本谷山(1860m)

平成17年9月4日(日) 曇り

登りコースタイム 本谷山登山口(5:25)〜雨量計(7:00)〜小穂口の頭(9:25)
下山コースタイム 小穂口の頭(11:30)〜本谷山登山口(14:00)

 
 本谷山には沢山のマツムシソウが咲いている事を以前ネットで情報を得ていた。7月丹後山の下山時に一緒になった六日町岳会の方に尋ねてみた。やはりマツムシソウは沢山咲いていると言う。マツムシソウも好きな花の一つ群生が見たい!
 丹後山から巻機山への縦走路のエスケープルートとして、本谷山の草刈を中の岳救助隊が毎年9月の第一日曜に行っている。隊長から草刈の時に同行しませんか?と声を掛けていただきマツムシソウを求めて本谷山へ・・・。


 内膳落合の本谷山登山口に着くと、隊員の方達は早々と身支度を済ませ足早に登り始めた。少し遅れて登山口周辺を整備する人に見送られ5時25分夜明けととも出発した。中の岳や丹後山に比べ本谷山は優しい山だと彼らは言うが・・・。登り初めから急斜面の連続でロープまである。一人マイペースでゆっくりと登る。20分ほど登ると頭上から『ハチだ!蜂だ!蜂に刺された!』と聞えた。驚きながらも登って行くと前方から、そこから動くなと指示される。どうやら一人がスズメ蜂に刺され他二名が殺虫剤で駆除している様子。しかし殺虫剤は効かずネットを被り駆除しているもう一人も刺された!彼は刺されながらも鉈で迂回路を作っていた。少し落ち着いた頃に雨具を着て登山道を誘導してもらいその場を通り過ぎた。隊長はスズメ蜂の駆除を本格的にする事に。そこで、先行している隊員の人に雨量計小屋の鍵を渡して欲しいと手渡された!小屋には草刈機が入っている。重大な任務を命じられて足早に出発。登山口から雨量計まで2時間ほどだ・・・。


 6:40〜急いで登らなければ・・・。
 
 鍵を渡すため急いで登るが先行者に追いつけない。中の岳救助隊だから私のペースで追いつくはずがない。展望のない登山道を黙々と登る。やがて展望が開け右手には桑の木山が見え振り向けば曇り空の下中の岳が見えた。明るくなり北五葉やブナ林が綺麗に見えた・・・思わず写真を撮る。雨量計には7時半くらいには着くだろうか?急がなくては!
 9月の山は花も少なく紅葉もまだ。しかし嬉しい事にミヤマホツツジが沢山咲いている。イワカガミのつやつやした葉っぱが登山道を覆っていた。春には沢山の花達が競演しているのだろう。

ミヤマホツツジ
  
桑の木山                                  雨量計までの登り
 7:00〜雨量計着!〜7:20発。
 前方から隊員が下って来た!思わず『鍵ですか?預かってきました!』と告げる。『良かった。まだまだ先まで下るつもりでいたから助かった!いや〜助かりました。雨量計まで直ぐだよ』と。どうやら少しは役に立ったようだ(^^) 雨量計のところで20分ほど休憩。彼らは草刈機に燃料を詰めたりブレードをつけたり準備。小穂口の頭まで草刈をする。草刈をしながら登るので3時間ほど掛かるらしい。迷う所はないから先に行く事を進められる。一足早くスタート。
 雨量計から緩やかな登山道を歩きながら熊鈴を忘れた事に気づく・・・。急に不安な気持になり笛を首に下げ時たま吹く。下のほうから草刈り機のエンジン音が聞え始めたころ三角点のある三十倉に着いた。ナナカマドの実が赤くなっている。

ナナカマド
 三十倉からは50メートルほど下り登り返すと足場の悪い岩場がある。振り返ると三十倉の向こうに大きな中の岳と左手に八海山が見えた!どんよりとした曇り空のため墨絵のようではっきりしない。前方左手には本谷山が見えてきた。春の花はそれぞれ実をつけていた。
 
三十倉と遠くに中の岳(右)                         足場の悪い岩場           
 北五葉マツが終わり灌木の背が低くなってくると登山道は笹に覆われ始めた。吹く風は冷たく雨具を着る。雨量計から一時間ほど歩いてはっきりと本谷山を確認できた!時折草刈り機の音が鳴り響く。

本谷山(左)と小穂口の頭(手前から右二つ目のピーク)
 マツムシソウは小穂口の頭手前の岩場に咲いていると聞いていた。笹に覆われた道をストックでかき分けながら西側の岩場を覗いてみると・・・マツムシソウが少し咲いていた。西側はかなり急な草付きの斜面でマツムシソウとコゴメグサそしてイワショウブが咲き風に揺れていた。やはりマツムシソウは2〜3株程度かな〜。なんて歩きながら眺め、さらに前方の斜面を見ると一面にマツムシソウが咲いていた!斜面を少し下りて写真を撮るが思っていた以上に斜面が急だ。滑り落ちれば下まで・・・。危ない事はせずに登山道に戻る。少し歩くと登山道の岩場にもマツムシソウは咲いていた(^^) 西側に見えるネコブ山胴倉沢の雪渓も見えた。

マツムシソウ
 9:25〜小穂口の頭着!
 
利根川源流域                                  本谷山
 小穂口の頭までの最後の登りは腰まである笹と背丈ほどのシャクナゲの道だった。登山靴は笹などの草露でびっしょり濡れていた。小穂口の頭東側は草原が広がっていた。群馬県側だ。下津川山に繋がる縦走路は胸までの笹に覆われていた。
 地図上では本谷山まで35分となっているので尾根沿いの道を少し歩いてみるがシャクナゲの藪が酷く進めない。草原で休憩し草刈り部隊を待つことにした。コーヒーとパンで軽い朝食。30分ほど休むが草刈り機の音が聞えないので下ってみる事に。

小穂口の頭より下津川山

イワショウブ
 花の写真を撮りながら下り、草刈り隊と合流し再び小穂口の頭まで登る。スズメカン蜂に刺されながらも草刈をしながら登って来られた隊員の方には頭が下がる。ご苦労様です!
 マツムシソウは例年よりも多く咲いていると隊員の方々は言う。今年は雪が多く雪解けが遅かったからだろうか。


機械で草刈をしながらの登り
 11:00〜再び小穂口の頭〜11:30まで
 草刈り隊の方々と再度本谷山を眺めるが・・・すっかりガスに覆われてしまい何も見えない。30分ほど休み雨量計を目指して一気に下る。下山途中で蜂を駆除した隊長も登ってきて合流。かれも駆除中に刺された!蜂の巣は掘り起こしガスバーナーで焼却処理。とても大きな巣だったらしい。
 一人では登る事のできない山歩き。とても充実した一日。なんと言っても中の岳救助隊の地元の山を愛する熱い気持に感動した一日。
感謝、感謝の本谷山だった!