FIXING A HOLE
(フィクシング・ア・ホール)
Time Data: 2分32秒  Recording Data: 1967年2月21日〜
Studio Data: EMIスタジオNo.2 (一部分リージェント・サウンド・スタジオ)
Mixing Data: Take 3
この曲は殆どがポールの手によるものである。タイトルの"Fix"の部分が注射をうつという意味からヘロインの歌だと言われているが、実際はマリファナによる世界を表現しているとポール自身が語っている。また、同時にポールの自宅を訪ねてやって来る多くのファンや変人の事を歌った曲でもあるという。実際にこの曲のレコーディング期間中に自分がイエス・キリストだと名乗った変人が訪れ、面白がったポールはその男をスタジオに連れていったという後日談がある。イントロから始まるハープシコードはポールが演奏している。また、中間部のリード・ギター・ソロはジョージのプレイ。ここで使用されている乾いたサウンドのギターはポールが手に入れたばかりのエピフォン社製のカジノという機種で、彼はジョンとジョージにその後このギターの使用を薦めた。                                            サウンドとしてのこの曲の特徴はリボルバーの延長線上にあり、バックでギターがヴォーカルと絡み合うスタイルはビートルズならではのもの。コーラスの使われ方もそれまでの彼等のスタイルを統括した感がある。この曲の位置する場所はアルバム全体を考えると重要なポイントになっていると思う。決してこの前でも後でもだめだろう。コンセプト・アルバムとして評価されている所以にはこうした曲の並べ方に負っている部分が大きいと感じる。制作側にコンセプトという意識があったにせよ無かったにせよこうした構成がリスナーには心地よく聴こえる感性がこのアルバムをしてサージェントたらしめる結果に貢献した様に思う。ほんの2~3分の曲が繋がっているに過ぎないこのアルバムが、ここまで評価されている点は、ちょうどアインシュタインの言うところの時間と空間は必ずしも一致しないという概念を具現化している様で面白い。
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