唐松岳(2696.4m)〜五竜岳(2814.1m)

平成18年7月29日(土) 曇りのち雨

 八方山荘前(8:55)〜八方ケルン(9:45)〜八方池(9:55〜10:10)〜丸山ケルン(11:40〜12:00)〜唐松岳頂上小屋(12:50)
 唐松岳山頂(13:05)〜小屋(13:25〜13:40)〜最初の鎖場(13:50)〜五竜山荘(15:55)

 長引く梅雨にじれったさを感じながらも一泊二日の山旅を計画する。しかし、候補地二箇所は林道が崩壊し通行止め・・・。どちらも復旧の見通しがない。天気予報も曇りから雨に変わる・・・予定を中止し日帰り山行きに変更。されど、日帰りで行きたい山がなかった。ならば土曜日は小雨を覚悟で登り日曜に期待しよう!そこでゴンドラ、リフトを乗り継いで気楽に登れる八方からの唐松岳〜五竜岳と決めた!なんと決定したのは28日の昼であった・・・。


 下山は五竜岳から遠見尾根を下る予定なので、ゴンドラ『アダム』乗り場にて八方アルペンライン片道乗車券1400円とザック分の400円を購入(ザック10キロ以上は料金を取られる)大きな秤があるのでザックを計量・・・なんと18キロ!うゎ〜重い!
 ゴンドラとリフト二本を乗り継ぐ。リフトに乗りながらも沢山の花々を観賞!短時間で八方池山荘前に到着。ここから登山は始まる。整備された登山道の脇は八方のお花たちが出迎えてくれる!一番最初に目に飛び込んだのがハッポウタカネセンブリ!ウスムラサキ色で可憐な花・・・この色が好き!しかし、残念な事にどれもピンボケ状態だった。ニッコウキスゲやワタスゲなど初夏の花が咲いていたり、雪が融けたばかりの所はチングルマや小さなピンクのユキワリソウが可愛い!でも遠くて上手く写真が撮れない。一見、ユキワリソウはハクサンコザクラと思ってしまう。


ハッポウタカネセンブリ
  
第二ケルン                                   八方ケルンへ

 18キロザックを担ぎ緩やかな登山道を順調に歩く。雲の流れは早く時折陽射しも差し込む。午後は小雨模様の予報だが回復?するのか・・・。夏休みが始まり大勢の観光客と登山者で登山道は渋滞していた。写真撮りも順番待ち状態。
 秋を感じさせるワレモコウの花も咲いていた・・・。

八方ケルンを振り返る

 歩き始めて丁度一時間で八方池に到着!でも白馬三山は拝めず残念。三山方面は真っ白なガスに覆われている。二度目の八方池だが今回も良い景色と出会えず。
 空腹を訴えて・・・八方池のベンチンにて休憩。第何次成長期なのか、お腹が空いて仕方がない。これって太るって事なの?ここ最近の登山は常に食べ続けて登る・・・。太るよ!

八方池

 15分ほど休憩し出発する。観光の人達はここまで。ここからは本格的な登山となりダケカンバの林に突入する。その手前で今年初のタカネマツムシソウと出会う!まだ蕾が多いのに大輪の花が咲いてた。

タカネマツムシソウ

ダケカンバ林
 下樺から上樺の間もお花は咲き乱れている。色濃いピンクのシモツケソウの群生が凄い!それに対抗するのが白色のイワシモツケの花!

シモツケソウ 


イワシモツケ

重たい・・・。

 降ったりやんだりの雨のなかを歩き、木々が少なくなると扇雪渓に出た。多くの登山者達が休憩している。ここを過ぎれば丸山ケルンまで後わずかだ。この辺りでザックの重さが急に肩に堪えて来た・・・。シラネアオイの群生やキヌガサソウ、オオサクラソウなどが咲いている。でも写真撮れず。ザックが重くてお花は眺めるだけ・・・。

扇雪渓

丸山ケルン

 扇雪渓からは少々急な登りを進み、ハイマツが多くなると開けた丸山ケルンに着く。ここでも眺望は得られず。風はとても強い。でもガスは上がらない様子。ここでお昼休憩。風が強いので休んでいると少々寒さを感じる。慌てて雨具を着込む。
 ザックの重さが堪えてるので、ミネラルウォーター1.5Lを担いでもらう事にした。軟弱登山者でスミマセン・・・。
 丸山ケルンからは稜線も近く、尾根の南側に付けられた登山道を進む。辺りがガスでぼんやりしている。バタバタと音がしたので南側の斜面に目をやると、チングルマのお花畑に雷鳥の親子が居た!雷鳥はやはりガスになると出てくるね!暫く雷鳥観察・・・。

