※ 以降の文章にはネタバレがありますので、未クリアの方や、見たくない人はお気をつけください。
一部、ハカりんの脚色が入っていますので、原文のままではない箇所もあります。ご了承ください。
ゲーム中におけるV3の一人称は「私」ですが、原作の雰囲気を尊重する為「俺」に変更させていただきます。
デストロンの新幹部・ヨロイ元帥と戦いを繰り広げる仮面ライダーV3・風見志郎は、戦闘員を追いかけて地熱発電所へとやってきた。
「・・・ここがやつらのアジトか。・・・う!!」
突如、志郎の脳裏に衝撃が走った。
「この感覚は!?」
同時に湧き上がる不気味な気配、志郎が身構えると、そこには床面から湧き上がるかのように、醜悪なる怪人が姿を現していた。
志郎は眼前の敵が、かつて本郷と一文字が対決した怪人であることを思い出した。ショッカーのエリート怪人・ザンジオー。
滅んだはずの怪人がそこに居る。ならば理由は一つ。
「デストロン、ここで何を企んでいる!」
だが、怪人は不敵な笑みを浮かべると、あざ笑うかのように言った。
「蘇った我々は、もはや組織の一員ではない。・・・やがて来る闇の世界の住人なのだ。」
「何だと!」
「やがて、お前達の世界は、大地の叫びと共に終わりを告げる・・・フフフ。」
そういい残すと、ザンジオーは再び泡となって消え去ろうとする。
「待て!」
だが、志郎の目の前で、ザンジオーの姿は完全に消失した。
「デストロンではない・・・闇の世界・・・世界の終わり・・・!!」
と、唐突に地震が起こり志郎は思わずよろめいた。
「これは・・・奴らの仕業に間違いない!」
志郎は、なにか引っかかりを感じながらも、発電所内を走った。
発電所の外周部に位置する巨大な煙突、そこに現れるデストロン戦闘員を倒しながら進む志郎は、そこで発電所職員のIDカードを入手した。だが、そこに上空から襲い来る謎の影が!
「貴様は!!」
見上げる志郎に、その怪人は手にした槍を構える。
「侵入者は生かして帰さん!オレ様のデッドマンガスで、あの世に送ってやるわ!!」
怪人は雷を纏いし槍を志郎に投げつける。
「デッドマンガス??・・・そうか、貴様がショッカー怪人ギルガラスか!」
志郎は次々と投げつけられる槍をかわしながら変身ポーズをとる。
「変、身。ブイスリャー!!」
かつては、2号ライダーに苦戦を強いたこの恐るべき改造人間も、幾多の死線をかいくぐって来たV3の敵ではなかった。デッドマンガスの途切れる隙を突いて、V3キックが怪人の身体に突き刺さる。
爆発四散する怪人を尻目にV3は駆ける。
やがて、彼は中央制御室と銘打たれた部屋のさらに奥へとやってきた。
「所長室・・・か」
入口のプレートを一瞥すると、V3はゆっくりと扉を開いた。
「・・・博士、何故こんなことに・・・。」
所長室の中、V3に背を向ける格好でそう呻くようにつぶやく人物に彼は見覚えがあった。
「ライダーマン!どうしてここに!?」
その人物が、驚いたように振り返る。そう、この男こそ、仲間を、そして自身の右腕を奪ったヨロイ元帥に復讐の戦いを挑んでいる戦士、結城丈二ことライダーマンだった。
「V3・・・お前こそ。」
ライダーマンはそういった後で口を閉じ、V3の横をすり抜けてドアに手を掛けた。
「ライダーマン!」
「たのむ・・・俺に構わないでくれ・・・。」
V3が引き止めるよりも早く、ライダーマンは所長室から出て行ってしまった。
「・・・彼が何故ここに?」
V3は所長室を調べるうちにその答えを見つけた。
「写真立てか・・・・!これは結城・・・。」
机の上に置かれた写真立てには、二人の男が並んで写真に納まっている。笑みを浮かべている二人のうち、若い男は結城丈二に間違いなかった。もう一人の人物は、所長室内で発見した結城の手紙によって明らかになった。
「こっちの人物。・・・彼がこの研究施設の所長、田所博士か。」
V3は、この二人に何らかの接点があることを確信しつつ、さらに探索を進めることにした。
「ともかく、研究所内の電源を正常にしなければ。」
V3は発電施設を探し出し、発電機の電源を入れることに成功した。
「よし、これで・・・ム!?」
咄嗟に身を翻すV3のすぐ脇を風を切る音と共に何かが切り裂く。
『電磁ムチ?』
V3はその攻撃を放った怪人・ナマズギラーを見据えた。
『こいつは、ナマズギラー・・・。確か死神博士配下の怪人だ。本郷先輩が倒したはずのこの怪人まで・・・。』
しかし、通路が入り組んだこの狭い空間では、ムチの攻撃を活かす事は難しかったのか、攻撃に精彩を欠いた。唯一脅威だったのは手すり伝いに送り込まれる高圧電流ぐらいだ。
