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「朝早いと、人通りも少ないから車もスムーズだよ。 だけど、信号は動いているね。」 「そりゃ、当たり前でしょ。」 「交差点にきたよ。 ゆっくりブレーキ踏んでよ、カックンブレーキイヤだよ。」 「はいはい、わかってますよ。」 「あれれ、あそこに歩き遍路さん。 キョロキョロしてるけど、あそこは遍路道から外れてるよ。 手前の信号を右折なんだけど。」 「あんたみたいに、道間違えてるから、早く、教えてあげて。」 「わかってるよ。 おお、こっちに来たね。 さらに方角違うよ、まずいよ。」 「おへんろさーん、どこ行くの。」 「28番なんですけど、このままでいいですか?。」 「違う違う、さっきのところを直進、直進。」 「ありがとう。」 「よかった、あのまま行ったら、札所に着けないよ。 朝早いと人通りすくないからね、よかった。 いつも地元の人に助けられていたから、ちょっと、役に立ったね。はは。」 「いつも役に立てばいいのにね?。」 「なんのこと?、はは。」 「そんなこと言ってるから、また、道が違うじゃん。」 車遍路も道に迷ったら、とんでもないところに行ってしまいますが、 歩き遍路もとんでもないところへ行ってしまいます。 この時のお遍路さん、一つ手前の信号を曲がらなかったみたいです。 そのまま進めば、進むほど札所から遠ざかります。 迷ったときは、どこからともなく声がかかるもので、 この時は、私の役目でした。 |