Tales of the Unexpected by Roald Dahl

 新しく購入した本が切れたので,購入したまま読んでなかった本を本棚からとりだして読みました。

 ダールは10年以上も前に立て続けに数冊読みました。5冊ぐらいだったと思いますが,そのうち飽きて1冊だけ読み残しました。「世にも奇妙な物語」という感じで,どの短編も不思議な世界が繰り広げます。短編なので,読みやすく,寝る前やトイレの中で読み進めました。しかし,あらためてダールを読んでみるとなかなか難しく,固有名詞はかなり無視しました。not any more thanの例文になっているBoggisの話では,(たぶん有名であろう)家具職員の名前が一杯出てきました。not so much ...asの例文のBasil氏では絵画,彫刻家の名前がたくさん出てきました。それ以外にもRoyal jellyの項目では栄養素などの名詞が数多く登場しましたが,いずれも無視。さっさと読み進めました。1950年前後のこの英文はさすがに入試構文にぴったり。1文1文が長く,受験英語を教える身としてはその難易度にかかわらず読みやすい物でした。おそらく読み方がこの時代の英語にtuneされているのでしょう。

 長編が続いた後で,10ページそこそこの短編ということも読みやすさの要因でしょう。何よりもDahlの話の展開が大変わかり安かったと思います。Tales of the Unexpectedとありますが,発表されてから50年,その多くがドラマや何かで再現されているものばかり,展開がunexpectedではなくexpectedというところが大きな要因だったのでしょう。

not ….any more than 〜「〜でないのと同様に...でもない」

You couldn't really be expected to judge this any more than I could be expected to judge the quality of your barley.

家具商のBoggis氏は毎週日曜日に聖職者(parson)のふりをして,田舎屋を訪ね,掘り出し物の骨董家具を安値で購入します。密造酒を製造中の親子を訪れ言うのがこのせりふ。「私があなたの麦の品質を判断できないのと同様にあなたにはこれ(椅子)の判断は実際にできないでしょう」

not so much A as B 「AというよりはむしろB

It was slow motion, of course, deliberate and deadly slow motion, and therefore not so much like vultures as a bunch of agile crabs clawing for a piece of horsemeat under water.

莫大な遺産を受け継いだBasil氏は独身。彼の財産目当てに女性がいいよります。

「もちろんその動きは慎重できわめてゆっくりした動きだった。それゆえにハゲワシというより,水面下で馬肉を求めて素早く這っていくたくさんのカニのようだった」

anything but 「〜のほかはなんでも」

The man had a way of making her feel that she was altogether a rather remarkable woman, a person of subtle and exotic talents, fascinating beyond measure; and what a very different thing that was from the dentist husband at home who never succeeded in making her feel that she was anything but a sort of eternal patient, someone who dwelt in the waiting-room, silent among the magazines, seldom if ever nowadays to be called in to suffer the finicky precise ministrations of those clean pink hands.

歯科医の奥さんであるBixi婦人は,New Yorkに住んでいますが,毎週,ボルチモアに住む愛人のもとに通っています。「その男性(愛人)には彼女に,自分はすばらしい女性で,繊細で魅惑的な才能があり,計り知れないほど魅了している,と思わせてくれるところがあった。それに家にいる歯科医の夫はなんと違っていることだろうか。夫は彼女のことを,永遠の患者,待合室に住みつき,雑誌を読みふけり,最近ではめったにないが,呼び出されて,きれいなピンクの手でなされる細々とした正確な処置に我慢する,そんな患者以外には感じさせることができない。

(2004年11月 2日)