黒のヒーロー。その名は仮面ライダーBlack!!
仮面ライダースーパー1の放送終了からしばらくの間、連続モノとしての仮面ライダーは、ブラウン管からその姿を消していました。(特番では仮面ライダーZXを主役とした「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」がありましたが・・・)
そして、久しぶりの仮面ライダーの復活!!
バッタをモチーフとした頭部形状。飾り気のないシンプルなボディ。そして、腰に輝く変身ベルト!!
敢然と悪に立ち向かい、とどめの必殺ライダーキック!!
「仮面ライダーBlack」
マフラーこそないものの、それは仮面ライダーの王道を行くスタイルでした。
昭和51年生まれの私が、リアルタイムで見た仮面ライダーといえば、54年放送開始の「仮面ライダー(新)」スカイライダーと、その次回作であった「仮面ライダースーパー1」スーパー1の2作品で、当時、幼児であった私にはそれほどの思い入れがあった訳ではありませんでした。他のヒーローモノと同様に純粋に悪い奴を正義の味方が叩き潰す、そういうものだと思っていたものです。
しかし、「仮面ライダーBlack」放送時には小学校高学年になっていた私は、この、黒いライダーを見て衝撃を受けたものです。
改造人間となった主人公・南光太郎の苦悩、人間社会に深く浸透している秘密結社ゴルゴムの不気味さ、敵方のライダーとして再会する兄弟同然の親友・秋月信彦(シャドームーン)、地球を支配できるだけの力と権利を持ちながらもそれを放棄し諸悪の根源・創世王を討つ。そういった内容の濃さが、ダイレクトに画面から伝わってきたのです。
この「仮面ライダーBlack」は、それまでライダーを作ってきたスタッフから、「宇宙刑事シリーズ」を作ってきたスタッフへとバトンタッチが行われたため、旧来のファンからは賛否両論の声が沸き起こりました。
しかし、私は、怪奇モノという原点回帰を図った点や、怪人達の造型の素晴らしさ(中には???というものもありましたが)、主人公の葛藤がえがかれていた点等、一作品として、十分に仮面ライダーを表現していたと思うのです。
主人公の南光太郎を演じた倉田てつを氏は、決して器用に生きられないが、純粋で優しい光太郎と言う役を見事に演じていたと思います。光太郎は、私にとって永遠にヒーローの一人として刻み付けられています。それもこれも倉田氏の演技あってのものだと思います。
決して演技が巧みというわけではありません。でも一生懸命さが伝わってくる演技でした。
決して小手先の技術でごまかそうとしない、真正面から取り組むその姿勢は、そのまま南光太郎に反映されていたように思えます。
続編として作られた「仮面ライダーBlack RX」は、私にとって満足のいく作品ではなかったため(その理由は、機会があれば述べます)、私の中でのBlackはこの作品、「仮面ライダーBlack」のみです。
RXとは違った、パラレルワールドな続編がぜひ見てみたかったものです。
黒のヒーロー、仮面ライダーBlack。
その勇姿よ、永遠に・・・。