※ 以降の文章にはネタバレがありますので、未クリアの方や、見たくない人はお気をつけください。
一部、ハカりんの脚色が入っていますので、原文のままではない箇所もあります。ご了承ください。
謎の機械を操作し、過去とのコンタクトをとるべく繰り返し呼びかけるアギト。
「こちらは2004年、誰か聞こえますか?」
その耳に、力強い男の声が飛び込んでくる。
「こちらは1972年。聞こえるぞ!」
その言葉にガッツポーズをとるアギト。
「やった。」
「私は仮面ライダー。君は?」
アギトは、先刻戦ったセミの怪物の言葉を思い出しながら、誇らしそうに名乗った。
「仮面ライダー・・・アギト!」
BLACKは通信機から聞こえてきた二人の男の声に答えるべく、通信機に向かって語りかけた。
「こちらは1988年!僕の名は仮面ライダーBLACK!」
BLACKと名乗った男の声に肯いていた1号ライダー。その耳に通信機から聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「本郷先輩。こちら1974年です。」
1号は驚いた。
「その声は・・・風見!風見か!?」
V3は微笑みながら通信機に語りかけた。
「お久しぶりです先輩。これで全ての時代の仮面ライダーが揃ったわけですね。」
「仮面ライダー!?風見・・・お前が仮面ライダーだと?」
通信機から聞こえる1号の声が狼狽しているのがわかる。V3はフッと笑うと口を開いた。
「細かい話は後回しにしましょう。今やらなきゃいけないことは・・・。」
「奴らの時空を越えた計画の阻止。」
1号の声に、V3は肯いた。
「我々全員の時代に計画があって、どれか一つでも成功すると歴史が変わるって・・・。」
アギトは怪人から聞いた情報を語った。
「全ての時代に計画があるのか・・・。」
V3は事態がかなり大掛かりである事を思い唸った。
その時、ふとBLACKが疑問を発した。
「待って下さい。もし過去の計画が成功しているなら、僕の時代はすでに変わっているはず。」
1号は、しばし考え込んでから口を開いた。
「君たちの時代に何か異変はないか?」
アギトは、咄嗟にあることを思い出した。
「あのオーロラ・・・。」
アギトの言葉に、BLACKはハッと気づいた。
「そうか!ここは孤立した変異空間なんだ。」
1号は、BLACKの言葉に肯いた。
「多分間違いない。ここでは外界とは違う時間が流れている・・・。」
V3は思わずつぶやいていた。
「この空間は、奴らが力を貯えるための、いわば繭と言うところか・・・。」
「だとしたら、奴らの計画って・・・。」
アギトがそう言葉を発しようとしたその時!
「むぅ!」
「ぐっ!」
「うおっ!」
「うわっ!」
1号、V3、BLACK、アギト。4人の仮面ライダーの頭脳を稲妻のような衝撃が貫いた。
と、同時に各時代の司令室の天井付近に謎の物体が出現した。それは、さながら触手の生えた巨大な眼球・・・。
その出現と時を同じくして、各時代に存在した、巨大な装置の中央に、不気味な生物が入ったカプセルが出現していた。
『・・・時はおとずれた・・・』
その声に反応しアギトが振り返る。
「あっ!?」
別の時代ではBLACKが振り向き驚きの声を上げた。
「ハッ!」
『・・・我が計画を邪魔するのは貴様らか・・・』
時を越えて全てのライダーの頭脳に不気味な声は響く。
『・・・その「肉体」・・・非力すぎる・・・』
V3を見下ろす巨大な眼球。V3は身構えた。
「むぅっ!」
1号は、その眼球を指差した。
「お前は!?」
眼球は、1号の言葉を無視すると、BLACKを見下ろした。
『・・・やはり・・・・・・ここにいたか・・・』
「えっ!?」
BLACKは驚いた。眼球が発する声に、喜びのようなものが混じったのを感じとったのだ。
『その「力」・・・その「命」あとわずかと思え・・・。』
BLACKは構えつつ声を張り上げた。
「何だと!?」
『空間は完成した・・・しもべたちが完全なる闇を築く』
眼球の声が響き渡る。
『我が帝国・・・』
司令室入り口に電磁バリアが展開される。
『・・・完成は近い・・・』
眼球は、そう宣言すると唐突にその姿を消した。
BLACKは思わず叫んだ。
「・・・一体、今のは!?」
アギトもその後をうけて叫んだ。
「こっちにも現れました!」
V3もまた、二人の言葉を聞きつつ、通信機に呼びかける。
「俺も見た。・・・本郷先輩、あれは?」
1号は他のライダーに答えるべく口を開いた。
「うむ、おそらく奴がこの変異空間を作り、怪人を蘇らせた黒幕・・・。」
「でも、あんな力を持つ相手をどうやって」
アギトは、いささか不安に駆られながら問いかける。
V3は、そんな年若きライダーに言い聞かせるべく語りだした。
「何か手はあるはず、まずは目の前の敵、全時代の計画を潰すのが先決だ。」
1号も肯く。
「そうだ・・・。しかし、時空を越えている奴らに対し俺たちは各時代にバラバラだ・・・。」
BLACKは1号の言葉を聞き、掠れるような声でつぶやく。
「・・・誰一人、失敗は許されない・・・。」
アギトは、事の重大さに思わずうなだれてしまった。
彼らの苦悩はスピーカー越しに嫌と言うほど伝わってくる。
その苦悩を感じながらも、1号はひたすら考え続けた。
「・・・隔離された空間、時間軸・・・・・・・・・!・・・そうか!!」
1号は通信機に呼びかけた。
「もしかすると、俺たちもこの空間を利用できるかも知れない。」
「え!?」
思わぬ言葉にアギトは驚いた。
「というと?」
V3は1号に先を促した。
「いいか、皆、足元を見ていてくれ。」
1号は、しゃがみこむと同時に何かを床に置いた。
「あ!」
アギトの足元に突如としてエネルギーカプセルが出現した。
同様にBLACKの足元にも。
「これは!」
自分の足音にも出現したカプセルを見てV3はその現象を理解した。
「なるほど。」
1号は各ライダーに呼びかける。
「この空間でした事は、この時間軸の中ですぐに影響するに違いない。俺たちは時代は違うが同じ場所にいる。」
V3は肯いた。
「これを利用すれば。」
BLACKも肯く。
「協力し合える。」
「皆さんの姿は見えないけど、すぐ近くに感じます。」
アギトは、自分の中に活力が湧き出してくるのを感じていた。
「僕らは一人きりな訳じゃない。」
孤独な戦いを続けてきたBLACKは、これまでに無い心強さを感じていた。
「俺たちの力を合わせれば、きっと奴らの計画を阻止できる!」
1号は力強くそう言い放った。
その時、BLACKの背後にゲルショッカー戦闘員が現れた。
BLACKは、その姿を一瞥すると、通信機に呼びかけた。
「・・・どうやら、戦闘開始のようです。」
「そのようだ・・・。」
1号の背後にも同様に敵が出現していたのだ。
アギト、V3も同様に振り返る。それぞれが見下ろす先に戦闘員の姿がある。
4人のライダーの心中には、決意が刻まれていた。
『悪を必ず挫く!』
通信機から1号の声が響く。
「皆・・・死ぬんじゃないぞ!」
その声を背に受けて、BLACKは力強く跳躍した!!