※ 以降の文章にはネタバレがありますので、未クリアの方や、見たくない人はお気をつけください。
一部、ハカりんの脚色が入っていますので、原文のままではない箇所もあります。ご了承ください。
親友・秋月信彦がシャドームーンとして復活してから2ヶ月。
より激しさを増す秘密結社ゴルゴムの侵攻と戦い続ける南光太郎は、邪悪な気配を察知して、打ち捨てられ、廃墟と化した地熱発電所へとやってきていた。
発電所上空を覆う不気味なオーロラ。発電所の内部に入った光太郎は、思わず振返ってガラス越しに空を見上げた。
「ゴルゴムの仕業か?」
その途端、光太郎の脳裏を閃光が貫くようなイメージが走る。思わず頭を抱える光太郎。
「悪い予感がする。・・・この廃墟には何かある。」
と、突如光太郎の前に、毒々しい原色の全身タイツに身を包んだ男達が立ちはだかる。
「何者だ!」
問答無用で襲い掛かってくる男達を倒しながら、光太郎は薄汚れた廃墟内を走った。
ただの発電所の廃墟らしからぬ設備に、疑問を感じながら進む光太郎。邪悪なる気配は徐々に濃くなっていくようだ。
『・・・変電機室?』
光太郎は、注意深くドアを開くとゆっくりと進み始めた。
『・・・!!』
背後から浴びせられる殺気に、咄嗟に身を翻した光太郎のすぐ側を、鋭い爪が掠める。
身構える光太郎の眼前には醜悪な怪物の姿が。
「お前は!?・・・ゴルゴム怪人!!」
その光太郎の言葉に、眼前の怪人・サソリトカゲスは怪訝そうに聞き返した。
「ゴルゴム?何のことだ・・・死ね!!」
言うが早いか、躍りかかる怪人。光太郎は素早く間合いを取ると、構えをとった。
「変・身!!」
体内に埋め込まれたキングストーンから超エネルギーが発生し、全身を駆け巡る。
飛蝗怪人の形態を経て、その外皮を強化外骨格・リプラスフォームが包み込んでいく。
「仮面ライダー・・・BLACK!!」
怪人は、目の前の青年がただの侵入者ではなかったことを知り、驚いたものの、すぐに攻撃を再開した。
相手が何者であれ、侵入者は抹殺するだけだ。
激しい戦いを制したのは、BLACKだった。
光太郎の姿に戻りながら、ゴルゴムとは異なる邪悪を感じ取り、光太郎は胸中に暗雲が立ち込めるような感覚を覚えていた。
より、廃墟の深部へと踏み込んでいく光太郎は、いつしか廃墟とは異なる建造物に足を踏み入れていることに気づいた。
『??』
不思議に思いつつ、進む光太郎は、やがて不気味な部屋を発見した。
室内には何かのダクトが。そして壁際に折り重なるようにして倒れ息絶えた人々。その姿は人としての原型を留めておらず、わずかに衣服から、かつて人であったことが判断できるぐらいだ。
「こ・・・これは!!」
ハッとして視線を前方に転じた光太郎は、部屋の突き当たりの一段高くなった場所、おそらくは強化ガラスと思われる透明な壁面の向こうに立つ、時代がかった軍服姿の男を確認した。
男は不敵な笑みを浮かべ、光太郎を見下ろしている。手にした乗馬ムチをもてあそびながら男は口を開いた。
「よくぞここまで来た。貴様何者だ?」
「仮面ライダーBLACK。」
光太郎は男を見据えて名乗りを上げた。男は一瞬目を見張ると、不意に笑い始めた。
「は!ハハハハ!・・・これは驚いた。奇遇だな我が輩の名も・・・ブラック!」
「何!?」
「まさか、仮面ライダーにも我が輩と同じ名を持つ者がいるとは・・・。」
不意にブラックと名乗った男の表情が引き締まる。
「貴様がどんな奴かは知らんが・・・」
背後から何者かの足音が聞こえる。
「・・・この世にブラックの名を持つものは一人で十分だ!」
振り返る光太郎の目に飛び込んできたのは、奇怪な顔の怪人・イソギンジャガーだった。
口吻から長大な触手を伸ばし、光太郎の首を締め付けるイソギンジャガー。わずかな隙を突いてイソギンジャガーから何とか離れた光太郎はBLACKへと変身する。
何本もの棘、そして執拗に追ってくる触手をかわしながら、BLACKの攻撃が徐々にイソギンジャガーを追い詰めていく。
そして、必殺のライダーキックがイソギンジャガーの胴体を捉えた。
吹き飛ばされたイソギンジャガーは、強化ガラスへと激突し、そのまま壁に沿ってずり落ちていく。
軍装の男、ブラック将軍は、歯軋りをして乗馬ムチを握り締めた。
「おのれ仮面ライダー!!・・・やれ!」
ムチを振って命令するブラック将軍に応え、傍らの白衣の男が奇声と共に頷くと、ガス室に溶解性の毒ガスを注入し始めた。
「う!・・・これは!?」
驚愕するBLACKを見下ろし、ブラック将軍は口元をゆがめた。
「貴様も溶けてしまえ。」
だが、勝利を確信したブラック将軍の顔が引きつる。一度は床に倒れ伏したイソギンジャガーがふらつきながら立ち上がったのだ。
そして轟音と共に爆発四散した。
イソギンジャガーが激突した際にひび割れ、もろくなっていた強化ガラスは、この衝撃に耐え切れずに砕け散った。
「うぬ〜、覚えておれ!」
充満しつつある毒ガスの中、ブラック将軍は口元を覆いながら走り去った。
白衣を着た戦闘員は、もがきながらも緊急シャッター作動用のレバーへと腕を伸ばす。だが、作動させると同時に息絶えた。
作動したシャッターが閉まる刹那、BLACKは間一髪わずかな隙間から脱出を果たした。
BLACKは、注意深く謎の通路を進む。途中、様々なパイプ類が絡み合った巨大な装置を発見した。
「・・・?何かを設置する為の機械のようだが・・・まだ完成していないのか?」
奇妙な胸騒ぎを感じながら進むBLACKの前に、巨大な扉が姿を現した。
BLACKは静かに扉を開くと中へと足を踏み入れた。すると、BLACKの侵入に呼応するかのように薄暗かった部屋の中が明るくなった。
「あれは!?」
BLACKの視線の先には、謎めいた機械が、静かに起動し始めていた。