「知ってました?。」
「はー、お寺の縁起ですか?。知ってますよ、お遍路さんだったら当然でしょ。」 「いやー、ちがいます、かなり違います。」
「どうしようかな、話そうかな、はは。」 「そこまで、言って話さないのはダメだよ。」 「ほんとうは話したくてウズウズしてるでしょ。」
「はは、そういうことで、それで、聞いてくれる。」 「だから、さっさと言えよ、はは。」 「ここのお寺に妖怪が居たの知ってます。」
「はは、はー、そんなバカな、このお寺でそんな伝説聞いたことないよ。」 「それで、何妖怪が居たの?。あんた見たの?。」
「あそこに居ますけど。」 「えー、えー、えぇーって、私の相方ですけど。」 「・・・・・・、ちがうちがうー、あそこあそこ。」
「はは、猫じゃない。」 「そうなんですよ、あの猫です。」 「はー、普通の猫ですよ。」 「なでなで、ゴロゴロ。」
「あれー、おかしいな、なんでー。 尻尾が二つ分かれているはずなんだけど。」 「・・・・・・、それって猫又妖怪でしょ。
どこでその話、仕入れたの?。」
讃岐の88番大窪寺に妖怪伝説がありました。 12番焼山寺の大蛇伝説、26番金剛頂寺の天狗伝説
51番石手寺の大蛇伝説、82番根香寺の牛鬼伝説、 80番国分寺の大蛇伝説は、知っていましたが、 猫伝説は初めてでした。
うーん、ここのお寺のヤツは、猫の恩返し?伝説かな?。
○猫檀家(ねこだんか)webより収集 大窪寺は納めの寺で山深いあたりにある。この寺には猫檀家の昔話が残っている。
昔々、この寺がたいそう衰えていた時のことである。和尚が一匹の猫を飼っていた。何年も飼っているうちに和尚にたいへんよく馴れて、和尚もまたかわいがっていた。
ある時に和尚がお勤めから帰ってくると、本堂のあたりで騒々しい音がした。そっと見ると、たくさんの猫が本堂の前で踊っていた。
中に親方と思われる猫が見覚えのある手ぬぐいで頬かぶりをして踊っていた。しかし和尚が近寄ると、猫たちはみんな散り散りになって逃げてしまった。
和尚はこれは不思議なことだと思ったがそのままにしておいた。
ところがある日のこと、ひょっと気がついてみると、寺の猫が箒を尻尾に巻きつけて座敷を掃除している。
和尚はそこで、寺の猫もとうとう猫又になったのかと気がついた。そして以前に本堂で頬かぶりをしていたあの手ぬぐいは寺のものだと初めて知った。
これはいつまでも寺に置くことはできない。今のうちに追い出してやろうと、オイダシメシ(小豆飯)を炊いて重箱に入れ、猫をよんで食べさせようとした。
すると、猫は小豆飯を食べてどこへともなく去っていってしまった。
その晩、和尚の夢の中に猫が現われた。そして、「もう二、三日するとここから北の富田村の物持ちの家で葬式が出る。その時は雨具の用意をして出かけなさい。
葬式の途中に雨が降って、私が天から下りてきて棺桶を取るからどうぞ祈ってください。ほかの坊さんがいくら祈っても棺桶はもとにもどらないが、
和尚さんが祈ると元のとおりにもどすから」という。
和尚はこれは妙な夢だとは思っていたが、なんとなく気がかりになったので、二、三日してから富田村のあたりまで行ってみた。
ところが夢の中で猫がいったように、物持ちの家で葬式が出ていた。和尚はよばれたわけでもないので傍で見ていると、いよいよ出棺になり、行列がぞろぞろと出てきた。
するとにわかに空がかき雲って、大粒の雨がばらばらと降ってきた。雷鳴がとどろき、空から火車が下りてきて、棺をつり上げようとした。
つき従っていた大勢の和尚たちが一生懸命に祈ろうとしたが、どうにもならない。ただうろたえるばかりであった。
それを見て大窪寺の和尚は物持ちの旦那の前に行き、私が祈るからといって、祈りに祈ると、一旦宙につられていた棺桶はもとのとおりに輿の中へおさまって、
空もうそのように晴れてしまった。
物持ちの旦那はたいそう喜んで、その一族の者はもとより近在の者すべてが大窪寺の檀家になった。そして本堂の前に石の大香炉を寄進したそうな。
これはいわゆる猫報恩の猫檀家という昔話であるが、大窪寺のこととして伝承されているのである。 |