布都御魂
「神代より三本の霊剣がある。天十握剣、天叢雲剣、布流剣がそれだ。」(源平盛衰記)
この、源平盛衰記で取り上げられている、布流剣こそが布都御魂だといわれています
さて、この布都御魂(ふつのみたま)という剣はかの建御雷神(たけみかずちのかみ)の霊剣です。
現在、この布都御魂と呼ばれる剣は、二振存在しています。
一つは石上神宮に奉納されているものです。この石上神宮には禁足地があり、そこには神剣・布都御魂が奉られているという伝承がありました。
明治時代にその禁足地の地中より一振りの太刀が出土しました。
発掘を指揮した、時の大宮司・管政友はこの太刀を布都御魂と断定したのです。形状についての資料はありません。
いま一つは、鹿島神社で発見され、奉られているもので、なんと刃の長さが2m24cm、全体では2m70cmという長大な片刃の直刀です。
にもかかわらず刀身自体は細く、非常に奇妙な形をしています。
大きさ的にはヨーロッパのトゥ・ハンド・ソード並みで、果たしてこのような剣を当時の日本人が扱えたのか、あるいは伝説の通り神でなければ扱えるものではないのか、ともかく不思議な剣です。
この二振りのうち、どちらが布都御魂なのか、あるいはまだ見つかっていない真の布都御魂が存在するのか。
真相は神のみぞ知るということなのでしょう。