究極のライバル・シャドームーン

悪に属する仮面ライダーたち・・・その2


シャドームーン。それは秘密結社ゴルゴムによって改造された改造人間。

ゴルゴムの首領である創世王。その後継者となるべく定められた運命の二人の王子、「世紀王」の一人です。

皆既日食の日に生まれるように定められ、秋月博士の息子・信彦として生を受け、同様に出生をコントロールされた、南光太郎と、親友として、また兄弟同然に育てられます。

この世界において仮面ライダーとなる、南光太郎=仮面ライダーBlack(世紀王ブラック・サン)と同様の改造を受け、本来ならば両者のうち、戦いに勝利したほうが時期創世王となるはずでした。

ところが、改造手術中に秋月博士が乱入するというハプニングの為、光太郎は脱出、信彦は負傷し、手術は中座してしまうのです。


結果として、光太郎は脳改造が完了していなかった為、ゴルゴムにとって最大の障害となる「仮面ライダー」となり、信彦は負傷を完治するために、不完全体のまま永い眠りにつくことになります。

おそらくは、このまま自然に傷が癒えていれば、不完全体であるバッタ怪人の姿から、強化外骨格リプラスフォームに覆われたシャドームーンとして、Blackと色違いの銀色のライダーとなっていたのでしょう。

しかし、Blackのゴルゴムに対する攻撃はすさまじく、シャドームーンが復活するのを待つだけの余裕が無くなってしまいました。

ここにいたって、ゴルゴムの指導層である三神官は各々の力の源である霊石をエネルギー源として提供することで、シャドームーンの復活を早めるのですが、これによって復活したシャドームーンは、Blackとは形状が異なる外観をして出現しました。


当初のイメージ映像では、まったく同タイプの二人が戦っていますので、やはりこれは通常とは違う形態での復活なのでしょう。

その原因としては、三人の大神官が提供した霊石の影響があるのでしょう。おそらくは、この三つの石が、シャドームーンの体内のキングストーン(月の石)と反応し、パワーアップした姿での復活となったのでしょう。

ちょうど、続編である「仮面ライダーBlack RX」(パラレル要素は強いですが)で、光太郎が太陽のエネルギーを受けてキングストーンが変化を起こし、Black RXへと進化したように・・・。

そうです、まさに、「そのとき、不思議なことが起こった!!」(by正宗一政さん)訳です。


さて、作品的な立場から見ると、シャドームーンの立場は、「敵の大幹部」と言うよりも、今までにもシリーズに登場した「敵陣営のライバルキャラ」と言えるでしょう。

特撮全般としては、「人造人間キカイダー」における「ハカイダー」、「バイオマン」における「シルバ」などに通じるものがあります。

美しいデザイン、クールな性格、圧倒的なパワー、そして何よりも決して主人公と馴れ合わない。

人気が出て当然・・・といったところでしょうか。


何よりも、私が彼を評価する点は、一度・創世王の手で信彦の姿に戻されたことで、ほんの少しの良心が取り戻され、それ故に倒したBlackからキングストーンを引きずり出せなかったにもかかわらず、その後、あくまで悪陣営の指導者として徹し、最後までBlackと戦ったところでしょうか。

余談ではありますが、RXにおける彼の出演シーンで最も好きなシーンは、「大逆襲!影の王子」の回でのRXとの対決〜子供を救出に向かうシーンですね。

対決の最中、RXがシャドームーンを諭そうとしての台詞。

「おまえは、あの子供たちを見てなんとも思わないのか!」(うろ覚え)

縛り上げられ、炎のなかで苦しむ子供たちを思い一瞬逡巡するシャドームーン。しかし、それを振り払ってRXとの決着を付けることを選ぶ。

倒されたシャドームーンは、RXにクライシス帝国の作戦の全貌を話し、自らは傷ついた体をおして子供たちの救出に向かう。

「まだ、あの子達を助ける力は残っている。」

よろめきながら歩き出すシャドームーン。思わず叫ぶRX。

「信彦!!」

一瞬歩みを止めるシャドームーン。

「・・・わが名は世紀王シャドームーン。・・・いずれ再び蘇り、仮面ライダーBlack RX!貴様に勝負を申し込む!!」

立ち尽くすRX。振向かずに叫ぶシャドームーン。

「行け!RX!!」

うなずくRX。

「子供たちは頼んだぞ、シャドームーン!!」

・・・大体、このような流れだったと思います。


RXは、前作と比べると派手派手な路線だった為、格段に好きというわけではないのですが、このエピソードだけは好きです。


逆パターンで、信彦が脱出していた場合は、彼が「仮面ライダー Shadow」となっていたのかもしれませんね。


銀色に輝く悪のライダー。

彼を超える悪のライダーは、いまだ登場していません(2003年7月現在)。

おそらく私の中では、最も美しい悪のライダーとしてずっと刻み付けられていくことでしょう・・・。


BACK