂からは池の段までは難所もあり慎重に歩く。後はダケカンバを目指してミネザクラを愛でながら下る。さらにガレ場を歩き小天上へと向う。ミヤマキンバイの黄色い花が日に照らされて眩しい。雪の斜面を真似事のグリセード?で転んだりしながら生姜畑へと向う。
 
ダケカンバ

ミヤマキンバイ

日向山に向かう
 既に生姜畑付近にいる隊員達が右に左にと何か探している様子。山菜?いや雪原にあるはずがない休憩にしては変な感じがする。なんだろう?彼らに追いつくと『熊の足跡があるから待っていたよ!』・・・『え〜!熊の足跡ですか???でも登る時はなかったですよね。今日は私達4人だけですよね・・・。』 『う〜ん。それもまだ新しい。ニアミスだな。どうやら沢から沢への通り道にこの生姜畑がなっているみたいだね。』 熊の足跡は私の手の大きさと同じ!いやぁ〜単独でなくて良かった〜〜〜。

熊の足跡


 生姜畑から少し登り5合目で暖かいほうじ茶を飲む。雪の斜面を快適に下り途中藪に入りブナ林の4合目へと向う。ここから千本松原まで長い下り。気温もかなり上昇している。下りでも汗がどんどん出てくる。
 北五葉松の大木を過ぎ鎖場を通過し一合目のブナの大木を通り、枯葉の沢山落ちている道をリズム良く下る。大きな水音が聞こえると十字峡の売店の屋根が見える。最後の階段を一歩一歩踏みしめて無事に十字峡登山口に到着。