ミナミヌマエビ〔2004年11月27日〕

皆さんは、ミナミヌマエビという動物をご存知だろうか?

 

ヌマエビ科カワリヌマエビ属に分類される体長3cm程のこの小さなエビは、熱帯魚等を飼っている人にとってはまあまあポピュラーなエビである。

 

主に、水槽内に発生するコケを取るために投入するお掃除係だが、多彩に変化する体色や、エビ独特のコミカルな動きにより、単独でも人気のある水棲動物となっている。

 

私は、高校時代に生物部で部長をやっていたこともあって、この手の動物が大好きだ。

プロフィールの項でも書いてあるように、犬を一匹飼っていて、その存在にも癒されている。

が、それはどちらかと言うと家族のような感じで、もはやペットとは思っていない。

おそらく両親や弟、祖母も同様に思っているだろう。

 

対して、水槽で飼育している動物たちは、高校時代の生物部の延長線上に位置しているようなもので、『いかにして、限界のある閉鎖空間で生態系を再現できるか』をテーマとして飼育している。

 

・・・とか書くと、非常に大げさに感じるかもしれないが、ようは学生時代には手を出せなかった『熱帯魚飼育』という比較的設備を整えるのにお金のかかる趣味を、働いて本当に安月給ながら自分のお金を持てるようになったのを機会に始めてみようと思ったわけだ。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、題名のミナミヌマエビという動物、この生き物が我が家にやってきたのは、熱帯魚水槽を立ち上げて10ヶ月ほど経過した頃である。

 

同様に、熱帯魚を飼育している友人が、「大量に仕入れたのでいるなら分けてあげる」と言ってくれたのが発端で、「くれるなら、ありがたく頂戴する」と10匹ほど分けてもらった。

 

エビは、魚よりも、プランクトンなどの微生物に近いため、水質の変化には魚以上に敏感であるため、念入りに水槽の環境に慣らせる「水あわせ」を行い、満を持して水槽内に投入することとなった。

 

幸いなことに、うまく馴染んでくれたのか、1ヶ月がたち、2ヶ月がたっても1匹も欠けることなく水槽内を元気に泳ぎ回っていた。

 

さらにしばらくして、おなかに卵を抱えている個体を発見。

私は思わず小躍りした。

 

と言うのも、このミナミヌマエビは水槽内での繁殖が比較的容易な種であることが有名で、投入初期からひそかに期待していたのだ。

 

何故、繁殖が容易なのか、それはその誕生の過程に理由がある。

 

エビには、孵化後の成長の仕方が大きく分けて二通り存在する。

 

一つは

卵→ゾエア幼生→稚エビ→成体

という成長をするタイプ

 

もう一つは

卵→稚エビ→成体

というゾエア幼生期を経ないタイプだ。

 

ゾエア幼生とは、いわゆるプランクトンの時期で当然ながらその身体は非常に小さく、他の生物に捕食されやすいうえ、初期飼料を与えるのも大変だ。

 

しかし、ミナミヌマエビはこのゾエア期を経ないタイプなので、生存率が高く成長も早めなので、環境さえ整えてあげることができれば、爆発的に繁殖するのだ。

 

現在、私の熱帯魚水槽の中では、定期的に繁殖が行われているような状態だ、もちろん死んでしまう個体もあるわけだが、常に一定数の個体が存在し、小さなハサミをせっせと動かしてコケ取り作業に励んでいる。

 

クリアブルーの個体、トラジマの個体、オレンジ色の個体、白い個体。

とても同じエビとは思えないほどの個性豊かな小さなエビが水槽内で活動している様は、見ていてとても楽しいものだ。

 

単体で飼ってもなかなか楽しいミナミヌマエビ。

それほど難しくなく飼育できるこの愉快なエビを、あなたも飼育してみませんか?


BACK