雷鳥・・・分かるかな?
 ガスのなか緩やかに登り南側からまわりこんで稜線に出る。やはりガスで何も見えない。本来なら剱岳や立山が見えるのに残念。もちろん唐松岳も見えない。唐松岳の姿を見せてあげたかったなぁ〜。
 唐松岳頂上小屋前にザックを置き唐松岳を目指す。途中コマクサが咲いていたが元気がない・・・長雨の影響だろうか。

コマクサ
 八ヶ岳でコマクサの群生を見て『コマクサがまるで蟹のように見えて、今にも動くんじゃないかと思ったよ!』と言う。なるほで・・・コマクサが蟹のように見えるなんて・・・やっぱ浜育ちだね〜!でも分かるような気もする。
 小屋から20分程で唐松岳山頂!ガスガスの山頂・・・。写真を撮りささっと下る。

ガスの山頂
 小屋から10分程で最初の鎖場。こんな看板↓がありました!『牛首』と呼ばれる岩場の下りである。岩に○印で道が記されている。×印は行けませんよ!

鎖場
 スタートから10分程はそう難しくなく順調であった・・・。しかし、そこからが大変な事になった!それは、とても怖くてビビルと言うのではなく・・・なんと年配者17人の団体登山者が前方を塞いでいた!さらにその前にも団体の登山グループが・・・鎖場は渋滞で待ち時間が長い!
    
 岩の隙間には濃い紫のチシマギキョウが咲き乱れていた。雨に濡れ風情あり・・・。でも、残念ながら良い画像なし。ガスのなか岩場と鎖場を過ぎ、大黒岳との鞍部に出て樹林帯のなかを歩く。雨はさらに強さを増す。樹林帯を抜けたところで少し休みパンを食べる。
 北アルプスらしいハイマツの間の道をつづら折りに登り進む。雨のなか黙ったまま黙々と歩く。ただひたすらに・・・。五竜山荘はまだか?と思う頃に白岳の分岐に出た!少し下り始めたらガスのなかにぼんやりと五竜山荘が見え山荘の裏側にでた。クルマユリが出迎えてくれた。

 五竜山荘でテント場の申し込みをしてテントを張る。雨は強く風も吹きはじめテントを設営しながらも身体が冷えて寒い!ザックはずぶ濡れ状態でさらに重さを増した・・・。
 ようやくテントに入り荷物を片付けガスで暖をとる。雨と風が強くテントはパタパタと音をたてる。まずはビールを飲む。急遽決まったテント泊なので夕食メニューも決めてなかった・・・。今夜は玉葱、オクラ、アスパラ、トマトのサラダ。食パンにハムとサラダをのせて食べる。軽く食べて寝袋に入り仮眠・・・。ウトウトした頃にまた起きて今度はワインを飲む。つまみはピーナツとチーズ。風は止み雨は小雨になって来た。夜は更けて9時過ぎに就寝。
 夜中2時過ぎに目が覚めた。風や雨の音が聞こえない。テントから外に出ると・・・満天の星空!そして大きな山のシルエット!あれが五竜岳なんだ・・・。目の前には雲海が漂っていた。明日は晴れるに違いない!『ねぇ〜!遠見尾根を下らないで、唐松まで稜線を歩き景色を楽しまない?剱岳や唐松岳もみられるよ・・・。』
 またしても変更で遠見尾根は下らず再び来た道を戻る事にした・・・。

平成18年7月30日(日) 晴れ
 五竜山荘(9:10)〜唐松岳頂上小屋(11:30〜12:40)〜丸山ケルン(13:15)〜八方池(14:20)〜八方山荘前(15:10)

 朝4時過ぎに起きご来光を見るために白岳に向う。昨夜のワインが身体に残っているのか何となく気だるい・・・二日酔い?低血圧なワタシ?雨雲海の上に浮かび上がるご来光が美しい!モルゲンロートに染まる五竜岳が一際大きく感じられた!その置くには双耳峰の鹿島槍ヶ岳が見える。昨日は姿を見ることが出来なかった唐松岳もすっきりと聳えてる。

