ガラハドの剣
ガラハドという騎士をご存知でしょうか?ロマンシング・サガに、同名の戦士が登場しますが、彼のことではありません。
アーサー王の円卓の騎士の一人にして、円卓のもっとも危険な席と呼ばれた13番目の席に座るべく定められた騎士ガラハドのことです。
円卓最強の騎士だった、「湖の騎士」ランスロット卿を父に持ち、聖杯探索において重要な役割を果たす事となった彼は、また伝説級の剣の持ち主としても知られています。
「岩に突き刺さった剣」といわれた場合、おそらく多くの人はエクスかリバーを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、このガラハドの所有する剣も、「岩に突き刺さった」状態で登場するのです。
ガラハドは、ある日突然、アーサー王の宮廷のあるキャメロットに姿を現します。時を同じくして、宮廷近くの川に大理石に突き刺さった見事な剣が姿を現します。大理石には「この剣は最も優れた騎士のものなり。それ以外のものは手を触れるべからず」
アーサーは、最強の騎士と名高いランスロットに剣を抜くように進めますが、ランスロットは辞退します(彼は王妃と不倫関係にあった為、相応しくないと思ったのでしょう)。アーサーはそれならとランスロットと実力の伯仲していたガウェイン卿に抜くよう命じますが、高潔で知られ、また日が昇りきる正午まではランスロットにも負けなかった彼をもってしても、その剣を抜く事ができませんでした。
首をひねりながら城内に戻った一行は、円卓の空席、「もっとも危険な席」に名前が浮かび上がるという奇跡と遭遇します。浮かび上がった名は「ガラハド」。
見ればガラハドは鞘は持っていますが剣を持ってはいません。アーサーはもしやと思い尋ねます。
「剣はどうしたのだ?もし無いのならば、私が授けよう。」
「いえ、陛下。私には帯びるべく定められた剣をしかるべき時に授かるでしょう。」
アーサーはあの剣の主がガラハドであることを確信すると、彼を伴って再び川へとやってきます。
果たしてその剣はガラハドによって易々と岩より抜きとられたのです。
黄金の柄を持ち、大きな鍔を持つ宝剣として描かれるこの剣ですが、正式な名前は無いようです。
また、彼はもう一つ専用の聖なる盾も授かるのですが、彼が聖杯発見と同時に生きたまま天に召された際、その剣と盾は共にこの世界から姿を消しました。
まさに、彼のためだけに存在し、彼と共に消える運命にあった魔法の逸品だったといえるでしょう。