伝説の戦士 仮面ライダー1号


1971年、一人の英雄がブラウン管に登場した。

ウルトラマンに代表される、巨大なヒーローが全盛の時代、それらと対照的な等身大の戦士として世に送り出された「仮面ライダー

現在、通称として「旧1号ライダー」と呼ばれる、この一番最初の仮面ライダーは、濃い深緑色のマスク、同じく緑色の手袋とブーツ。そして黒いジャンプスーツに緑のコンバーターラング(胸部)。今でこそ特徴的な真紅のマフラーも、当初はそれほど真紅ではありませんでした。

昨今のライダーしか知らない人達にとって、その姿は驚きでしょう。派手なライダーを見慣れた人から見れば、その存在は地味の一言でしょう。

戦闘スタイルも、今流行の武器は使わず(戦闘員から武器を奪って使うことはありましたが)、己の肉体を駆使して巨悪に対して一人戦いを挑んでいきました。

しかし、この1号ライダーがあったからこそ、後に連綿と続いていくライダーシリーズが存在するわけです。


私は、放送当時はまだこの世に存在していませんでしたので、じっくりとこの作品を見ることができたのは、昨年(2002年)に発売された「仮面ライダー DVD−BOX」のおかげでした。

第1話、記念すべき仮面ライダー初登場の回。

30年以上前の作品です。当然の事ながら、特撮技術の発達した現在の特撮作品とは比べ物にはなりません。

しかし、その怪奇性を前面に押し出したストーリー、颯爽と現れる仮面ライダーの勇姿!!

今でも充分に楽しめる作品でした。


さて、ライダーファンにとっては周知の事実ですが、仮面ライダー1号=本郷猛を演じておられた、俳優の藤岡弘氏は、仮面ライダーを撮影中にバイク事故で一時現場を退きます。

その間に苦肉の策としてスタッフが打ち出したのが、もう一人の仮面ライダー、すなわち仮面ライダー2号を登場させることでした。

ショッカーの野望を砕くため、海外へ渡った1号に代わって、日本を守るために新たなライダーが登場する・・・ということにしたわけです。

仮面ライダー2号が戦っている頃、藤岡弘氏は過酷なリハビリと戦っていました。

足に負った複雑骨折はかなりの重症だったにも関わらず、彼はその試練に打ち勝ち、不死鳥のごとく復活を果たすわけです。

そう、あたかも不死身のヒーロー・仮面ライダーを象徴するかのごとく。

そして、桜島における、ダブルライダー夢の共演時に、本郷猛=藤岡弘も復活を果たすのです。


さて、藤岡弘氏といえば、数年前にTVCMで「せがた三四郎」として活躍されていたことで、皆さんの記憶にも新しいと思います。

彼は幼い頃より武芸の鍛錬をつみ、いまや有名な武人です。詳しくはオフィシャルなHPをご覧いただくとお解かりになると思いますので、ここではあえて詳しくは申しませんが、この武道で培った精神力が、仮面ライダー1号=本郷猛復活の大きな要因の一つであったことが推測されます。


藤岡氏の回復に伴い、再び仮面ライダー1号は日本へと舞い戻ります。

鮮やかなメタルグリーンのマスク、輝く銀色の手袋とシューズ、そしてジャンプスーツ側面の2本の銀のライン。

見た目にも華やかな「新・1号ライダー」へと生まれ変わったのです。

「旧1号ライダー」時にはライダーキック以外の技はあまり使用されなかったのですが、この「新1号」からは、多種多様な必殺技が登場します。

そうです「技の1号」の名は伊達ではありません。

今の仮面ライダーは、安易に武器に頼りがちな傾向にあると思います。別にそれがいけないとは言いませんが、肉体だけでもこれだけ戦えるということを示した「仮面ライダー1号」のことを今一度考えていただきたいものです。


「原点回帰」・・・それは、決して「懐古主義」という言葉だけで括れるものではないと思います。

伝説の戦士・仮面ライダー1号

その存在をもう一度再確認すべきではないでしょうか。

たった一人で巨悪に立ち向かおうとした彼の決意。それこそが、まさしく仮面ライダーの精神の源泉なのですから


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