キン肉マン

(ゆでたまご/集英社)


ゆでたまご先生の代表作。アニメ、グッズの展開も凄まじかった作品です。

こと、グッズのカプセルトイ『キン消し』は一代ブームとなりました。

また、アニメでの主題歌、挿入歌は、アニソンの王道とも言うべきカッコよさです!


田園調布のとある公園。そこにある掘っ立て小屋には一人のヒーローが住んでいました。

ブサイクなマスク、決して強いとは言えない力、おまけにちょっとエッチなその超人の名は「キン肉スグル」。通称「キン肉マン」!

弱小超人と皆から石を投げられながらも、その心は極端に歪む事も無く、いつも真っ直ぐに正義と平和の事を考えていました。

ある日、彼の前に一人の少年が姿を現します。少年の名は「ミート」。彼はキン肉マンこそが、超人世界の名門、キン肉族の王子であるというのです。

幼き日に、家族で宇宙旅行中、宇宙船に紛れ込んだブタと間違えられて宇宙に捨てられたキン肉マンは、自分のことを日本出身の超人だと思い込んでいたのです。

その後、無事に家族との再会を果たし、自分の代わりに王子を僭称していたブタ「キングトーン」と対決・・・あっさり負けましたが。

なんやかんやとどさくさにまぎれて王子に返り咲いたキン肉マン。

それからは、ミートくんと、二人三脚で地球の平和のために活躍(?)を開始するのです。

終生の親友となるテリーマンとの出会い。東京超人オリンピックでのロビンマスク、ラーメンマンとの出会い。

アメリカ遠征での、偉大な師匠カメハメとの修行による48の殺人技の習得。ロビンマスクとの再戦、その後のアメリカ超人界の抗争をめぐるタッグマッチ。

宇宙野武士との対決の時に出会ったブロッケンJr.。

キン肉マンのチャンピオン失効によって開催された東京超人オリンピック・ザ・ビックファイト。

ライバルのウルフマン(TV版ではリキシマン)の登場。ラーメンマンとブロッケンJr.との因縁の対決。

準決勝でのウォーズマンVSラーメンマンのデスマッチで見せた、ラーメンマンの身を挺したキン肉マンへの友情。

その友情を背負っての決勝戦でのウォーズマンとの死闘。新必殺技キン肉バスターが華麗に飛び出しました。

アイドル超人軍団の結成。身体を分割されたミートくんを救う為、7人の悪魔超人との熾烈な戦い。

さらに、その上位に位置する悪魔六騎士、そして悪魔将軍との超人界の未来をかけた黄金のマスク編。

正義超人・悪魔超人・さらに完璧超人の混戦となった、超人タッグトーナメント。

強敵ネプチューンマンの登場。カメハメ扮するキン肉マングレートの、命を投げ打った勇姿。取り戻した友情パワーを体現するかのような、キン肉マンとテリーマンとのタッグ、「ザ・マシンガンズ」のツープラトン技「マッスル・ドッキング」がヘルミッショネルズの「クロスボンバー」を打ち破ります。

アシュラマン、サンシャイン、ネプチューンマンといった宿敵に、友情の素晴らしさを目覚めさせて、戦いは幕を閉じます。

そして、最終章であるキン肉星の王位をかけた「王位争奪戦」へ。

24年前の病院火災により運命を捻じ曲げられた6人の王子たちが、邪悪の5大神の陰謀によって血で血を洗う激闘を繰り広げます。

力の源・火事場のクソ力を奪われながら、辛勝を続けるキン肉マンチーム。

多くの友の励まし。かつての宿敵の協力。生き別れの兄・キン肉アタルも、キン肉マンソルジャーを倒して入れ替わり、影ながらキン肉マンを援護します。そして一時的に現世に蘇ったカメハメとの実戦稽古による52の関節技の体得。

そういった戦いの中で、キン肉マンは、より素晴らしい超人へと成長していきます。

何のための王位なのか。王が持つべき責任とは。

それを自覚したキン肉マンは、キン肉族三大必殺技の一つ「マッスル・スパーク」で最後の強敵キン肉マンスーパーフェニックスを打ち倒し、見事王位を継承するのです。


ジャンプ黄金期の作品で、20代後半から30代半ばの男性にとっては、感慨深い作品ではないでしょうか。

キン肉マンは、ストーリー的には、矛盾や、トンデモ物理学や法則が飛び出す部分もあるのですが、それを払拭してしまうようなパワーがあります。

私にとって、キン肉マンが持つ魅力とは「諦めない心」「立ち向かう勇気」「友情の大切さ」の3点です。

どんなに、苦しい戦いでも、どんなに絶望的な戦いでも、最後の最後まで諦めずに戦う。その「諦めない心」が、ラスト5秒の逆転劇を生み出す。そう、奇跡の逆転ファイター、キン肉マンを成立させているのです。

キン肉マンは、強敵と戦わねばならないとき、とにかく最初のうちは逃げようとします。ですが、最後の最後には必ず戦場であるリングに舞い戻ってくるのです。それは、友の励ましのお陰であったり、未来を担う子供たちを思ってであったり、ともかく自分の中に存在する「立ち向かう勇気」を振り絞って、どんな苦境にも立ち向かっていく。

普段、どんなに仲が悪かっても、あるいは、かつてはライバルとして死闘を繰り広げた間柄だったとしても、キン肉マンの魅力に触れて友となった超人たちには強い絆が育まれています。
そして、一度キン肉マンが危機に陥った時には、どんなに遠くに離れていたとしても、また、自身がどんな苦境に立たされていようとも、自分の地位すらも投げ打って、命がけの戦いに馳せ参じる。
「友情の大切さ」を知る彼らの姿は、また新たな友との絆を築いていく。

そこに、少年漫画の王道の姿があるのです。

それこそが、大人になっても何処かに持っている「少年の心」を熱く燃え上がらせてくれるのです。


現在、キン肉マンの息子たちが活躍する「キン肉マン2世」が連載中です。

かつて、キン肉マンたちの勇姿に心を燃やした大人たち、そして当時を知らない子供たちにも、是非読んでもらいたいですね。

・・・青年誌なので、若干Hな表現もあるのですけどね・・・。


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