今回は図書館から本を借りてきました。昨今の図書館は蔵書のデータベース化が終了しており,備え付けのコンピュータから検索が可能ですが,この本はなんと「閉架図書」。読まれた形跡もなく,貸し出し実績のない本は倉庫に持って行かれれるようです。こうした本もデータベースで検索が可能なことで,図書館に所蔵されていることがわかり大変幸運です。
いろいろなことがあって,まず日本語で読み始め,途中から英語へ,そしてまた日本語に戻って最後は一気に読み終わりました。はやり日本語は楽です。これまでも何回か英語と日本語を読み比べたことがありましたが,誤訳ぽいところがあってがっくりしたりしましたが,この訳はとってもしっかりしています。リーバスが多少べらんめい調なところがあって,最初は違和感を覚えましたが,日本語にはしにくいしゃれや固有名詞もスマートに処理されており,その訳の正確さとともに大変感心しました。
いつの作品からか忘れてしまいましたが,リーバスも同時に複数の事件にかかわるようになって,そのためにページ数が増えています。今回も結局4件の独立した事件が同時並行的に扱われ,日本語でさえ,名前が混乱してしまいました。英語版にはない,登場人物一覧は大変役立ちます。通例は自分でメモをして,整理する部分です。前回のHanging Gardenの事件が心深く傷となってうずいています。連続ものなので,Hanging Gardenを読んでおかないとその部分がピンとこないでしょう。それから,始めてリーバスの軍隊入隊までの経緯や高校時代について語られます。10作めにしてはじめてのことです。
というわけで今回は英文で読んだのは半分くらい。これまでUK版はOrion,US版はSt. Martin'sで読みましたが,後半は値段が安いということでUS版にしていましたが,アマゾンはUK版のみ。高いですが,製本や装丁,活字などははるかにOrion版がいいです。読みやすく,同じ英文を読んでいるとは思えない感じ。単語のチェックはほとんどしませんでした。
[日本語訳]は「死せる魂」(ハヤカワ・ミステリ,延原泰子)
Rebus opened his door. 'Just going for a recce.'
リーバスはドアを開けた。「ちょっと偵察してくる」
A bundle of motives: didn't want anyone to suspect he was working on a case that wasn't official L&B business; didn't want her seeing some of the stuff in St Leonard's - photos of MisPers and suspects, cases dealt with without emotion or (often) enthusiasm; and maybe, just maybe, he didn't want to share her.
理由はたくさんある。ロウジアン&ボーダーズ警察の管轄外の事件を捜査しているのではないかなどと,誰かに怪しまれたくなかった。それにセント・レナーズ署の中を---家出人と容疑者の写真や,何の感情も情熱もなく事件が扱われるさまを,ジャニスに見られたくなかった。さらに,もしかしたら,ジャニスをみんなの視線から隠したかったのかもしれない。
'Bar-room raconteur. A couple too many, telling stories to anyone who'll listen.'
バーで言葉巧みに話し込んでるじゃないか。飲み過ぎた男が相手構わず自分の話を聞かせるってとこか
どうもよくわかりません。前後の文脈が切り取られていますが,a coupleは直前の2人のバーテンを指していると思います。「バーでのおしゃべり。二人だって十分で,誰でも耳を傾けてくれるんなら話をする。」ぐらいのことでしょうか?
The brokers knew swag when they saw it, offered him a few dollars, then, when he bad-mouthed them, called his description in to the police.
業者は一見して盗品と見抜き,数ドルを渡そうとした。怒ったオークスが悪口を並べると,業者は彼の人相を警察に通報した。
大変見事な訳だと思います。
(2003年7月13日)