PS2ソフト「仮面ライダー 〜正義の系譜〜」

その6 各章紹介

5章 導入部・仮面ライダー、時を越えた会話


※ 以降の文章にはネタバレがありますので、未クリアの方や、見たくない人はお気をつけください。
一部、ハカりんの脚色が入っていますので、原文のままではない箇所もあります。ご了承ください。


謎の機械を操作し、過去とのコンタクトをとるべく繰り返し呼びかけるアギト。

「こちらは2004年、誰か聞こえますか?」

その耳に、力強い男の声が飛び込んでくる。

「こちらは1972年。聞こえるぞ!」

その言葉にガッツポーズをとるアギト。

「やった。」

「私は仮面ライダー。君は?」

アギトは、先刻戦ったセミの怪物の言葉を思い出しながら、誇らしそうに名乗った。

「仮面ライダー・・・アギト!」


BLACKは通信機から聞こえてきた二人の男の声に答えるべく、通信機に向かって語りかけた。

「こちらは1988年!僕の名は仮面ライダーBLACK!」


BLACKと名乗った男の声に肯いていた1号ライダー。その耳に通信機から聞き覚えのある声が飛び込んできた。

「本郷先輩。こちら1974年です。」

1号は驚いた。

「その声は・・・風見!風見か!?」


V3は微笑みながら通信機に語りかけた。

「お久しぶりです先輩。これで全ての時代の仮面ライダーが揃ったわけですね。」

「仮面ライダー!?風見・・・お前が仮面ライダーだと?」

通信機から聞こえる1号の声が狼狽しているのがわかる。V3はフッと笑うと口を開いた。

「細かい話は後回しにしましょう。今やらなきゃいけないことは・・・。」

「奴らの時空を越えた計画の阻止。」

1号の声に、V3は肯いた。


「我々全員の時代に計画があって、どれか一つでも成功すると歴史が変わるって・・・。」

アギトは怪人から聞いた情報を語った。


「全ての時代に計画があるのか・・・。」

V3は事態がかなり大掛かりである事を思い唸った。


その時、ふとBLACKが疑問を発した。

「待って下さい。もし過去の計画が成功しているなら、僕の時代はすでに変わっているはず。」


1号は、しばし考え込んでから口を開いた。

「君たちの時代に何か異変はないか?」


アギトは、咄嗟にあることを思い出した。

「あのオーロラ・・・。」


アギトの言葉に、BLACKはハッと気づいた。

「そうか!ここは孤立した変異空間なんだ。」


1号は、BLACKの言葉に肯いた。

「多分間違いない。ここでは外界とは違う時間が流れている・・・。」


V3は思わずつぶやいていた。

「この空間は、奴らが力を貯えるための、いわば繭と言うところか・・・。」


「だとしたら、奴らの計画って・・・。」

アギトがそう言葉を発しようとしたその時!


「むぅ!」

「ぐっ!」

「うおっ!」

「うわっ!」

1号、V3、BLACK、アギト。4人の仮面ライダーの頭脳を稲妻のような衝撃が貫いた。

と、同時に各時代の司令室の天井付近に謎の物体が出現した。それは、さながら触手の生えた巨大な眼球・・・。

その出現と時を同じくして、各時代に存在した、巨大な装置の中央に、不気味な生物が入ったカプセルが出現していた。

『・・・時はおとずれた・・・』


その声に反応しアギトが振り返る。

「あっ!?」


別の時代ではBLACKが振り向き驚きの声を上げた。

「ハッ!」


『・・・我が計画を邪魔するのは貴様らか・・・』

時を越えて全てのライダーの頭脳に不気味な声は響く。


『・・・その「肉体」・・・非力すぎる・・・』

V3を見下ろす巨大な眼球。V3は身構えた。

「むぅっ!」


1号は、その眼球を指差した。

「お前は!?」


眼球は、1号の言葉を無視すると、BLACKを見下ろした。

『・・・やはり・・・・・・ここにいたか・・・』

「えっ!?」

BLACKは驚いた。眼球が発する声に、喜びのようなものが混じったのを感じとったのだ。

『その「力」・・・その「命」あとわずかと思え・・・。』

BLACKは構えつつ声を張り上げた。

「何だと!?」


『空間は完成した・・・しもべたちが完全なる闇を築く』

眼球の声が響き渡る。

『我が帝国・・・』

司令室入り口に電磁バリアが展開される。

『・・・完成は近い・・・』

眼球は、そう宣言すると唐突にその姿を消した。


BLACKは思わず叫んだ。

「・・・一体、今のは!?」


アギトもその後をうけて叫んだ。

「こっちにも現れました!」


V3もまた、二人の言葉を聞きつつ、通信機に呼びかける。

「俺も見た。・・・本郷先輩、あれは?」


1号は他のライダーに答えるべく口を開いた。

「うむ、おそらく奴がこの変異空間を作り、怪人を蘇らせた黒幕・・・。」


「でも、あんな力を持つ相手をどうやって」

アギトは、いささか不安に駆られながら問いかける。


V3は、そんな年若きライダーに言い聞かせるべく語りだした。

「何か手はあるはず、まずは目の前の敵、全時代の計画を潰すのが先決だ。」


1号も肯く。

「そうだ・・・。しかし、時空を越えている奴らに対し俺たちは各時代にバラバラだ・・・。」


BLACKは1号の言葉を聞き、掠れるような声でつぶやく。

「・・・誰一人、失敗は許されない・・・。」


アギトは、事の重大さに思わずうなだれてしまった。


彼らの苦悩はスピーカー越しに嫌と言うほど伝わってくる。

その苦悩を感じながらも、1号はひたすら考え続けた。

「・・・隔離された空間、時間軸・・・・・・・・・!・・・そうか!!」

1号は通信機に呼びかけた。

「もしかすると、俺たちもこの空間を利用できるかも知れない。」


「え!?」

思わぬ言葉にアギトは驚いた。


「というと?」

V3は1号に先を促した。


「いいか、皆、足元を見ていてくれ。」

1号は、しゃがみこむと同時に何かを床に置いた。


「あ!」

アギトの足元に突如としてエネルギーカプセルが出現した。


同様にBLACKの足元にも。

「これは!」


自分の足音にも出現したカプセルを見てV3はその現象を理解した。

「なるほど。」


1号は各ライダーに呼びかける。

「この空間でした事は、この時間軸の中ですぐに影響するに違いない。俺たちは時代は違うが同じ場所にいる。」


V3は肯いた。

「これを利用すれば。」


BLACKも肯く。

「協力し合える。」


「皆さんの姿は見えないけど、すぐ近くに感じます。」

アギトは、自分の中に活力が湧き出してくるのを感じていた。


「僕らは一人きりな訳じゃない。」

孤独な戦いを続けてきたBLACKは、これまでに無い心強さを感じていた。


「俺たちの力を合わせれば、きっと奴らの計画を阻止できる!」

1号は力強くそう言い放った。


その時、BLACKの背後にゲルショッカー戦闘員が現れた。

BLACKは、その姿を一瞥すると、通信機に呼びかけた。

「・・・どうやら、戦闘開始のようです。」


「そのようだ・・・。」

1号の背後にも同様に敵が出現していたのだ。


アギト、V3も同様に振り返る。それぞれが見下ろす先に戦闘員の姿がある。

4人のライダーの心中には、決意が刻まれていた。

『悪を必ず挫く!』

通信機から1号の声が響く。

「皆・・・死ぬんじゃないぞ!」

その声を背に受けて、BLACKは力強く跳躍した!!


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