攻撃を難なくかわしたV3は、必殺のV3スカイキックを怪人に叩き込む。声もなく爆発する怪人。V3は次々に現れる再生怪人に禍々しき意思のようなものの存在を感じ始めていた。
研究施設の深部、巨大なタービン室に差し掛かったときに、先程よりも大きな揺れが起こった。
「!!・・・震源はすぐそこだ」
タービン室の奥は熱気がこもった坑井となっていた。すぐ下方にはマグマの池。
「ん!あれは!?」
デストロンの科学班の白衣を着た戦闘員がマグマに向けて何かを投入しようとしている。
「待て!」
V3の存在に気づいた戦闘員は作業を中断し襲い掛かってきた。だが戦闘員ごときに後れを取るV3ではない。
素早く返り討ちにし、投入されようとしていたものを調べる。
「・・・これは!コバルト爆弾。地震の原因はこれか。」
V3は周囲を見渡した。
「どこかに爆弾の搬入口があるはずだ。」
タービン室に戻ったV3は、強大なリフトを操作して燃料貯蔵庫へとやってきた。
「ん!?」
身を隠しながら様子を伺うV3の目の前で、別のリフトで移動して行く戦闘員達。
V3も急いでその後を追う。
「ここは・・・入口じゃないか?・・・お?」
戦闘員達はV3に気づくことなくトラックに乗り込み、外へと出て行った。
「あのトラックを追えば、コバルト爆弾のありかを突きとめられるに違いない!」
V3はすぐさま愛車・ハリケーン号を呼び、トラックの後を追跡し始めた。
途中、気づいた戦闘員達の妨害も退け、V3はとある灯台へと到着した。
「なるほど・・・灯台に偽装したコバルト爆弾の工場と言ったところか。」
門に手を掛けたV3は凄まじい殺気に身構えた。
殺気の主は、巨大な亀の改造人間、カメストーンだった。
「ここがお前の墓場だ!」
「そういうからには、やって見せることだな!!」
「ほざけ!!」
変身を強制解除するオーロラ光線を放ち、甲羅を投げつけてくるこの怪人も、周囲の岩盤を巧みに利用して絶え間ない攻撃を加えるV3の前についに膝を屈した。
「とどめだ!・・・V3きりもみチョーーーップ!」
V3の鋭い手刀が怪人の脳天に炸裂する。
「・・・おのれ仮面ライダー・・・このコバルト爆弾工場を失っても・・・終わりは・・・しな・・・い・・・。」
爆発する怪人と連動するかのように、灯台もそこかしこから火を噴き始める。
ハリケーン号で脱出するV3の背後で、轟音を上げて灯台が崩壊していった。
地熱発電所に戻ってきたV3を再度地震が襲う。
「おかしい、爆弾は使えなくしたはず・・・まだ他に何かあるのか?」
V3は疑問を抱きつつタービン室へと向かった。
そこでは、ザンジオーがV3を待ち受けていた。
「仮面ライダー!!これ以上、我々の邪魔はさせん!」
V3はザンジオーに指を突きつけた。
「お前たちの計画に必要なコバルト爆弾はもう無い!言え!闇の世界とはいったい何だ!」
ザンジオーは地獄の底から響くかのような声で語りだした。
「・・・我々の計画は爆弾だけではない・・・。だが、お前がそれを知る必要は無い。」
ザンジオーの双眸がクワッと見開かれる。
「死ね!仮面ライダー!」
体を自由自在に液化させ、猛毒の粘液状となって襲い来るザンジオー。
間合いを取るのも容易ではないこの強敵を前に、V3も徐々に傷を負っていく。
『邪悪に負けるわけにはいかない!』
V3は全感覚器を集中させてザンジオーの動きを追う。
「見切った!トゥ!!」
ザンジオーが実体化する瞬間を見極めてV3が宙に舞う。
「V3きりもみキーーーーック」
強力なキックの一撃にたまらず吹き飛ぶザンジオー。何とか立ち上がったものの、体中からスパークが吹き出ている。
やがて、力尽きたザンジオーは、炎を吹き上げて爆発した。
「・・・手強い敵だった。・・・ん、あれは?」
V3はザンジオーが爆発した場所のそばに、何かが落ちているのを発見した。
「・・・!!・・・隔壁を開ける鍵か。たしか坑井に閉ざされた隔壁があったはず。」
V3は鍵を使って隔壁を開けると、そこは彼にとって見慣れた空間だった。
「なるほど・・・ここからが真のアジトという訳か。」
アジト内部を進むV3は用途不明の巨大な装置や、閉ざされたエレベーターなどを発見しながら、やがて司令室と書かれた部屋へと足を踏み入れた。
無人の部屋の奥。部屋全体を見渡すかのような場所に立ったV3は、そこで奇妙な装置を発見した。
「いったい、この装置は何だ?」
装置前面のキーボードを出鱈目に押してみたが何の反応も無い。
V3は別の場所を調べるべく、その場を立ち去ろうとした。その時、急に装置の電源が入った。
「!?」
V3は装置を振り返った・・・。