ご来光
 

五竜岳と五竜山荘
 

双耳峰の鹿島槍ヶ岳

唐松岳

 白岳からテントに向うが気分が優れず・・・。う〜ん二日酔いかな?なんだろう?食欲が無く気分が悪い。『水分が不足しているかもしれないよ。』と言われゼリー状のマルチビタミンを飲む・・・。だいぶ楽になり軽くパンとコーヒーで朝食。うん?もしかして何も食べずに白岳に登ったからエネルギー切れで具合が悪くなったのかも・・・。
 6時過ぎ体調も回復し→単なるエネルギー切れ(笑) サブザック紛いの袋にペットボトルとチョコレートを入れて五竜岳に向う。北アルプスらしい砂礫の登山道はよく整備されてる。登山道はだんだん急になり、ゴロゴロとした岩場に印されたペンキを頼りに登って行く。手も足も使い慎重に登る。岩々しい五竜岳が大きく迫ってくる!稜線に出ると鹿島槍ヶ岳も直ぐ近くに見える。唐松岳方面は雲海の上に浮かび上がり、その奥の白馬方面の山々の連なりも伺える。

五竜岳頂上へ
 
 大きな岩の間の鎖場を過ぎて少し登り進み7時過ぎに五竜岳山頂着!大勢の登山者が記念撮影をしている。そして雲海の上に剱岳が聳え立っていた!そして鹿島槍ヶ岳に繋がる険しい稜線を眺める。山頂で写真を撮り下山も混雑しそうなので15分ほど休み下る。

唐松岳〜白馬方面
 

鹿島槍ヶ岳
 

大賑わいの山頂
 

 テントを撤収し下山準備・・・結局出発は9時10分。白岳への分岐を過ぎ昨日は雨とガスで何も見えなかったハイマツの九十九折の登山道を唐松岳目指し景色を楽しみながらリズムよく下る。時折砂礫に足が滑る。青空が梅雨明けを思わせる!
 再び向う唐松岳と登ったばかりの五竜岳を交互に眺めながらの稜線歩きは最高の気分!前に進んではまた五竜岳を振り返る・・・。五竜はなんて大きな山なんだろう!遠ざかっても大きさはいっこうに変わらない。ハイマツ帯の稜線歩きが終わり最後の大きな五竜を眺め樹林帯の下りに入る。綺麗なヨツバシオガマが咲いていた!リンネンソウも見つけたが写真はピンボケ・・・。

夏山・・・五竜岳!

ヨツバシオガマ

エゾシオガマ

 昨日は団体さんで渋滞していた鎖場も今日は順調に進む。唐松岳方面から向ってくる登山者とのすれ違いも混み合わなかった。岩場にはイワギキョウが咲いている。

イワギキョウ

鎖場

鎖場
 岩場が終わり薄くかかったガスの中に唐松頂上小屋が見えた!唐松岳はガスの中・・・。可愛いハクサンフウロがお出迎え。

唐松岳頂上小屋

ハクサンフウロ


唐松
 小屋前のテーブルは大勢の登山者達で賑わっていた。冷えた生ビールを楽しむ登山者も少なくない。テーブルの一角を借りて間単なランチ!唐松岳はガスの中、姿を現したり消えたりを繰り返していた。軟弱な登山者達は、晴れているけれど唐松岳は眺めるだにした・・・。
 コーヒーを飲みながら唐松岳の方を眺めていたら見覚えのある顔ぶれが・・・。チームヒロタンご一行がやって来た!まさかの遭遇で驚き!テーブルを一緒にし暫し山談義?に花が咲く!

 チームヒロタンご一行より一足先に下山開始。八方池での白馬三山の眺めを少々期待し花の写真を撮りながらゆっくり下る。丸山ケルン手前で雷鳥の親子と遭遇!昨日より近くで見ることが出来た!

雷鳥
 
    
ムシトリスミレ                    チングルマ
 
    
イブキジャコウソウ                       タカネヤハズハハコ

クモマミミナグサ

コウメバチソウ

 ガスの中八方のお花たちに魅せられ多くの写真を撮る・・・ピンボケ多し(涙) 八方池ではまたもや白馬三山のお姿は拝めず。残念!また登って来よう。
 八方山荘前でソフトクリームを食べ、ゴンドラとリフトを乗り継ぎ駐車場へ・・・。今年初のテント泊も無事に終了。迷いながらも出かけて良かった!

ミヤマムラサキ