4 月 の 日 記 [2]
4月某日:

ソマリのたまちゃん
今日はソマリという種類の猫、たまちゃんのところへお邪魔した。ソマリはアビシニアンの長毛種版とでもいおうか、とても美しく猫らしい猫である。もともとアビシニアンの長毛をもとに計画繁殖された種類なので元をたどればアビシニアンということになる。たまちゃんは事前打ち合わせの取材中、ロフトの2階部分に上がって全然下りてこなかったので、すぐそばで見ることは出来なかったが、レッドの美しい毛並みの持ち主だった。かなり人見知りが激しく、私のほかにも衛星放送の工事に来ていた電気屋さんもいたので、半分パニくっていたのではないだろうか?シッティングでゆっくり逢えるのが楽しみである。


4月某日:

事前打ち合わせに思う
ゴールデンウィークが近くなり、シッティング依頼が殺到してきている。新聞社系の地域情報誌に広告を出したので新規ご依頼も多く、事前打ち合わせと鍵の受け取りに忙しくなってきた。今日事前打ち合わせにお邪魔したのは「りむちゃん」。13歳のヨークシャー・テリアの女の子。ヨーキーではかなり小柄な子だ。お部屋に入ったときは警戒して鳴いていたけど、事前打ち合わせをすすめるうちだんだん慣れてきてくれた。りむちゃんは心臓に持病があり、朝夕に飲み薬があるため普段の投薬の状況を詳しく伺う。薬の量や姿勢、朝夕に飲ませる薬も異なるので聞き漏らさないよう詳しくメモを取る。

事前打ち合わせにはこの他、詳細な取材を行なう。ペットの健康状態や給餌に関することはもちろん、室内の様子、照明や施錠に関することなど、少々細かすぎるかななどと思いつつも、飼い主さんに安心してお出かけ頂くために念には念を入れ、質問をしてはメモをとる。メモを取りながら飼い主さんがペットの名前を呼ぶ時の癖、抱っこするときは初めにどこを触り、頭をどちらに向けてどんな風に抱き上げるかというところもチェックしている。

家人がいない時に、知らない人が入ってきて自分の食器を触ったり、抱きかかえられて薬を飲まされたりするのは、やはりかなりのストレスがあるはず。それでもそれ以外の時間、普段過ごしている自宅で過ごさせてあげたいという飼い主さんの気持ちは察するに余りある。特にりむちゃんのように10歳を過ぎた子や持病を抱えている子なら、なおさら静かで住み慣れた環境においてあげたいと思うのは、飼い主としては当たり前のことだと思う。私も10数年一緒に過ごしたセキセイインコがだんだん元気がなくなってきて、もうあとわずかしか一緒にいられないだろうと思っていても、病院へ連れて行くことは考えられなかったからその気持ちはよく判る。ペットにとってやっぱり住み慣れた環境から離されるというのは何にも換えがたいストレスなのだと、ペットを家族とされている多くのオーナーさんたちは言葉で伝えられなくても判っている。ペットの気持ちを代弁してくれるのが飼い主さんだと思っている。だからこそ私も極力ペットにストレスをかけないよう細心の注意を払う。

私は犬猫が大好きでこの仕事を始めた。それでもこうして事前打ち合わせではじめてのお客様と出会い、お話を伺う度に私がこの仕事を選んだ動機など吹き飛んでしまい、目の前の飼い主さんがペットに寄せる深い思いやりに感動してしまう。私も猫3犬1のオーナー。事前打ち合わせという場は、私にとって彼らの生涯の最期まで責任を持ち、彼らのためには何でもしようと改めて思う瞬間でもある。